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2007.11.30

10月の消費者物価-「悪い物価上昇」への警戒強まる

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エネルギー・食料価格の上昇が物価水準全体を押し上げるまでに上昇してきました。

<消費者物価>0.1%上昇 需要増伴わず景気下押しの公算
総務省が30日発表した10月の全国消費者物価指数(05年=100、生鮮食品を除く)が100.5となり、前年同月比で0.1%上昇した。上昇は10カ月ぶりで、原油高を背景としたガソリンなど石油製品の大幅な値上がりが後押しした。ただ、エネルギー関連を除くと物価水準はマイナス圏内のままで、民間シンクタンクの多くが、「個人消費や企業収益の悪化の要因となる“悪い物価上昇”だ」と評価している。指数は、今後さらに上昇率が高まる見通しだが、その分、景気が下押しされる可能性が高い。デフレからの脱却を長年目指してきた日本経済にとって物価上昇は本来、経済が正常な状態に戻るサインとして歓迎されてもおかしくない。しかし、今回の上昇を「デフレ完全脱却に近づいた」と評価する声はほとんどない。消費者物価指数の上昇率0.1%を分析すると、エネルギー関連の寄与度が0.14ポイントと突出している。市場では、今回の物価上昇は原油高という海外発のコスト上昇圧力でかさ上げされたもので、賃金の上昇による消費支出の増加など「国内の需給改善に起因したものではない」(みずほ証券)と受け止められている。ガソリンや灯油は11月も大幅に上昇したほか、12月も値上げが見込まれており、消費者物価指数の上昇幅は今後さらに大きくなりそうだ。主要民間シンクタンクの予測によると、11月の全国消費者物価指数は前年同月比0.3~0.4%の上昇となる見通しで、上昇率は来春にかけ、「0.7~0.8%程度にまで拡大する可能性がある」(第一生命経済研究所)。一方で、賃金・ボーナスの低迷は続いており、家計の収入増が伴わない以上、原油高による物価水準の押し上げは、可処分所得の減少や消費意欲の悪化を招きかねない。企業収益の圧迫による設備投資、雇用への悪影響も懸念される。大田弘子経済財政担当相は30日の閣議後会見で石油製品などの値上がりで「消費者心理や中小企業の収益への悪影響が強まらないか、注意が必要だ」と述べ、“悪い物価上昇”に警戒を強める姿勢を示した。(毎日新聞11/30)

個別にみると、石油製品は前年比2.3%の上昇で、電気ガス代などのエネルギーも前年1.8%の上昇です。食品も全体的に値上がり傾向ですが、特に生鮮果物が8.3%生鮮野菜が4.1%と大幅な上昇、油脂調味料なども1.7%も上昇しています。その他、交通費、交通費、家事用雑貨・消耗品など上昇は広がりつつあります。それでも全体の指数があまり上昇しないのは、家庭用耐久財▲6.3%、教養娯楽用耐久財▲14.5%の2分類が極端に下落しているためです。「家庭用耐久財」とは電気冷蔵庫や電気洗濯機やルームエアコン等で▲10~▲16%の下落率、「教養娯楽用耐久財」とは薄型テレビやパソコン・デジカメ等で前年比▲20~▲30%の下落率となっています。

家庭用耐久財と教養娯楽用耐久財が大幅下落となる理由

電化製品やハイテク製品は、恒常的に「デフレ」となってしまいます。この理由として、1つには「高額の高機能品を市場投入し量産化とともに価格を下落させて普及を図る」という商品のライフサイクルがありますが、このサイクルが短縮傾向にあることが挙げられます。
物価指数計算式の事例もう1つは、物価指数の「指数算式」という、統計計算上の便法によるものです。、パソコンが同じ台数で同じ単価で売っていたとしても、性能が向上すれば、それを単価が下がったと見なした上、指数に対する構成比率も高まっていきます。CPU、メモリー、ハードディスクといった電子デバイスは未だに凄まじい性能向上が続いており、これを「デフレ」と見なすならば、「デフレ」を止めるには新製品の開発も性能向上も中止すればよいことになってしまいます。経済学者は技術の進歩ということを念頭におかずにモデル化してしまったのでしょうか。
高級オーブンレンジ「ヘルシオ」冷蔵庫の大型化三洋電機洗濯乾燥機「アクア」三菱電機炊飯器「本炭窯」
家電の価格については、5~6年前ディスカウント店を中心に韓国製等の家電を安売りしていましたが、あのころが単純安売競争のピークだったように思えます。結局、メンテナンス体制の不備とか消費電力が多いとか様々な理由がありますが、ただ安いだけでは日本の消費者に根付かせることはできませんでした。その後、家電の値下げ競争一辺倒の動きは一段落し、現在は高機能化と省エネ性能の競争に移っております。

2007.11.29

FXへの規制本格化-正常化へのプロセス

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行政側がいよいよ本格的にFX業者の実態調査に動き出したようです。

監視委、外為証拠金業者を集中検査
証券取引等監視委員会は28日までに、外国為替証拠金取引(FX)業者の集中検査に着手した。米国のサブプライムローン問題の影響で破綻する業者が出てきており、早急に財務や資産管理状況を把握することで顧客に被害が及ぶのを防ぐ。監視委は11月に入り全国の財務局を通じてFX専業業者12社の検査を開始した。10月にも2社の検査に入っているほか、FXを扱う複数の証券会社も現在検査中だ。監視委は2006事務年度(7月―今年6月)にFX業者12社に検査を実施し、12社すべてで財務や投資家保護上の問題点を指摘した。今事務年度は現時点で既に昨年度の検査数を上回っており、今後検査数がさらに増える可能性が高い。(日経新聞11/29)

外国為替証拠金取引を扱う業者は、平成17年度以降、証券取引等監視委員会の検査対象になっております。これまで検査は上場企業が中心でしたが、検査の体制が整ったところに、このところの相場の変調によりFX業者の破綻が続いたため、本格的な検査に動きはじめたようです。

FX札幌に業務停止命令、破産手続き開始
FX札幌札幌市の外国為替証拠金取引(FX)業者「エフエックス札幌」(谷康広社長)が債務超過に陥り、顧客に取引の強制決済を通知した問題で、北海道財務局は22日、顧客からの預かり金と会社の資産を区別して管理していないなどとして、金融商品取引法に基づく6カ月間の業務停止と業務改善を同社に命じた。9月30日に施行された同法に基づく業務停止命令は初めて。同社は財務局に対し、米サブプライム住宅ローン問題で大きな損失を出した8月の自己資本規制比率を虚偽報告。聞き取りに対しても「問題はない」と答えていた。北海道財務局によると金融商品取引法は、会社の資産と顧客の資産を分けて管理するように定めているが、同社は分けて管理していなかった。また札幌地裁は22日、エフエックス札幌からの申し立てを受け、破産手続きの開始を決定した。負債総額が約23億3280万円。記者会見した破産管財人は、預かり金返還について「一部返還の可能性があるが、どのぐらいかは分からない」と説明した。(日刊スポーツ10/22)

アルファエフエックス業務停止 金融庁処分
金融庁は9日、外国為替証拠金取引(FX)業者「アルファエフエックス」(東京都港区、植原正成社長)の破産開始決定を受け、同社に6カ月間の業務停止などの行政処分を下した。9月末の顧客は565口座、証拠金などの預託額は約21億円。同社などによると、8月の為替相場の乱高下で、顧客の注文と同社が市場に出す注文のずれなどから巨額の損失が発生、債務超過に陥ったという。同社は5日に突然、事務所を閉鎖し、金融庁が注意を呼びかけていた。(産経新聞11/9)

悪質業者の場合、顧客からの注文を受けて実際には売買しないことが考えられます。しかしその場合には円高になると、業者は丸儲けになるはずです。顧客の大半は円売りポジションのため、円高だと顧客への返済金が少なくて済むからです。今回のケースでは、顧客から預かったお金で、自分も円売りポジションを組んでいたのでしょう。悪徳業者にさえなれない素人業者のようです。

顧客への調査のメス

調査会社によれば、平成19年3月末の時点でFX口座数は約64万5000口、証拠金残高は約6,100億円に達しているそうです。税務当局の税務調査も進んでいます。

FX脱税の主婦に猶予付き有罪判決
個人投資家に人気の外国為替証拠金取引(FX)などで得た利益を隠し、約1億3900万円を脱税したとして、所得税法違反の罪に問われた東京都世田谷区の主婦、池辺雪子被告(60)の判決公判が24日、東京地裁で開かれた。佐藤卓生裁判官は「犯行は悪質」として懲役1年6月、執行猶予3年、罰金3400万円(求刑懲役1年6月、罰金4200万円)を言い渡した。佐藤裁判官は「池辺被告は『損をする年もあるのに、得をした年に税金を納めなければならないのは不公平』と考え、着物の購入や旅行をするために脱税した。納税意識が薄く、利欲的動機に酌むべき事情は見あたらない」と断じた。判決によると、池辺被告はFXや商品先物取引で得た利益を家族名義の口座に入金させるなどの手口で、平成15~17年の3年で約4億700万円の所得を隠し、約1億3900万円を脱税した。(フジサンケイ8/24)

『損をする年もあるのに、得をした年に税金を納めなければならないのは不公平』とは非常に稚拙な言い訳ですね。

FX、また脱税容疑 2億7千万円、元会社員を逮捕
外国為替証拠金取引(FX)などの財テクでもうけた約7億6000万円を申告せず、約2億7000万円を脱税したとして、東京地検特捜部は9日午前、東京都豊島区の元会社員、小玉昭彦容疑者(64)を所得税法違反(脱税)容疑で逮捕し、自宅などを捜索した。海外金融機関を通じてFX取引などを行う個人投資家が増加する中で、小玉容疑者は海外のタックスヘイブン(租税回避地)に設立したペーパー会社名義の口座などに運用益を隠していたという。調べによると、小玉容疑者は、04年にシンガポールの大手銀行に自分名義の口座を開設。同時に租税回避地の英領バージン諸島に設立したペーパー会社名義の口座を開設した。それぞれの口座に、同年に死去した父親から相続した遺産の現金を送金し、銀行の子会社でFXや原油先物取引などをしていた。05年と04年の2年間で自分名義で約2億7000万円、ペーパー会社名義で約5億円の運用益を得ていたが、申告せずに所得税約2億7000万円を脱税した疑いが持たれている。利益の一部は、未公開株の購入代金などにあてていた。小玉容疑者は調べに「会社名義の利益は自分のものではない」と主張しているという。FXをめぐっては、今年4月、東京都世田谷区の主婦が約1億4000万円を脱税したとして、特捜部が所得税法違反の罪で在宅起訴。多額の利益を得ながら税務申告をしないケースが増えていることが表面化している。 (朝日新聞5/10)

こちらのケースは、本格的な脱税です。しかし今は、タックスヘイブンを調べられると、逆に脱税している事が明白になので、手法としてはいかがなものでしょう。それにしても個人で利益7億6000万円とは凄腕の投資家ですね。下手な脱税で老後をフイにするより、多額納税者として表彰を受けて、地域の名士として名を残した方が有意義な人生だったでしょうに。

FXの税金

くりっく365FXは、金融商品のなかでは、税金計算上非常に不利な扱いをされており、総合課税(最高税率50%)になってしまいます。損失の繰越控除もできません。他の金融商品が申告分離課税で税率20%(株式は10%)ですから大きな差があります。但し、東京金融取引所の取引所取引(くりっく365)では申告分離課税となります。

税金のペナルティについて

税務署は、実態を把握しておきながら一定期間放置しておいてから、一斉に問題取引を摘発し一網打尽にする傾向があります。2~3年税務署の調査がないからと高をくくっていると、過去の分を根こそぎ調べられて多額の税金を納める羽目になります。事業経営者の方は当然知っていることですが、サラリーマンや主婦の方で「調査が来るまでほっとけばいいや」などと放置していると大変なことになりますので注意が必要です。

税金の時効

税金の消滅時効は最大5年ですが、不正があった場合には最長7年となります。税務調査でも最長7年間の履歴を調査します。

延滞税

税のペナルティとしては、まず延滞税です。これは支払期限後に追加される利息として徴収するもので、2カ月間は年7.3%、それ以降は年14.6%となります。

過小申告加算税

申告額が少なすぎた場合のペナルティです。追徴税額の10%で、追徴税額が50万円か納付済み税額を超える場合には、さらに5%が追加されます。

無申告加算税

全く申告しなかった場合のペナルティです。追徴税額の15%で、追徴税額が50万円を超える場合には、さらに5%が追加されます。

重加算税

事実を仮装隠蔽していた場合にはさらにペナルティを追加されます。追徴税額の35%(又は40%)が加算されます。

刑事罰

さらには悪質で巨額な場合には、いわゆる脱税罪で逮捕され刑事罰を受けることになります。刑事罰は実刑判決と罰金で、所得税の場合5年以下の懲役に加え罰金が科せられます。罰金額は利益の3割程度のようです。金額によっては、メディア報道による社会的制裁も受けることになってしまいます。

2007.11.28

米国クリスマス商戦開幕-ネット絶好調でもリアルは微妙?

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サブプライム問題が米国実体経済へ徐々に波及していますが、個人消費への影響を占う上で重要になるのがクリスマス商戦の動向です。現在のところネット経由の売上は順調のようです。

ネット売上高は過去最高 米サイバーマンデー
米小売市場情報会社コムスコアが27日発表した年末商戦のオンライン売上高調査によると、感謝祭明け後の最初の月曜日で、勤務先からインターネット経由での買い物が増えるとされる「サイバーマンデー」だった26日の売上高は7億3300万ドル(約794億円)で過去最高となり、前年同日と比べて21%増加した。11月1日から26日は107億4000万ドルで、前年同期比17%増えた。コムスコアはサイバーマンデーについて「この時期のオンラインショッピングの傾向を最初に示す重要な1日となっている」とした。(共同11/28)

buy.comサイト米国のクリスマス商戦は、従来型小売店では感謝祭翌日の「ブラックフライデー」(暗黒のでなく「黒字」の金曜日です)から本格的開幕となります。また、ネットでは感謝祭明けの月曜日の「サイバーマンデー」がバロメーターとなる日です。報告ではブラックフライデーもサイバーマンデーも好調な様子でした。特にサイバーマンデーの方は絶好調のようで、ネットワーク会社によれば、小売サイトのトラフィックはピーク時には1分間あたり460万人に達し前年比で30%増となったそうです。米ヤフーのサイトがシステムダウンするほどの活況だったようです。

WSJ-ヤフーの商取引システム、“サイバーマンデー”にダウン
米インターネット検索大手のヤフーの人気の高い電子商取引システムが26日、オンラインショッピングの急増を受けてダウンし、販売業者の一部に失われた注文について憤りや失望感が広がった。ヤフーの広報担当者は26日夜、「ヤフー・マーチャンツ・ソリューションズ」事業のインフラは米東部時間午前5時半から始まった“休日の激しいトラフィック(通信量)”に圧倒された、と述べた。結果として、その機能に頼る約4万のウェブサイトのうち一部で受注が確定できなくなり、顧客はやり直しを求められた。同広報担当者は「当社はこの問題を認識しており、できる限り早い解決へ向けて作業している」とコメントした。さらに「ご迷惑をおかけして申し訳ない。一層の混乱を防止するためプロセスを整える」とした。同広報担当者は、この件で影響を受けたウェブサイトと失われた注文の推定数、問題解決時期の見通しを明らかにしなかった。ヤフー・マーチャント・ソリューションズの月額利用料は40ドル。商業ウェブサイトの自作・運営用に各種サービスを提供する。利用サイト数は約4万で、その大半が中小事業者。この種のサービスとしては最も人気の高い部類に入る。26日は折悪しく問題が発生した。一部で「サイバーマンデー」として知られる感謝祭後の最初の月曜日は、オンライン売上高が1年で最も大きくなる日に数えられる。販売業者らは、システムに問題があれば通常はヤフーから通知を受けると指摘。ただ、26日はそうした通知はなかった。ヤフーのスモールビジネス事業の主要提携先であるオーガニック・スリープ・プロダクツ(オレゴン州ベンド)の経営者、ブライアン・シード氏は「今日は1件も注文を受けていない。これは間違いなく問題だ。ヤフーは通常すばらしいが、今日は違う」と述べた。(ダウジョーンズ11/27)

全米全体では、週末の来店者数は前年同期比4.8%増の1億4700万人、23日の売上高は103億ドル。23、24日の2日間の合計は164億ドルです。サイバーマンデーの売上は23日売上比で約7%ですのでネットの占める比率はさほど大きくはありません。それでも全体の売上は伸びており、個人消費は好調のようですが、米国市場関係者のセンチメントは非常にネガティブです。

米株市場で小売株下落、ブラックフライデーの楽観観測後退
6日の米国株式市場で、メーシーズやゲス、アーバン・アウトフィッターズなどの小売株が下落した。年末商戦最初の週末に関する楽観的な報告に対して、アナリストが懐疑的な見方を示し、投資家もこれに同調して小売りセクターが幅広く売られた。投資家や小売り業者は、原油高や米住宅市場低迷、米景気後退への懸念を背景に買い物客が出費を控えると予想しているが、感謝祭翌日のブラックフライデー(黒字の金曜日)にあたる23日は、大幅な値引きを期待して多くの買い物客が店に詰めかけたことから小売株が上昇していた。 全米小売業協会(NRF)が25日発表した調査によると、22─25日の4日間に買い物に出かけた人の数は前年比4.8%増となったが、1人当たりの平均購買額は前年比3.5%減少し、その結果購買総額は前年に「極めて近い」水準となった。調査会社ショッパー・トラックRCTは25日、小売売上高は22日だけで前年比8.3%増、22─23日の2日間で7.2%増となり、予想を大きく上回ったとした。一方、複数のアナリストがこれらの報告とは異なる見方を示したことから、26日のダウ・ジョーンズの小売り株指数は23日の上昇分を失って2%安で引けた。ラザード・キャピタル・マーケッツのアナリスト、トッド・スレーター氏は「売り上げは、利益率の低い目玉商品や値引きされた電化商品に大きく偏っている」とし、前週末の報告の大半は「誇張されている」と述べた。(ロイター11/26)

年末商戦への楽観はわずか1日で終わってしまいました。人数増と単価減は長期不況に苦しむ日本の個人消費セクター企業と若干似ているとも言えます。
ウォルマート年チャート
上記は、ウォルマートの年間チャートですが、8月のサブプライムショック以降はパッとしませんね。それでも、銀行セクターや日本の小売セクターと比べるとはるかにマシな状態です。

2007.11.27

アブダビが米銀へ出資すると日本株が急騰する-相場心理の揺らぎ

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本日の株式相場は、相場のセンチメント(相場心理)の極端さを象徴するような動きでした。

前場の動き(弱気)

昨晩の米市場安を引き継いで、朝から軟調でした。

東京株、全面安1万5000円割れ
週明け26日のニューヨーク株式市場で、株価は大幅に反落した。ダウ平均株価は、前週末比237.44ドル安の1万2743.44ドルと、今年4月以来、約7か月ぶりの安値となった。この流れを受けて27日の東京株式市場でも株価はほぼ全面安の展開となり、日経平均株価は1万5000円を割り込んでいる。ニューヨーク市場では、サブプライムローン問題の影響で、米大手銀行シティグループが大規模な人員削減を含む合理化策を検討中だと報じられるなどし、米金融機関の経営の先行きに対する不安感が広がった。ニューヨーク連邦準備銀行は26日、米金融機関などの年末年始の資金繰りを支援するため、まず、28日に80億ドル(約8560億円)を供給する異例の措置を発表した。(読売新聞11/27)

米シティチャート
軟調な米国株・サブプライムローン問題を象徴する銘柄は米銀最大手のシティでしょう。当初株価は50ドル前後でしたが、ここ1ヶ月半の間に4割も値下がりし、30ドル割れ寸前になっています。

材料投下

しかし、前場終了後に「アブダビ投資庁が米シティ銀へ資本参加」の報道により市況が一変します。

アブダビ投資庁が米シティに出資=総額8000億円
米銀最大手シティグループは26日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ投資庁(ADIA)に対し、普通株に転換される株式持ち分証券を、総額75億ドル(約8000億円)で売却することで合意したと発表した。サブプライム住宅ローン問題がらみで評価損拡大観測に揺れるシティにとって、資本増強策の一環となる。発表によると、ADIAの合計持ち株比率はシティの発行済み株式の4.9%以下にとどまる。ADIAがそれ以上の株式を保有せず、役員指名などシティの経営上いかなる役割も果たさないことなどでも双方が合意した。(時事通信11/27) 

アブダビ投資庁は、約1兆ドル規模の資産を持つ、世界最大の政府系投資ファンドです。2位のノルウェー政府年金基金が約3500億ドル規模ですので群を抜いています。UAEの米銀への投資方針は既報であり、サプライズ(意外性)はないのですが、市場のセンチメントが極端に弱気に傾いていたため、揺り戻しが大きくなったようです。※アブダビ投資庁に関する情報提供依頼が多いのか、在UAE日本大使館で情報を掲載しております。アブダビ投資庁概要(PDFです)

後場の動き(急騰)

このアブダビのニュースにより、1ドル107.22円と2005年6月以来の円高だった為替は1円超の円安ドル高。株式相場は前場は前日比約▲300円安でしたが、一転急騰し、安値からの切り返し幅は、一時500円を超えました。

米シティが一転してドル高/株高材料に、アブダビの資本参加を好感
27日の東京市場は午後に入り地合いが一変、ドル高/株高/債券安になった。日本時間の正午前に明らかになったアブダビ投資庁の米シティグループへの資本参加が材料視された。シティのニュースにまず反応したのがGLOBEX(米時間外金融先物取引)の米株先物だ。一時1万2900ドル程度まで反発、26日の終値に比べて160ドル超の上昇となった。金融機関の信用リスクに敏感な地合いだけに真っ先に買い戻しが入った、という。これを受けて為替市場ではドル/円が発表前の107.40円付近から108.82円まで1円超上昇した。アブダビ投資庁のシティグループへの資本参加で、サブプライムモーゲージ問題を背景に広がっていた欧米金融機関の巨額損失計上と信用リスク問題が改善に向かう可能性が出てきた、と受け止められた。株式市場は振れの大きな展開。朝方300円を超す下げとなっていた日経平均は、後場急速に切り返し、一時は1万5300円台まで上昇した。シティのニュースで先物に買い戻しが入り踏み上げ的な動きになった。「信用不安が後退したほか、新しい資金が入ってくるというポジティブ・サプライズで一気に上昇した」(大和証券SMBCエクイティ・マーケティング部部長 高橋和宏氏)という。ただ、その後、上げが一服すると、逆に戻り売りに押された。「先物の踏み上げで日経平均は急速に上昇に転じたが、この動きが一巡したことでやや落ち着いた動きになっている。ただ、乱高下が続いていることで株価の居所がわからなくなっており、この水準で落ち着くかどうかはわからない。売りにくくなっていることは確かだ」(準大手証券)との声が出ていた。(ロイター抜粋11/27)

N225先物をみると前場引けが最安値14,800円、後場寄り直後が最高値15,350円となっており、弱気筋が独り相撲の動きが顕著です。
N225のH191127日中足

アブダビショック沈静化

為替も急変動しました。結局は昨日の同時刻と同水準に落ち着き、昨晩の急円高も昼過ぎの急円安も「なかったこと」になりました。
為替のH191127日中足
今日の市場の動きは、市場参加者の理性が失われ、感情・感覚が優先されつつあるように危惧します。感情的な動きが目立つのは、既に高値から2割も下落し、相場参加者の損失が増大しているからですが、理性を取り戻して落ち着くのか、感情がさらに増幅してガラを引き起こすのかは判断が難しいです。

サブプライム問題の慢性化

日本企業のサブプライム損失は、野村証券が約1450億円、みずほが約1700億円、三井住友が約870億円あたりが大口ですが、非上場の農林中金も約1000億円の損失です。

農林中金は損失1000億円 10月末、米サブプライムで
農林中央金庫は27日、2007年9月中間連結決算を発表し、米サブプライム住宅ローン問題による10月末までの損失額は、含み損を含め1057億円に上ったと発表した。中間期では、このうち384億円を処理した。サブプライム関連の金融商品は約4800億円保有しているという。08年3月期決算の損失処理額は、市場動向によって600億円規模に膨らむ可能性がある。農林中金が中間決算を発表するのは今回が初めて。純利益(連結)は前年同期に比べ約10%増の1435億円。米国債などの運用が好調で、サブプライム関連の損失を補った。08年3月期の経常利益(単体)は、前期比3.7%減の3520億円を見込んでいる。(共同11/27)

米国債などの運用が好調でサブプライム関連損を補ったそうですが、米国経済が不透明感を増している上、急ピッチで円高が進行しているので先行きは大変そうです。

2007.11.26

高齢者への大増税-後期高齢者医療制度

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今からわずか4ヶ月後に、日本の高齢者医療の抜本的な変更が行われます。

後期高齢者医療保険料 格差最大で1.4倍 45都道府県、年平均8万3885円
75歳以上の人すべてが加入し、来年4月から発足する後期高齢者医療制度で、標準的な厚生年金を受給する単身者の保険料が45都道府県(未回答の石川、沖縄両県を除く)平均で年額8万3885円に上ることが24日、産経新聞の調査で分かった。最も高い福岡県と最も安い長野県では1.4倍の開きがあり、都道府県ごとにかかる老人医療費の差が、保険料のばらつきに直接跳ね返ったといえる。調査は、都道府県間の比較が容易な、厚生年金(標準年額208万円)のみを収入とする単身者をモデルケースとした。23日までに保険料率を正式決定したと回答したのは25都道府県。それ以外は試算ベースだ。この結果、保険料最高額の福岡県は年額10万1750円だった。これに高知県9万7409円、香川9万7000円が続く。一方、最低額の長野県は7万1700円で、岩手県7万2200円、静岡県7万3600円などが低かった。全国平均と比べると、福岡県は約1万8000円高く、長野県は約1万2000円安くなる。こうした格差は、各都道府県の老人医療費を反映している。厚生労働省は「福岡県など医療施設が充実している地域は高齢者が受診しやすく、保険料は高くなりがちな傾向がある」と分析。また、所得水準が高く、国の交付金が少ないため高額と予想された東京都は7万3880円にとどまった。同省は「新制度では葬祭費なども出してよいことになっているが、都は、それらの費用に見合う分について、徴収を別にするなど負担抑制の工夫をしたのではないか」とみている。後期高齢者医療制度は、老人保健制度改革の一環。高齢化の進展で弱まった財政基盤の強化をめざし、75歳以上を後期高齢者とする新制度の創設を決めた。自営業で国民健康保険に加入し、保険料を払っている75歳以上の人は国保から脱退し、新制度下で保険料を負担することになるため、負担額も変わる可能性が高い。サラリーマンなどの子供があり、その被扶養者として、健康保険など被用者保険に加入している高齢者でも75歳になると、自分で年金などから保険料を払わねばならない。新制度では、運営主体も、現行の市区町村から都道府県単位の広域連合に変わり、保険料は地域の医療水準などに応じて都道府県単位で設定される。75歳以上の人の負担は全体の約1割。残る9割は74歳以下が加入する国保・被用者保険や国、地方自治体が負担する。(産経新聞11/25)

抜本的な大改革にも関わらず、変更を知らない方がほとんどのようです。知人の話では、敬老の日に行われた行政主催の敬老会にて、行政側からお年寄りの方々に1枚のチラシが渡されましたそうですが、細かい文字ばかりで全員何の事かわからなかったそうです。

制度の変更

高齢者医療は、新たに設置された「広域連合」なる組織で運営されます。
制度概要
責任の所在があやふやな新組織と、非常に複雑な資金の流れは、役人のお家芸です。年金・医療制度は全部一元化し、恩給・生活保護制度等と併せて、負担と給付を再構成すべきでしょう。それが全く逆の細分化の方向に進んでおり、これでは全体像の把握ができず、問題解決にはほど遠い状況です。問題を複雑化させて良からぬことを企んでいるのではないかと疑りたくなります。

経済的インパクト

1人あたり10万円の負担増は、先頃大騒ぎした消費税2%で換算すると、500万円の課税商品を買った場合に追加して支払う税額です。平均的な高齢者が消費する金額を約80万円程度とすると、消費税が12%増税した場合と同程度のインパクトです。
国内の65歳以上の人口は2640万人で総人口の20.7%、75歳以上は1208万人で総人口の9.5%を占めます。今回の制度変更が実際に施行された場合、単純計算でも約1兆円の国民負担増です。個人消費にも多大な影響を与えそうです。

高齢者に対する扶養放棄に対する不安

高齢者のいる世帯は、自身の健康保険で老親を扶養し医療を賄っている方が大半でしょう。それが、親が扶養から外れてしまい、親自身の年金から保険料が徴収されますので、先の所得税-住民税の騒ぎ以上の大混乱が生じるのは避けられないでしょう。より悲惨なのは無年金者・低額年金者で、ギリギリのやり繰りで老親を扶養していたところに新たに請求書が来るのですから、支払不能者が続出するでしょう。
窓口負担率を上げるなら病院へ行かないことで、消費税増税なら消費を控えることで生活防衛が可能ですが、追加請求では防衛しようがありません。まして75歳以上の老人では収入を増やすことは不可能ですから、「現代版姥捨て山」と言えます。資産課税ならともかく、高齢者のフローに対する負担増は暴挙としか思えません。医療行為を受けられない高齢者が続出するなど大きな社会問題化することは避けられないでしょう。

無年金者の背景

無年金者は平成16年現在の資料によると65歳以上で約40万7000人(男性17万2000人、女性23万5000人)、60歳未満で既に無年金が確定している39万3000人ですので、少なくとも80万人の無年金者が近い将来無年金者となります。なお60-65歳の無年金者は社会保険庁もわからないそうです(国会質問で回答不能)。日本の場合、年金を受け取るために必要な支払期間は25年と非常に長く、これが無年金者大量発生の原因となっております。このため無年金者のうち半数の40万人は払い損になっており「支払わない方が悪い」とは一概に言えないところです。ちなみに、諸外国の場合、フランス3ヶ月、ドイツ5年、米国10年で、日本が群を抜いて長くなっています。この層にまで支払を求めるのが今回の制度です。

施行直前の先送りの愚

福田政権も事の重大性に気付いたのでしょう、制度開始前に早くも先送りしています。

与党PTが高齢者医療の負担増凍結で合意、財源は補正対応へ
高齢者医療費の負担増凍結を検討している自民・公明の与党プロジェクトチームは30日午後に会合を開き、70─74歳の医療費自己負担増を2008年4月から1年間凍結することや、75歳以上の一部の高齢者が新たに支払う保険料の徴収について2008年4月から半年凍結し、続く半年について9割軽減することなどで合意した。凍結にかかわる財源1500億円程度やシステム改修費などについては07年度補正予算での対応を求めていく。高齢者医療費の負担増については、08年4月から70─74歳の自己負担を1割から2割に引き上げることや、75歳以上の被用者保険の被扶養者から新たに保険料を徴収(当初2年間は軽減措置あり)することが決まっていたが、9月の連立政権合意で凍結検討を確認、PTを設置して断続的に協議を行ってきた。負担増凍結に伴う財源について鈴木俊一座長(自民)は会合終了後、70─74歳の負担増凍結で1100億円程度、75歳以上の一部の凍結で360億円程度と指摘。このほか、地方自治体などのシステム改修費や周知のための広報活動などで数百億円が必要となる見込みだ。予算措置に関して鈴木座長は「シーリング(08年度概算要求基準)の外でやってほしい」と述べ、07年度補正予算での対応を求めた。(ロイター10/30)

開始前から「先送り」するような欠陥制度は、もう一度抜本的に作り直した方が無難でしょう。改正建築基準法といい、実務や生活への影響を考慮しない観念的というか原理主義とでも言いますか、危うさを感じます。

2007.11.22

膨大なオイルマネーとドル安のジレンマ

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現代版バベルの塔

中東湾岸諸国は史上空前の原油高により巨額の資金(ドル)を得て、開発ラッシュが続き我が世の春を謳歌しております。
ブルジュ・ドバイ(建設中)ブルジュ・ドバイ(完成模型)

現在ドバイに建設中のブルジュ・ドバイは162階建で高さ800m以上で、米国のフリーダムタワーより高く、現時点では世界一となる予定です。しかし同じ中東湾岸地域で1000mタワーの建設構想もあり、さながら現代版バベルの塔(バブルの塔?)でしょうか。

株式市場の沸騰

株式市場も活況です。ドバイでDPポーツという国営港湾会社が新規上場しましたが、5500億円のIPOに11兆円のマネーが殺到しました。

ドバイ・ポーツのIPO価格は仮条件の上限、約50億ドルを調達
DPポーツアラブ首長国連邦(UAE)の国営港湾会社であるドバイ・ポーツ・ワールド(DPワールド)は21日、新規株式公開(IPO)価格を仮条件のレンジ上限に設定し、49億6000万ドルを調達した。中東では過去最大規模のIPOとなった。全体の23%に当たる38億1800万株を売り出し。仮条件は1株1.00─1.30ドルだったが、上限の1.30ドルに設定された。DPワールドによると、IPOは15倍の応募超過だった、という。(ロイター11/21)

余談ですが、「貿易立国」の日本には、主要港(メガターミナル)の港湾会社が全く上場しておりません。不思議なことです。

ドバイ政府系投資機関、米銀への出資も検討=国際金融センター総裁
バイ国際金融センター(DIFC)のスレイマン総裁は19日、ドバイの政府系投資機関であるDIFCインベストメンツが、モーゲージ市場の問題の影響を受けた米国の金融サービス会社に出資することを検討していると明らかにした。DIFCインベストメンツはドバイ政府が外国の資産を取得する際に使う機関の1つで、今年に入ってドイツ銀行にも出資している。同総裁は、米国で「買収の好機」を模索していると述べた。出資先にはシティグループやメリルリンチなどの米銀が含まれるのか、との質問に対して、同総裁はロイターに「名前は挙げないが、われわれは銀行に出資した経験がある」と応じた。またモーゲージ問題の打撃を受けた銀行に出資するのは意義があるのかとの問いには「金融だけでなくすべてのセクターを検討中」と述べた。(ロイター11/19)

政府系投資ファンドへの警戒は先月のG7においても指摘されましたが、米国産業の中枢部にも進出の構えです。特にUAE系のファンドは資産規模1兆ドル(110兆円)で日本のGDPの1/5にも匹敵します。

中東湾岸諸国のドル安ショック

巨大な存在感を示しているオイルマネーですが、為替政策は未だにドルペッグ制です。このところドル安が加速していますが、いよいよ中東湾岸諸国がドルペッグ制を維持できない状況に陥りつつあります。

サウジのリヤルが21年ぶり高値、ドルペッグ制見直し観測で
19日の外為市場で、サウジアラビアの通貨リヤルが21年ぶりの高値に上昇した。サウジアラビアの通貨当局に近い筋がロイターに対し、米ドルとペッグしているリヤルの見直しを検討する可能性があると述べたことを受けている。0650GMT(日本時間15:50)現在、リヤルは1米ドル=3.7075リヤルと、1986年6月に同3.75リヤルで米ドルにペッグして以来の高水準となった。(ロイター11/19)

カタールのリヤルが5年ぶり高値、対ドルペッグ制の見直し観測で
米ドルの下落を受けてペルシャ湾岸諸国が自国通貨を米ドルとペッグさせている為替制度の改革を迫られるとの見方が強まったことから、カタールのリヤルが5年ぶりの高水準をつけた。リヤルは現地時間朝方の取引で1ドル=3.6320リヤルと、2002年11月以来の高値で推移している。サウジアラビアのリヤルも前日の取引で21年ぶり高値をつけ、1年以内に2.4%上昇することを織り込む水準となった。(ロイター11/20)

UAEのディルハムが対ドルで5年ぶり高値、ドルペッグ制見直し観測で
21日の外為市場で、アラブ首長国連邦(UAE)の通貨ディルハムが対ドルで5年ぶりの高値に上昇した。ペルシャ湾岸諸国がドルとのペッグ制を廃止するとの観測から買われている。ディルハムは1米ドル=3.6675ディルハムと、2002年11月以来の高値をつけた。同通貨は、スウェイディ中央銀行総裁が先週、サウジアラビアなど湾岸諸国と協調して、為替相場を通貨バスケットに連動する仕組みに改める可能性があると発言して以来、上昇している。(ロイター11/21)

今からちょうど10年前の1997年には、タイバーツを発端としたアジア通貨危機が猛威を振るっており、韓国がIMF管理下となったり大変な状況でした。背景にはドル高がありました。「東アジアの奇跡」「アジアの四小竜」と呼ばれ経済成長を謳歌していた東アジアやASEANN諸国は、ドル高で輸出が伸び悩やんだところをヘッジファンドに狙われ、急激な経済崩壊に見舞われました。ドル高にアジア各国の通貨がついて行けずドルペッグを放棄せざるを得ませんでした。
今回はドル安に湾岸諸国の通貨がついていけなくなってきたことが主因です。
湾岸諸国は国内産業が皆無に近いので主要物品は輸入頼みで、ドル安はインフレに直結します。さらにペッグ制維持のためアメリカに合わせて利下げをすれば、インフレが加速してしまいます。せっかく原油高で大金を稼いでも高インフレで目減りしてしまえば元の黙阿弥です。各国のインフレ率は、UAEが9%、カタールが13%、最も緩やかなサウジアラビアでも直近10年間の最高値の約5%で、賃料は年間12%の上昇です。

中東湾岸国のマクロ経済データ

国名 サウジ UAE カタール クウェート
GDP(10億ドル) 298.6 117.1 21.6 67.6
人口(百万人) 24.4 4.9 0.8 2.9
一人当たりGDP 10,936 22,643 44,500 23,069
経済成長率(05年%) 6.5 10.0 10.0 9.1
経常収支(10億ドル) 87.1 12.7 9.3 19.2
外貨準備(10億ドル) 86.5 23.0 3.6 8.9
原油生産世界シェア 13.1 3.3 1.2 3.1
人口も少なく、石油関係以外の産業もないので、いくら国富があっても不安定さをぬぐえません。巨額IPOで大金を得た新興IT企業のようです。富があまりにも極端に偏在しているため、石油枯渇後や国内・国外情勢の流動化により砂上の楼閣となる恐れもあります。

中東拡大図

中東拡大図

UAEが利下げ、ディルハム上昇圧力受け
アラブ首長国連邦(UAE)中央銀行は22日、譲渡性預金金利を最大20べーシスポイント(bp)引き下げた。ドルとペッグしている同国通貨ディルハムに投資家の買い圧力が強まっていることに対応した。同中銀は、6カ月物と9カ月物の譲渡性預金金利を10bp引き下げ、それぞれ4.40%、4.30%とした。12カ月物は15bp引き下げて4.15%、18カ月物は20bp引き下げて4%とした。(ロイター11/22)

ドルペッグ制を維持するには国内経済を無視して米国金利と連動せざるを得ません。インフレをどこまで容認できるかでしょう。安全保障の問題も絡みますので、一筋縄ではいかないようです。
UAEディルハム






2007.11.21

史上最大の貿易額-貿易依存度が強まる日本経済

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本日、財務省から貿易統計が発表されましたが、貿易頼み、特に新興国頼みの日本経済の構図が鮮明に現れております。輸出金額は47ヶ月連続の増加です。

10月の貿易黒字66.1%増=輸出入とも過去最高-財務省
財務省が21日発表した10月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易黒字は前年同月比66.1%増の1兆0186億円で、3カ月連続プラスとなった。中東やロシア向けの自動車輸出が好調に推移し、黒字拡大に寄与した。輸出額は13.9%増の7兆5155億円。輸入額も原油価格の高騰で8.6%増の6兆4969億円となり、輸出入額ともに過去最高を更新した。地域別の黒字額をみると、対アジアは携帯電話部品の輸出が伸び、59.5%増の7473億円と10月としては過去最高。対欧州は英国、フランス向け自動車輸出がけん引し51.4%増の4759億円となった。一方、対米は低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン問題の影響で自動車や建設機械の輸出が伸び悩み、8.5%減の7173億円と2カ月連続で前年を下回った。(時事通信11/21)

10月実質輸出は前月比+0.6%、2カ月ぶり上昇
横浜港湾のトヨタの輸出製品日銀は21日、財務省が発表した10月の貿易統計を受けて、景気判断にも使用する実質輸出入(季節調整済み)を発表した。10月の実質輸出は前月比0.6%増の159.9(2000年=100.0)となり2カ月ぶりに上昇した。実質輸入は前月比0.6%減。実質収支は同3.4%増の271.4で、2カ月ぶりの上昇となった。(ロイター11/21)

貿易の推移
9月は、サブプライム問題による金融動乱直後の統計になり、米国向けの輸出は前年同月比で▲9.2%減と極端な落ち込みを示しましたが、10月も▲1.5%減と続落です。それでも輸出が増加したのは、EU向けが9月+13.2%、10月+23.7%、中国向けが9月+8.3%、10月+12.9%と大幅に増えているからです。
地域別輸出額
日本の輸出額は2000年には51.6兆円でしたが、わずか7年間で82.8兆円と+60%も急増しております。特に特出すべきは中国向けで3.2兆円から12.6兆円へと約4倍で、米国・EU向けとほぼ同水準にまで達しています。これでは確かに新興国向け輸出を行っている企業は笑いが止まらない状態だったでしょう。

為替相場の動向

サブプライム問題の深刻化に端を発したドル安は一向に劣える気配がありません。1ドル110円の節目を突破して108円台にまで円高(ドル安)が進んでおります。

円急騰、一時108円台=約2年5カ月ぶり-東京市場
21日の東京外国為替市場では、米国のサブプライムローン問題を背景とする信用不安の高まりから円買い・ドル売りが膨らみ、円相場は一時、約2年5カ月ぶりに1ドル=108円台に急騰した。前日の米国市場の流れを引き継ぎ、東京市場も109円台の円高基調でスタート。午前中は小動きが続いていたが、午後に入り日経平均株価が下げ幅を広げ、アジアの株式市場も軟調に推移したため、株式などのリスク資産解消に伴う円買い・ドル売りの動きが活発化した。また、サブプライム絡みで金融機関の損失拡大懸念が強まり、米国経済の先行き不透明感が高まっていることも円買いに拍車を掛けた。(時事通信11/21)

個人の間で高金利の外債を買ったりFXの為替スワップ取引をすることがブームになっていましたが、全てが円安が前提でした。「各通貨に金利差あるとき、為替はそれを相殺するする方向に動く」ことが常識ですが、あまりに円安の状態が続いていたため、非常識な状態に慣れっこになってしまったようです。個人のポジションは円売りドル買いで為替スワップ狙いが大半(9割)ですので、今回の相場でかなりの損失を被っていないか心配です。

2007.11.20

世界で頻発する労働争議-原因は社会保険

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日本ではあまり報じられておりませんが、今年は世界的に労働争議が頻発しております。特に現在フランス国鉄で行われているストライキは、国の経済に深刻な影響を与える規模にまでなっています。

交通スト、影響深刻=開始から1週間、教職員も突入-仏
フランスの公共交通機関で働く労働者による年金改革反対の無期限ストライキが20日、労使間の対立が解決しないまま1週間を迎えた。通勤・通学の混乱が続く中、この日新たに人員削減に反対する教職員らの公務員組合も24時間ストに突入。仏経済にも深刻な影響が出始めた。13日夜始まった仏国鉄などのストでは当初、高速列車TGVの運行本数が通常の1割前後まで低下、全土の交通がまひ状態に陥った。19日はTGVのほぼ半数、パリ市内などの地下鉄やバスは3、4割が動いた。国鉄のストによる損害は既に1億ユーロ(約160億円)以上、パリ市交通公団の損失も2400万ユーロ(約40億円)と推定されている。このほか休業に追い込まれる企業や商店も続出。ラガルド経済・財務・雇用相は、ストによる仏経済の損害額は1日当たり3億~4億ユーロ(約480億~640億円)に上るとはじいている。(時事通信11/20)

今回の年金改革は有権者の6割が賛成という世論調査もありますので、国民全体としては容認なのでしょうが、今まで最も優遇されていた公的部門の労働者が最も負担を強いられるのでしょう。日本でも国労や日教組が労働争議を繰り返していた時代がありましたが、構図はさほど変わらない感があります。
パリ駅で電車を待つ乗客ストライキ横断幕

焦点となっている年金改革は、国鉄等の公共部門について勤続37.5年を受給資格としている現行制度を、2012年までに民間並みの勤続40年にする内容ですから、日本の「年金改革」に比べれば遙かに痛みは少ないと思いますが、抵抗は頑強ですね。どこの国でも既得権をなくすのは大変なようです。

アメリカの労働争議

9月には米GMでもストライキがありました。こちらは退職者の医療費の削減問題が発端です。一口に退職者と言っても、GM程の超巨大企業になると46万人もいます。

GM、9年ぶりスト 全米で82工場が操業停止に
全米自動車労働組合(UAW)は24日、米自動車最大手のゼネラル・モーターズとの労働協約の改定をめぐる労使交渉が不調に終わったことから、全米のGMの工場でストライキに入った、と発表した。GMでのストは一部工場で実施された98年以来9年ぶり。欧米メディアによると、全米規模での自動車大手のストはフォード・モーターの76年以来31年ぶり。GMによると、全米の完成車工場や部品工場など計82拠点が操業を停止し、7万人規模の工場労働者がストに参加する見通し。(朝日新聞9/25)

こちらは短期間で妥協をみましたが、どこの国でも社会保険問題は深刻になっております。

日本の労働争議事情

日本では、バブル崩壊後、労働争議やストライキの話はほとんど聞かなくなりました。
日本の労働争議件数の推移
バブル崩壊後の10年前でも、争議行為いわゆるストライキ等は年間700件前後ありました。しかし毎年減り続け、昨年度はわずか129件にまで減少しています。パート労働者の増加、労働組合組織率の低下、若年層の組合忌避、様々な要因が考えられますが、国内産業の沈滞が続いているため、国民の大部分が所属する中小企業の業績が一向に回復しないことも大きな要因の一つでしょう。国民がおとなしくなったと言うよりも、「いくら騒いでも給料が増えそうにないし、下手をすれば本当に倒産してしまう。」ということを実感として感じているのでしょう。

2007.11.19

財政再建派の逆襲-消費税をあきらめない-

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11月に入って例年のように税制に関する議論が活発になってきました。消費税の導入については、福田総理判断で来年度は先送りになりましたが、既に再来年度の導入に向けての準備が進んでいるようです。

自民党

消費税率2段階引き上げで10~13%に…自民研が骨格
自民党の財政改革研究会(会長=与謝野馨・前官房長官)は16日、財政健全化に向けた道筋を示す中間報告の骨格を固めた。消費税を、増え続ける社会保障給付のための財源と明確に位置付けたうえで、2009年度と10年代半ばの2段階で税率を引き上げ、現在の5%から10~13%にすべきだとの考えを示した。21日に取りまとめる中間報告に、具体的な消費税率引き上げ幅を盛り込む方向で調整している。中間報告は谷垣・自民党政調会長に提出され、今後の税制改正論議のたたき台となる。骨格は消費税について「社会保障給付のための財源として位置付ける」と明記した。政府・与党は08年度は消費税率引き上げを見送る方針だ。(読売新聞11/17)

政府・官邸

政府税調答申、20日に取りまとめ=消費税上げの必要性提言へ
政府税制調査会(首相の諮問機関)は16日、2008年度税制改正答申を20日の総会で取りまとめることを決めた。福田康夫首相が外遊から帰国する22日にも提出する予定。社会保障財源として、消費税引き上げの必要性を3年ぶりに盛り込むことが柱となる。ただ、増税の幅や時期の明記は見送る方向で、政府・与党による抜本税制改革は09年度以降に持ち越される。(時事通信11/16)

財務省

財政改革停滞にいら立ち、建議での消費税言及「黙っていられない」=財政審会長
西室氏(元東芝会長)財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の西室泰三会長は19日、同日午前に額賀福志郎財務相に提出した2008年度予算編成に関する建議において消費税引き上げの必要性を示唆したことについて「財政構造改革が進んでいないことにいら立っている」とし、「従来の建議では消費税という言葉を避けてきたが、もう黙っているわけにはいかない」と強い口調で財政再建の重要性を訴えた。建議では、消費税について「早急に本格的な議論を進め、消費税を含む抜本的な税制改革を実現させるべく取り組んでいく必要がある」と財政審としては異例の言及を行ったが、西室会長は「消費税と書けば、引き上げの話と読んでもらえると思った。消費税は重要な政策課題というのを鮮明にしようとの考え方だ」とし、税率引き上げの必要性を前提にしていると説明した。その上で、与党が2008年4月から予定されていた高齢者医療費の負担増を凍結することで合意したことについて「高齢者で負担できる人には負担してもらうという新しい考え方の導入が1年遅れた。極めて残念な政治的決着だ」と批判した(ロイター11/19)

元キヤノンの御手洗氏といい、元東芝の西室氏といい、ハイテク企業出身者はよほど消費税がお好きなようです。ハイテク企業は他の企業に比して様々な優遇税制を受けており、このこと事態は国債競争上やむを得ない面があることは理解できます。しかし、優遇を受けている者が他社の負担増(消費税増税)を声高に主張するのはいかがものかと思います。
東芝地域別売上構成比キヤノン地域別売上構成比

ちなみに、東芝の全売上の内、日本国内が占める割合は50%、キヤノンに至ってはわずか23%です。

日本の税制の決定機関

税制、は国民生活・企業活動に直結する極めて重要な政策ですが、その政策決定プロセスは非常に閉鎖的です。

自民税調、非公式幹部会を廃止 新会長に津島元厚相
自民党は18日、税制改革に大きな影響力を持つ党税制調査会の新会長に津島雄二元厚相、小委員長に町村信孝総務局長の起用を内定した。額賀福志郎政調会長が党本部で発表した。額賀氏は両氏に、「インナー」と呼ばれる税調の運営を仕切ってきた長老議員による非公式な幹部会を廃止するよう要請し、2人は受け入れた。「密室政治」との批判がつきまとうインナーの廃止によって、首相ですら口をはさめないとされた自民党の税制の意思決定システムが大きく転換する可能性もある。(2003/11/18)

日本の税制は、つい最近(2003年)まで、自民党税制調査会の最高意思決定機関「インナー」で決定していました。「インナー」とはごく少数の「税制通」自民党長老議員による非公式な秘密会で、メンバーは相沢英之会長、山中貞則最高顧問等でした。2003年以降は、徐々に官邸主導へ移行していきますが、浄化作用と言うよりも、「長老議員」があまりに高齢になりすぎて、死亡(山中氏2004年死去)・引退(宮下氏2003年)・選挙落選(相沢氏2003年落選)によりメンバーがいなくなったためのようです。
しかしいまだに具体的な内容は、12月15日前後に自由民主党から公表される「○○年度税制改正大綱」で決まります。問題になるのは、税制改正大綱で「闇討ち改正」されること(増税が多い)が多いことです。個人に関する事項の場合、1月1日から施行になりますので半月間程しか周知期間がなく改正への対応が事実上不可能になっています。法人でも3ヶ月程度ですからそれほど余裕はありません。

続く「闇討ち」増税

特に酷かったのは個人では、平成16年度の税制改正で「土地建物の譲渡損失を他の所得との損益通算と翌年以降の繰越」を認めなくしたことでしょう。簡単に言えば、不動産を売買して損をした場合、法人ならその損と利益を相殺可能で、かつ損が多額の場合には翌年以降の利益とも相殺できますが、個人の場合、両方とも認められず税金の負担が増えます。例えば1000万円損して税率30%なら300万円は余計に税金を支払うことになります。中小企業では、平成18年度の税制改正で「役員給与の損金算入の見直し」でしょう。簡単に言えば、役員報酬の一部は経費として認めないから税金を支払えということで、例えば、社長報酬が年800万円、会社の所得が200万円の場合、約70万円の税金が130万円に増税になります(但し、この制度はあまりに急激な税負担増になったため、翌年に若干緩和されました。)。
小泉政権以降、個人消費抑制政策を恒常的に続けているため、デフレがなかなか解消されません。しかし此処にきて、原材料高・原油高・食品高という海外発「黒船」インフレが同時に発生しており、経済は徐々に混迷の度を深めていかないか危惧しております。

2007.11.16

「新興市場」だらけの日本の株式市場

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上げ下げともに振幅が激しく、波乱続きの株式市場ですが、来年にもまた新しい株式市場が誕生しそうです。

プロ向け市場創設、世界の投資家との競争で日本の運用会社刺激=東証
東京証券取引所の斉藤惇社長は16日、日本記者クラブで講演し、2008年中の創設を表明したプロ投資家向けの新興市場について、日本の生損保会社や投資信託とともに、外国の機関投資家を積極的に呼び込む考えを示した。そのうえで、新市場を世界のプロの投資家との競争の場とすることで、日本の運用会社を刺激したいとの意向を示した。政府が掲げる東京市場の国際競争力強化を受けて、東証はロンドン証券取引所(LSE)と共同で、プロ向け市場を運営する合弁会社を08年中に設立する。斉藤社長は、新市場について「マザーズ、ヘラクレス、ジャスダックとまったくルールが違う市場を作る」と語った。斉藤社長は、新市場に上場する企業について「技術があって育てれば将来的に日本のコアになる企業」と語るとともに「中国、インド、台湾、フィリピン、ベトナムなどの海外企業でも誰でも参加できるようにしたい」とした。東証は、アジアを中心とする海外企業を呼び込むために、1)英文開示と国際会計基準の容認、2)日本版SOX法と四半期開示の適用免除を可能にする制度改正を求めている。一方で新市場については「流動性をつける点で難しい面もある」と語った。参加するプロの投資家としては「日本の生損保や投資信託に声をかけてもしばらく手を出さないかもしれないと思うので、外国のリスクテイカーを歓迎して呼び込みたい」とした。斉藤社長は「日本の運用力は世界に比べてはるかに遅れている」と指摘。銀行、証券、保険会社系の運用会社ばかりで、独立系の運用会社もない日本に対して、米国の運用会社は、世界中から多様な人材を集めて運用力の向上に努めていることを説明した。そのうえで「プロ市場を作ることで(世界の機関投資家と競争をさせて)日本の運用市場を刺激をしたい」との意向を示し「これは簡単なことではなく、おそらくいろいろな批判も浴びると思うがやりたい」と強調した。また、東京市場の競争力については「中国などアジアが国をあげて金融センターになろうとしている。これから中国とのポジション争いは相当なものになるし、シンガポールも譲歩したりなどしない」などと述べたうえで「東京がアジアを支配するのはそう簡単ではない」との認識を示した。(ロイター11/16)

g71116_3.jpg日本においては、東京、大阪、名古屋の3市場の他に、福岡、札幌の地方取引所、ジャスダックがいわゆる「証券取引所」です。そしてそれぞれの証券取引所のなかに新興市場向けの「市場」が設けられています。東証-マザーズ(1999年11月開設)、大証-ヘラクレス(2000年5月開設:旧ナスダックジャパン)、名証-セントレックス(1999年12月開設)、福証-Q-Board(2000年5月開設)、札証-アンビシャス(2000年4月開設)、ジャスダック-NEO(2007年8月開設)が該当します。さらに日本証券業協会が設けている「グリーンシート銘柄(非上場)」制度も一種の市場とみなせるでしょう。

日本の株式市場

日本は元々株式市場数が多い上、それぞれが新興市場を設立して混乱に拍車をかけています。全市場が同じ時期に新興市場を開設しているのは、親方日の丸的横並び意識とでも言うのでしょうか。元々「新興市場」だったジャスダックまで今年になって「新興市場」を開設しています。
市場 登録数 新興市場 登録数 開設月
東証 2,213 マザーズ 201 1999年11月
大証 894 ヘラクレス 171 2000年05月
名証 360 セントレックス 32 1999年12月
ジャスダック 975 NEO 1 2007年08月
福岡 134 Q-Board 10 2000年05月
札幌 77 アンビシャス 11 2000年04月
グリーンシート 82
(2007年11月16日現在)

新興市場の黒歴史

すでに既存の証券取引所が1つずつ持っている「新興市場」ですが、その歴史は必ずしも「次世代を担う高い成長可能性を有した企業に、直接金融による早期の資金調達の途を確保し、企業の一層の飛躍を促す」という本来の目的どおりには運営しきれていません。マザーズに最初の2社は利益がほとんど無い状態での上場で、特にリキッド・オーディオは売上さえ数十万円に過ぎませんでした。結局、インターネット総研は巨額赤字で経営混乱をきたし身売りして市場を去り、残りのリキッド・オーディオは上場時には多数の芸能人を集め華々しいセレモニーを行いましたが、暴力事件で社長逮捕・暴力団との関係が発覚して以降は上場企業の体をなしていない状態になってます。
インターネット総研(現在上場廃止)
インターネット総研
リキッド・オーディオ(現ニューディール)
リキッド・オーディオ
マザーズと言えば何といってもライブドアでしょう。その実態は散々報道されたとおりですが、株式市場全体にとっても1万分割をした揚句、東証のシステムダウンまでもたらした鬼子です。東証は1銘柄のために市場の取引時間を制限するという前代未聞の醜態を晒しました。ヘラクレスも元々は孫正義氏が主導で設立したナスダックジャパンでしたが、巨額赤字により営業停止となり、結局大証に引き取られました。セントレックスも新興証券会社が主幹事となり、上場に疑問符がある企業を高値でIPOを行い、新規上場後に公募割れする事態が多発しました。

日本の証券市場の将来は

日本の株式市場は、つい先頃時価総額で中国に抜かれるなど、あまり良い話がありません。新興市場の低迷でジャスダックの経営不振も伝えられています。このような情勢の中、新興市場の再編の話も出ているようですが、同床異夢でまとまりそうもないです。

日証協 ジャスダックなど新興企業向け市場の再編議論開始
国内の新興企業向け市場の再編をめぐり、本格的な議論が始まった。ジャスダック証券取引所の大株主である日本証券業協会は、大阪、東京の両証券取引所が運営する新興市場との統合などを模索し、大証も関心を強めている。日証協は年内にも再編の方向性をまとめる方針だが、証券業界関係者の思惑には隔たりも大きく、協議は難航が予想される。日証協は15日、証券業界トップらをメンバーとした再編に関する特別委員会を開催した。安東俊夫会長は、日証協が72%を保有するジャスダック株の売却を希望していることを表明した。そのうえで、ジャスダックの将来像として、(1)国内の全取引所を統合した「日本証券取引所」を設立して傘下に入る(2)単独で存続する(3)東証に統合する(4)大証に統合する--の4案を提示した。そのうえで、東証や大証と協議を行う方向で合意した。安東会長は今年7月、「新興市場も含めて取引所が多すぎる。議論の入り口にしたい」と再編構想の策定を表明しており、大証が運営するヘラクレス(旧ナスダック・ジャパン)との統合を軸に検討しているとみられる。また、日証協がジャスダック保有株の一部を売却することで、ジャスダック株を取得した他の証取との連携強化などの案も視野に入れている。再編論議の背景には、国内の新興市場が、06年のライブドア問題以降、イメージ悪化から投資家離れを招き、低迷から脱しきれない実情がある。マザーズ、ジャスダック、ヘラクレスの3株価指数は、06年1月から比べ半分~3分の1まで急落している。特に、ジャスダックは08年3月期決算で初の最終赤字に転落する見通しで、単独経営を危ぶむ声も出ている。さらに、海外では証取の再編機運が急速に高まっている。中国をはじめアジア市場の猛追を受け、日本市場の国際的な地位が低下している中、「乗り遅れてはならない」との危機感も強い。しかし、再編に対する各証取や関係者の思惑は複雑だ。ジャスダックの統合相手の「本命」とも目される大証は、03年にも統合を提言したがまとまらなかった経緯がある。大証は今回も、基本的には前向きの構えだが、当のジャスダックは「主導権は渡せない」と抵抗感が強く、単独での生き残りを主張。今月13日には先端技術系の新興企業に特化した新市場「NEO」を開設するなど、独自色の発揮に懸命だ。一方、東証はジャスダックとの統合には慎重な姿勢で、「うちの名前が出ても関係ない」(幹部)と冷ややかだ。(毎日新聞11/16)

各市場と経営者は、己の権益を守ることに汲々として、日本の証券市場の凋落に歯止めがかからない状態です。真のライバルは中国のはずですが、内向きの諍いばかりでは早晩全く太刀打ちできなくなるでしょう。国家や企業が衰退していく典型的な姿と言えます。
各新興市場は元々リスクを内包する「プロ向け市場」として設立したはずでした。しかし、度重なる上場企業の不祥事・スキャンダルにより、被害を被る投資家が続出し、厳格な決算監査と情報開示が強化された経緯があります。それからほとんど時間も経たないうちに、また「プロ向け市場」を設立するとは、東証の見識を疑います。なお、プロの仕事はリスクを減らして(限定して)、最大の利益を生み出すことであり、闇雲にリスクを負うことではありません。結局、「プロ向け市場」と言っても、機関投資家など真のプロの投資家は、利益も満足に計上できない怪しげな企業に投資するはずもなく、参加するのは、いかがわしいプロ達と多数の個人投資家ばかりとなるでしょう。

2007.11.15

不況感強まる、ワンピースが景気悪化を暗示する

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先日丸井が中間決算を発表しましたが、その席で社長が景気に対する憂慮の念を述べていました。

ワンピースブームは消費冷え込みの象徴 丸井・社長
「消費の潮目は明らかに変わった。とても慎重だ」。丸井グループの青井浩社長=写真=は9日、07年9月中間連結決算の発表の場で、こう嘆いた。相次ぐ商品値上げなどが購買心理を急激に冷やした可能性があるという。例に挙げたのが、女性のワンピースブーム。同社でも売れ行きは好調だが、半面、ジャケットやスカートは不振。青井社長は「ワンピースを買えば、上下の衣料品支出を抑えられるという心理があるのでは」と分析した。中間決算は改正貸金業規制法の影響でカード事業も冷え込み、売上高が前年同期比10.5%減の2368億円、当期利益は同75.7%減の8億円だった。 (朝日新聞11/9)

二宮尊徳(金次郎)に、初夏に食べた茄子が既に秋茄子の味をしていたことから凶作(天保大飢饉)を予測した逸話がありますが、トップレベルの経営者ともなると似たような嗅覚を持っているのでしょうか。
なお、10月景気ウォチャー調査で、百貨店の広報担当者がお客様の様子として次のようにコメントしていました。

  • 「百貨店の主力商品である婦人服が不振である。売れ筋がワンピースドレスに偏っているため、他の商品をまとめて買う傾向が少なくなっていること、トレンドに大きな変化が無く新たな需要喚起に結び付いていないことが大きな要因となっている。」
現場の感覚もほぼ同様のようです。

景気の行方

12日に10月の消費動向調査の結果が公表されましたが、憂慮すべき結果でした。

10月消費者態度指数、04年3月以来の低水準に
内閣府が発表した10月の消費動向調査によると、消費者態度指数(一般世帯原数値)は42.8となり、前月比1.3ポイント低下した。低下は2カ月ぶり。指数の水準として、2004年3月の42.7以来の低水準となった。「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」の4つの意識指標のすべてで前月比低下となった。1年後の物価見通し(一般世帯原数値)は、「上昇する」との予想が前月比10.7%ポイント増加の76.3%となった。(ロイター抜粋11/12)

消費者態度指数の推移
消費者態度指数は11ヶ月連続の悪化で、42.8ポイントとなっております。相場で言えば完全に底割れの状態です。項目別では、「暮らし向き」は18ヶ月連続の悪化「収入の増え方」は16ヶ月連続の悪化です。なお、「1年後の物価見通し」では76.3%が「上昇する」と回答してます。先月が65.9%ですから水準も増加ペースも非常に高いです。食品や燃料等、日常の生活物資が高騰してますので当然と言えます。
別の景気系調査もよくありません。

<景気>現状判断指数、7カ月連続低下…ウオッチャー調査
内閣府が8日発表した10月の景気ウオッチャー調査によると、街角の景況感を示す現状判断指数は前月比1.4ポイント低下の41.5と、7カ月連続で低下した。ガソリン・素材価格の上昇や食料品の値上げに加え、改正建築基準法の施行に伴う建築着工の遅れが影響しており、内閣府は基調判断を「景気は回復に弱い動きがみられる」から「景気回復に引き続き弱い動きがみられる」へと、3カ月ぶりに下方修正した。現状判断指数は03年5月(38.4)以来の低水準で、良しあしの判断の分かれ目となる50を割り込んだのも7カ月連続。また2~3カ月先の景況感を示す先行き判断指数も、前月比2.9ポイント低下の43.1で、6カ月連続で低下。50割れは5カ月連続となった。現状、先行き両指数とも、家計、企業、雇用の3指標すべてが前月比で悪化した。(毎日新聞11/15)

景気ウオッチャー調査推移
コメントを見ると、「良くなっている」としているのは各地域1件あるかないかです。小売関係・旅行関係は若干ネガティブ、建設関係は大幅にネガティブです。キーワードとしては、原油高、原料高、建築確認の遅れが特に目立ちます。
各指標がこの水準まで下がりますと、しばらくは景気悪化が避けられないでしょう。個人は「痛みに耐えて頑張った」のですが、とうとう最後まで「頑張り」に対する果実は受け取ることができませんでした。

消費税を巡る動き

ここしばらく、政府系関連機関が強力に消費税増税のキャンペーンを展開していましたが、このところの経済情勢の悪化には勝てなかったようです。今年の消費税増税は先延ばしになりました。

<消費税>来年度税制改正論議で結論見送りへ 政府・与党
政府・与党は14日、消費税率引き上げについて、年末の08年度税制改正論議では増税幅や実施時期の結論を出さない方針を固めた。参院で与野党勢力が逆転する中、衆院解散・総選挙の時期が早まることも想定し、現段階で具体的な政治課題にするのは得策でないと判断したとみられる。福田康夫首相は14日、首相官邸で開かれた全国知事会議で、知事側が消費税増税分を地方財源に充てるよう提案したのに対し「(歳入が)足りない分、消費税を上げるというのは短絡的過ぎるのではないか」と慎重姿勢を示した。首相は12日の英紙とのインタビューでも、行政のムダ遣いに対する批判が強いことを理由に「今、消費税のことを言うと国民は怒るだろう」と語っていた。一方、自民党の伊吹文明幹事長も14日、日本記者クラブでの講演で、消費税について「来年上げるというのは、わが党としてやらないつもりだ」と述べ、年末の党税制調査会で本格的な議論をしない考えを示した。(毎日新聞11/15)

福田総理の「今、消費税のことを言うと国民は怒るだろう」という言葉が全てでしょう。
経団連が消費税率引き上げを要請しています。法人税減税要請を求めず消費税増税を容認することで国のために協力しようという趣旨なのでしょうが、なんとも間の悪いタイミングです。

経団連、優先課題として消費税率引き上げを財務省に要請
御手洗経団連会長日本経団連と財務省は15日、御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)や額賀福志郎財務相が出席し、都内で意見交換会を開いた。席上、経団連側からは、法人税の実効税率引き下げよりも、財政再建を優先し、消費税率引き上げを求める意見が出た。意見交換会終了後、同席した経団連関係者が明らかにした。経団連の大橋光夫・昭和電工会長は、日本の財政状況を考えると税財政の抜本改革が必要だとし「法人税率引き下げも課題だが、それよりも消費税の拡充は不可避だ」との認識を示した。これに対し、額賀財務相は、政治・経済情勢全般を見て判断すると述べるにとどめた。また、経団連側が証券優遇税制の継続を求めたのに対し、額賀財務相は「市場の状況も考え、総合的に考える」と述べたという。経団連は2008年度税制改正で、研究開発促進税制における控除限度額を現行の20%から30%に引き上げることや控除率の拡充、限度超過額の繰越期間の延長要請している。こうした要請に対し、財務省の加藤治彦・主税局長は、これまで個人増税・企業減税を実施してきたことを説明し「限度額を20%から30%に引き上げると、何千億円も必要になる。難しい問題だ」と述べ、否定的な考えを示した。(ロイター11/15)

名経営者達も企業経営の第一線を離れて、老いて団体の要職などに就くと、仲間内の利益ばかり優先し、大局的な判断ができなくなるのでしょうか。ここ数年大企業向けの非常に有利な税制改正が続いているので、あまり欲張らない方がよいかと思います。どうせなら細かい税制への要望などでなく、GDP拡大のための提言など天下国家のための施策に注力して頂きたいものです。

2007.11.14

所得倍増時代の中国経済と金融当局の変化

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中国経済は、高度経済成長がまだ継続中のようです。

10月の中国小売売上高は前年比+18.1%、過去最高の伸び
中国国家統計局が14日発表した10月の小売売上高は前年比18.1%増となり、前月の17.0%増から伸びが加速、増加率は過去最高を記録した。所得の増加やインフレの加速に加え、堅調な株式市場を背景に投資益が増加したことなどが寄与した。ロイターがまとめたエコノミスト予想は17.2%増だった。1-10月の小売売上高は前年同期比16.1%の増加。国家統計局のスポークスマンは、10月の小売売上高の増加率について、1999年に月次データの発表を開始して以来の最高となったと語った。アクション・エコノミクス(シンガポール)のエコノミスト、デビッド・コーエン氏は「中国の成長エンジンが引き続き、好調であることが新たに示され、今後も中国が世界経済の拡大をけん引し、米経済の減速を補う見通しであることが確認された」と述べた。また、ギャラクシー・セキュリティーズ(北京)のアナリスト、Zhang Xinfa氏は、小売売上高の数字は名目であり、10月の中国消費者物価指数(CPI)上昇率が6.5%と、11年ぶりの高水準に加速したことが押し上げ要因になったと指摘。「18%を上回る増加率は持続不可能だ。今後2カ月間に17%前後に戻るだろう」との見方を示した。さらに「人々は、株式市場や不動産市場から利益を得たことで、消費を増やしている」と指摘した。中国株式市場は今年2倍に上昇しており、14日発表されたデータによると、主要70都市の10月の不動産価格上昇率は前年比9.5%と、9月の同8.9%から加速した。北京と深センの不動産価格は15%超上昇した。(ロイター11/14)

インフレを考慮に入れても、年率18%で小売が伸びているのですから、消費は非常に旺盛です。GDPも若干下方修正しましたが今年も2桁成長継続の予想です。

07年の中国GDP伸び率は11%超、CPIは4.5%前後へ=人民銀行
中国人民銀行(中央銀行)は、第3四半期の金融政策報告のなかで、2007年の国内総生産(GDP)伸び率は11%を上回り、消費者物価上昇率は平均4.5%前後との見通しを示した。貿易黒字については、高水準を維持するものの、伸び率は鈍化すると予想。人民元をより柔軟にし「基本的に安定」を維持していく、としている。食品コストが上昇しており、インフレ期待が物価圧力に加わっている状況で、引き続きインフレ抑制が最優先課題との認識を示した。(ロイター11/8)

中国GDPの推移
名目GDP(億元) 実質成長率
(前年比)
名目GDP(兆円)
1998 84,402 9.3% 115.2
1999 89,677 7.8% 110.7
2000 99,214 7.6% 137.1
2001 109,655 8.4% 173.6
2002 120,662 8.3% 172.8
2003 135,822 9.1% 175.5
2004 159,878 10.0% 198.6
2005 183,084 10.2% 267.1
2006 209,407 11.1% 319.1
2007(予想) 242,912 11.4% 364.4
人民元(ドル)ベースでは、GDPがほぼ5年で倍増しております。1978年のGDPは3,645億元ですから約30年間でGDPが66.6倍となっております。30年間大きなリセッションもなく(1989~1990年が約4%成長)、経済成長を続けています。

中国の資産バブル・インフレ状況

経済成長は続いていますが、急激な経済発展・経済規模の拡大に伴う問題も拡大しております。様々な中国問題が取りざたされておりますが、問題の質はかつての日本と大差なく、規模や周囲への影響も人口で日本の10倍、全先進国人口の総和より多い巨大国家が高度経済成長を行っているのでやむを得ない面があります。現時点での中国の経済状況に限定すれば、特に問題なのがインフレ・資産バブルでしょう。

10月の中国都市部不動産価格、前年比+9.5%
中国国家発展改革委員会は14日、ウェブサイトに掲載した報告で、10月の国内70都市の平均不動産価格が前年比9.5%上昇したと発表した。上昇は6カ月連続。9月の上昇率は8.9%だった。前月比では1.6%上昇した。都市別では北京の上昇率が前年比15.1%、深センは19.5%だった。(ロイター11/14)

アリババ、香港上場初日は公募価格の約3倍で終了
アリババ馬会長香港株式市場に6日上場した中国の電子商取引大手アリババ・ドット・コムは、公募価格のほぼ3倍に値上がりして取引を終えた。前日の香港市場が急落し、一部から割高感が指摘されていたにも関わらず急伸したことで、中国関連株に対する人気があらためて示された。アリババ株は公募価格の13.50香港ドルに対し、一時39.95香港ドルまで上昇。相場全体が一進一退だったにも関わらず、ほぼ一貫して上昇基調を保ち、公募比193%高の39.50香港ドルで初日の取引を終えた。時価総額は約259億米ドルとなり、インターネット関連会社としては世界5位、日本を除くアジアでトップとなった。(ロイター11/6)

不動産・株などの資産高騰は相変わらずで、既にかなりのバブル状態のようです。インフレで特に深刻なのが食品で、主食類6.7%、食用油34.0%、卵類14.3%、水産品7.0%、生鮮野菜29.9%、生鮮果実8.5%、肉類及び加工品は38.3%の上昇です。極端なインフレの事例として度々報道される豚肉は54.9%も高騰しております。工業製品やハイテク製品は下落しており、自動車等の乗物は▲2.5%、通信機器は▲18.4%もの下落です。

中国のインフレ対策

流石に、中国金融当局もインフレ・バブル退治に本格的に取り組みはじめたようです。

中国人民銀行総裁、インフレ防止への決意を再表明
中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は、14日付の金融時報に掲載されたインタビュー記事の中で、インフレ期待を落ち着かせ、過剰流動性を抑制する決意をあらためて示した。また中国は、実質金利がマイナスとなる状況から脱却する必要があると強調。「われわれは実質金利のマイナスが長く続くような状況を避けねばならない」と述べた。国家統計局が前日発表した10月の中国の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比でほぼ11年ぶり高水準の6.5%となり、9月の6.2%から加速した。エコノミストは、人民銀行が早ければ週内にも今年6度目となる利上げを実施する可能性があると指摘している。周総裁は「われわれはインフレ期待を安定させるため、価格手段(price tools)を全面的に活用する必要がある」と述べた。また、人民元を引き続き「妥当かつ均衡の取れた水準で基本的に安定させる」意向を繰り返し表明する一方、流動性抑制措置を強化する方針を示した。人民銀行が12日発表した10月のマネーサプライM2伸び率は9月と同水準の前年比18.5%で、1-10月の銀行による新規融資は3兆5000億元と、2006年通年の3兆1800億元を上回った。周総裁は「信用の伸びを妥当な水準に維持するため、われわれは適度に引き締め的な金融政策を遂行、引き続き包括的な措置をとるとともに政策手段を改善・革新し、マクロコントロールを適切に強化しなければならない」と述べた。(ロイター11/14)

中国が預金準備率を0.5%引き上げ、過去最高水準に
中国人民銀行は10日、金融機関の預金準備率を0.5%引き上げると発表した。11月26日から実施する。マネーサプライの伸びやインフレ加速を抑えることが狙い。預金準備率の引き上げは今年9回目。今回の引き上げにより大手銀行の預金準備率は過去最高水準の13.5%となる。人民銀行は8日に発表した四半期金融政策報告のなかで「消費者のインフレ期待は高まっており、一段とインフレを押し上げるだろう」と述べ、物価上昇に対して強い警告を発していた。(ロイター11/10)

中国の金利が上昇、早ければ今週にも利上げとの見方
14日の中国金融市場で金利が幅広く上昇した。市場では、インフレ抑制のため中国人民銀行が早ければ今週にも金利を引き上げる、との観測が広がっている。人民銀行は短期流動性の吸収姿勢を強めており、短期金利の上昇ペースが速い。13日に発表された10月の消費者物価指数(CPI)は前年比6.5%の上昇で、ほぼ11年ぶりの伸びとなった8月と同水準だった。また10月の融資の伸びは前年比17.7%で9月の17.1%から加速。貯蓄率は低下が続いているほか、10月の貿易黒字は270億5000万ドルと単月で過去最高を記録した。市場では、早ければ今週にも27ベーシスポイント(BP)の利上げがあるとみられている。54bpを予想する声もあるという。(ロイター11/14)

中国人民銀行周小川行長

金融は引き締め強化が続いております。株式市場は、逆に海外投資家の株式投資枠を増やしたり、指数先物取引を解禁したり、規制緩和で投資家層を厚くしショックを和らげようとの配慮のようです。

CPI(消費者物価指数)の推移

10月 9月 8月 7月 6月
米国 (11/15) 2.8% 2.0% 2.4% 2.4%
ユーロ 2.6% 2.1% 1.7% 1.8% 1.8%
中国 6.5% 6.2% 6.2% 6.5% 6.5%
日本 (11/30) ▲0.2% ▲0.2% 0.0% ▲0.2%
日本以外は、各国ともに許容インフレレベルの上限スレスレにおります。このままリセッションに入るとスタグフレーション化の恐れがあり、各国とも対応に苦慮しているところでしょう。
余談ですが、消費者物価指数(CPI)は各国とも次月中旬までに発表されますが、日本だけが次月末になっております。細かなことですが、このようなところにも行政スキルのレベルの低さが露呈しているように思えます。せめて統計情報ぐらいは諸外国並みにして頂きたいものです。

2007.11.13

実質GDP2.6%成長、デフレ下での景気拡大

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本日7-9月期GDPが発表されました。名目ベースで前期比0.3%増(年率換算1.4%増)、実質ベースで前期比0.6%増(年率換算2.6%増)で2四半期ぶりにプラス成長に戻りました。
GDP直近推移
但し、その内容については報道各社の論調が微妙に異なっています。

7~9月期GDPが2四半期ぶりプラス、年率換算2・6%
今年7~9月の経済が順調に成長したことが、内閣府が13日発表した国内総生産(GDP)速報でわかった。物価の動きを除いた7~9月の実質GDP(季節調整値)は、前期(4~6月)と比べて0.6%増と、2四半期ぶりにプラス成長を回復した。これを1年間に換算すると2.6%成長となる。1%台後半とされる日本の潜在成長率を上回る結果となり、2002年2月から続く景気拡大期が続いていることを裏付けた。住宅投資は、建築確認の審査を厳しくした法改正の影響で、大幅に落ち込んだ。生活実感に近い名目GDPは、前期比0.3%増、年率換算で1.4%増となった。物価の総合的な動きを示すGDPデフレーターは前年同期比0.3%減だった。1998年4~6月期から9年半連続でマイナスとなり、デフレからの完全脱却を前に足踏み状態が長引いていることを示した。(読売新聞11/13)

確かに発表の数値をそのまま読めば、「長期の経済成長が続いており、今四半期も良かった(潜在成長力以上の成長だった)」となるのでしょう。市場予測の年率1.7%も大きく上回っております。しかし内容をよく見ると、あまり芳しい成長とは言えないようです。

<GDP>プラス成長 けん引役は企業、低調な家計と明暗
7~9月期の国内総生産(GDP)は、実質、名目とも2四半期ぶりにプラス成長となったが、外需頼みの需要構造は相変わらずで、けん引役は企業部門(輸出、設備投資)に偏り低調な家計部門(個人消費、住宅投資)との明暗が鮮明となっている。個人消費は、前期比0.3%増で、4~6月期の同0.2%増とほぼ横ばいにとどまった。最大の要因は「賃金が伸びないこと」(大田弘子経済財政担当相)で、7~9月期の名目雇用者報酬(名目賃金×雇用者数)は、前年同期比0.1%増とわずかな伸び。企業業績の好調さが、1人当たり賃金に反映されない状況が依然として続いている。耐震偽装問題で建築確認の審査が厳格化された住宅投資も「景気のかく乱要因」(民間シンクタンク)となっている。7~9月期の大幅マイナス(前期比7.8%減)は、同期の実質GDPを0.3ポイント押し下げる要因となった。内閣府では「制度的要因による減少で、住宅需要そのものは落ちていない」(大田経財相)と見ているが、建築着工の大幅マイナスは今後も続く見通しで、10~12月期以降も景気に悪影響を与える可能性が高い。家計部門のマイナス要因を企業部門が吸収する形で、7~9月期はプラス成長となった。ただサブプライムローン問題や原油相場の高騰で、米国景気への懸念が膨らみ、円高が進んでいる。輸出に支えられた企業収益の先行きに懸念が強まり、12日の東京市場では株価が急落した。輸出と企業頼りのいびつな需要構造を温存したままでは、景気拡大は長続きしない可能性がある。(毎日新聞11/13)

結局は外需頼みの成長だったようです。以前なら輸出が伸びれば、下請け中小企業や従業員にも恩恵が及び、タイムラグが若干あるにせよ内需増へと波及しておりました。しかし、バブル崩壊以降、日本の産業構造も変わり、波及範囲は著しく狭まってしまいました。儲けた企業の預金通帳にお金が貯まるばかりで経済全体に循環せず、「死に金」になっているのでしょう。なお、次の四半期以降は悲観的とするエコノミストが多いです。

高めのGDPに楽観論なし、外需と住宅の減少見通し懸念する声多く
2007年7─9月期実質GDPは年率プラス2.6%となって、市場予想のプラス1.7%だけでなく、2%前後とみられる潜在成長率をも上回る高成長となった。だが、民間エコノミストの間では、サブプライムローン問題を起点とした米景気減速や国内の住宅着工急減などの悪材料が、10-12月期以降に表面化し、国内の成長率に下押しの圧力がかかるとの見通しが広がっている。07年度政府見通しの2.1%成長にも黄信号がともり、日銀の利上げにとってもハードルが上がる気配が出てきている。

<10─12月期、内外需で不安材料>
 今回のGDPが予想を上回ったのは、消費と住宅の数字が予想外に強めだったためだ。加えて4-6月期GDPが年率▲1.2%から▲1.6%と下方修正になったことも影響したとみられる。予想を上回る高成長にもかかわらず、今後は「10-12月期の成長率はかなり下振れ含み。潜在成長率を下回る可能性が高そう」(第一生命経済研究所・主任エコノミストの新家義貴氏)、「景気後退リスクが高まってきている」(ニッセイ基礎研究所・シニアエコノミストの斎藤太郎氏)など慎重論が多く聞かれた。改正建築基準法による住宅着工戸数急減の悪影響や、米国経済を中心とした外需減速の影響が、今後本格的に表面化するとみられるためだ。GDPベースの住宅投資は、住宅着工戸数と違い、金額ベース・進ちょくベースであることもあり「10-12月期についても住宅投資が大幅に落ち込むことはほぼ確実」(新家氏)という。建築物着工の遅れは、既に7-9月期の設備投資の下押し材料になっており、今後もこうした動きが続くとみられるという。さらに建築着工の遅れによる建設資材への需要減、それによる生産下押し圧力も今後懸念される。今回のGDPけん引役となった外需についても、10-12月期は減速するとの見方が多い。米国経済が減速するためだが、斎藤氏は、サブプライム問題の影響で消費減速がきつくなり、10-12月期の米国のGDPは年率1%台にまで減速するとみている。そうした場合「輸出減による生産減速は避けられない」(同氏)という。さらに最近の円高、株安、原油高も現状の水準が継続すれば、景気下押し要因となるとみられる。
<所得伸び悩み、消費の先行きも期待できず>
 今後、景気のけん引役となることが期待されている消費は、7-9月期は前期比+0.3%と、市場予想を大きく上回った。しかし、この基調が継続するとの見方は少ない。三井住友アセットマネジメント・チーフエコノミストの宅森昭吉氏は「消費の裏付けとなる雇用者報酬が、実質前期比▲0.2%と若干もたついたことで、評価は半減されてしまった感がある」と分析。所得の伸びが弱い上に、身近な食品などの値上がりで消費マインドは悪化していることもあり、みずほ証券・チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は「個人消費には今後も景気けん引役は期待しにくい」と指摘した。
<07年度GDP、5年ぶりに2%割れの可能性>
 こうした中で07年度GDPが、潜在成長率を下回る可能性が浮上してきた。今回のGDPを受けて、野村証券・金融経済研究所の木内登英チーフエコノミストは、07年度GDP見通しについて、これまでの+2.2%から、+1.6-+1.8%程度にまで下方修正することを想定しているという。07年度の成長率が2%割れとなれば、02年度の+1.1%以来、5年ぶりとなる。(ロイター11/13)

改正建築基準法による住宅着工戸数の急減は、これから確実に顕在化します。7-9月でさえGDP0.3ポイント下押しですので、10-12月は相当悪化しそうです。とうとう、建築確認前にフライング着工してしまった業者まで出てきました。

建築確認前に着工 須賀川のショッピングモール
福島県須賀川市に建設中の複合型大型ショッピングモール「メガステージ須賀川」の一部施設で、事業主のデベロッパー(白河市)が着工の前提となる建築確認が下りる前に工事を始め、福島県から是正指導を受けていたことが10日、分かった。耐震強度偽装事件をきっかけに改正された建築基準法で、建築確認審査が厳格化されたことが背景にある。審査が長引いてオープンに間に合わないとの焦りが、「フライング着工」へと走らせた。関係者によると、10月11日に福島県県中建設事務所(郡山市)が行った違反建築パトロールで発覚。事業主はその場で工事停止を命じられ、建築確認を受けた同23日に再開した。改正前は最短21日間だった大型物件の建築確認審査期間が、改正後は最短70日間に大幅に延びた。事業主は「法改正で審査に時間がかかり、オープンに間に合わない」と判断。7月下旬ごろ工事を始めたという。フライング着工について、建築関係者は「あり得ない」と口をそろえるが、法改正には厳しい見方が多い。郡山市の建築設計事務所によると、これまで300ページほどで済んだ物件の構造計算書が900ページに膨れ上がった。県などは事前審査で負担を軽減するよう呼び掛けるが、作成する方も審査する方も大変なのが実態だという。同事務所の社長は「着工がどんどん遅れ、資材や人材の確保で予測できない事態が起こる。特に鋼材などはわずか1カ月の間に高騰してしまい、対応は厳しい。工事中止に追い込まれた業者もいる」と指摘している。(河北新報社11/11)

外需も肝心な米国経済がガタガタですし、中国もオリンピック景気の反動が避けられないので、非常に厳しいでしょう。頼みの綱は内需・個人消費ですが、給与が上がらずに公的負担は毎年増え続けますので、今後とも消費の伸びは期待できなさそうです。

着実に目減りしていく給与

経済全体が2.6%成長なら本来なら給与も増えるはずでしょう。年収500万円のサラリーマンなら年収が13万円増え、時給800円のパートさんなら時給が21円上がったはずです。しかしほとんどの方には「給料が上がった」「手取りが増えた」実感はないと思います。事実、経済成長が続いてたなかで、給料は減り続けていました。
民間給与推移表
平均給与は平成10年以降減り続けており、景気拡大期においても下げ止まりません。「給与が増えなくても(減っても)物価はもっと下がっているから、実質給与は増えている」と論評もありますが、デフレを容認することが問題です。そもそも、デフレスパイラルやハイパーインフレという経済状況は、「あってはいけない経済状態」であり、この状況を放置したままで「実質は成長」「景気拡大」などと言うのは、論理矛盾も甚だしいでしょう。特にデフレで恐ろしいのは借金の負の経済価値が目減りしないことです。例えば住宅ローン債務者は給料が目減りしていくなかで返済を続けなければならず、いくら返済しても住宅の担保価値はそれ以上に下がってしまいます。結果、一向に生活が楽にならず、下流層へ没落して行くことになります。インフレ経済なら過去の経済的失敗も時間と共に負担が減っていきますが、デフレ下では負担が増していきますので「再起を期す」ことは非常に困難です。これでは格差社会が社会問題化するのも当然でしょう。

2007.11.12

株価1万5000円割れ、1ドル110円割れ

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株安、円高(ドル安)の流れが加速し、日経平均株価は8月の安値を割り込み、一時的に15,000円の節目も割りました。為替は土曜日に8月の高値を超えましたが、本日は一時的に110円を超えました。

日経平均が今年最安値=円高・米株下落に7日続落-信用不安再燃、世界同時安も
H191112相場ボード12日の東京株式市場は、円高の進行や米国株安を背景に全面安の展開となり、日経平均株価は一時前週末比584円91銭安1万4998円51銭と、昨年7月以来、約1年4カ月ぶりに1万5000円を割り込んだ。終値も386円33銭安の1万5197円09銭と7営業日続落し、年初来安値を更新した。東証1部全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)も前週末比37.95ポイント安の1456.40と大幅下落。出来高は23億4390万株、売買代金は3兆520億円だった。米国のサブプライム問題に絡む信用不安の再燃から前週末の米国株が急落。為替相場も一時1ドル=109円台まで円高に振れたため、輸出関連、内需関連株そろって幅広く売られた。同日はアジアの主要株式市場も軒並み大幅安となり、世界同時株安の様相となった。(時事通信11/12)

特に株は7営業日連続安です。さすがに5週線乖離率が8%を超え、短期的なリバウンドとなってもよい水準ですが、恐怖を伴う下げがまだ現れてないだけに不気味な感じです。ちなみに7営業日続落は2005年5月以来2年半ぶりです。
H191112日経平均株価
H191112日経平均株価日中足

日経平均株価と為替(ドル・円)の6ヶ月チャート

震源地の米国市場は、特にここ3日間の大きく下げ、ナスダックが約▲7%、ダウは約▲4.5%、S&P500は約▲4.4%下落し、2002年11月以来の下落率です。中国市場も弱く、上海総合指数は一時▲5.3%まで下落(終値▲2.4%)しましたそれでも海外株式市場、特にアジア市場は8月の大幅安の後、先の高値を超えてからの下落ですからまだ「のりしろ」がありますが、日本だけは前の高値さえ超えられず、いち早く「底割れ」しており、世界で最も弱い市場と言えます。
日経平均6ヶ月チャート
為替も株価に連動してるような動きです。
ドル円6ヶ月チャート
本日は、原油や金も軒並み安くなっており、一時のような「株から資源へのシフト」も陰りがでてくるのかが気になるところです。投資商品が全面安に変われば、信用収縮が顕在化してきた恐れがあります。「不景気、低金利、物価高」で一種のスタグフレーションになるのでしょうか。

円高肯定論

急激に円高が進行中ですが、今のところ政府・経済界ともに容認のようです。少なくとも為替介入を云々するレベルではないようですね。

株価下落に関心=「円高、基本的にいい」-町村官房長官
町村信孝官房長官は12日午前の記者会見で、東京株式市場で日経平均株価が今年の最安値を記録したことについて「政府として非常に関心を持っている」と強い懸念を示した。 町村長官はまた、東京外国為替市場で急激な円高が進んだことに関し「特定の相場水準を誘導するものではない」としながらも、「日本国全体で見たときに円高を忌むべきものと見るのは間違っている。長い目で見れば円高は基本的にはいいことだ」との認識を示した。(時事通信11/12)

円高、「長期的には国益に」=経団連会長
日本経団連の御手洗冨士夫会長は12日の定例記者会見で、町村信孝官房長官が長期的には円高を容認する姿勢を示したことについて「長期的には自国の通貨は高い方がいい」とした上で、「日本のような資源をほとんど輸入する体質の国にとって円高は国益にかなうのは事実だ」との考えを明らかにした。ただ、御手洗会長は現在の株安・円高が実体経済に及ぼす影響については「こうした傾向が長く続けば、次第に影響があると懸念している」と述べた。特に、円高が中小企業に与える影響を懸念。ただ、折からの原油高が円高で相殺できる側面もあることを指摘した。(時事通信11/12)

今回の好景気は外需・大企業中心ですので、円高は海外利益・海外資産の減少になりますのでかなりの痛手でしょう。そろそろ国内・内需をおろそかにしてきたツケを払わせられる時期になりそうです。
本日から明日まで日銀の金融政策決定会合が開催されますが、大方の予想通り今回も現状維持でしょう。春先から「金利を上げる」と繰り返してきましたが、参議院選挙前が最後の機会だったようです。結局利上げのタイミングを逸したまま終わりそうです。

2007.11.09

サブプライム問題=金融工学×(簿外取引・飛ばし・貸し渋り)

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サブプライム問題は、金融工学というベールを取り払ってみると、日本の金融危機の際のドタバタと大きく違いがないようです。簿外取引飛ばし貸し渋りといったお馴染みの言葉が現れ始めてきました。

米シティ系にSEC検査…サブプラ投資で/巨額簿外損失表面化も
SEC本部ベールに包まれていた欧米金融機関傘下のサブプライム住宅ローン関連投資会社に、米証券取引委員会(SEC)のメスが入る見通しになった。金融サービス世界最大手の米シティグループ傘下の「投資ビークル(SIV)」7社の検査に近く乗り出す。5日付英紙タイムズ(電子版)が報じた。SECの検査を機に、金融機関が抱える巨額の簿外損失が一気に表面化する可能性がある。報道によると、SECは、検査でシティが抱えるSIV7社とシティとの関係を解明する。まず企業金融チームが通常検査に入り、その後、検査結果を踏まえて強力な司法権を持つ強制捜査チームに引き継がれる見通しという。検査の目的は明らかではないが、金融機関は投資の指示を行ったり、つなぎ資金を供給したりするなどSIVを実質支配しているにもかかわらず、SIVの資産は金融機関の財務に反映されず不透明との批判を集めている。SIVには“不良資産のとばし先”との意味合いで「バンクラプシー・リモート・ビークル(破産遠隔会社)」の別名があるほどだ。(産経新聞抜粋11/7)

投資ビークル(SIV)が簿外の子会社で、ここを使って損失の飛ばしを行っていたということでしょう。
SIVの仕組み投資ビークル(SIV=structured Investment Vehicle)とはシティ等の欧米主要金融機関が設立したSPC(特別目的会社)で、単純化すれば高利のサブプライム関連証券(CDO、ABS)を購入して、それを低利の証券(ABCP)に置き換えて発行し利益を出す仕組みです。

金融機関は融資の厳格化転じています。サブプライム関連だけでなく、一般の住宅ローンや商業不動産融資にまで貸し渋りが広がりつつある状況です

米銀で貸し渋り 企業融資や住宅ローン 審査基準が厳格化 FRB調査
米連邦準備制度理事会(FRB)は5日、米国で活動している金融機関が過去3カ月の間に企業向け融資や住宅ローンの審査基準を厳格化したとの調査結果を発表した。懸念されていたサブプライム住宅ローン問題による貸し渋りの発生が具体的に裏付けられた形だ。中でも住宅関連分野への対応は厳しく、関連企業の経営破綻を加速させる心配がある。追加利下げの有無が注目される12月の連邦公開市場委員会(FOMC)の判断にも影響を与えそうだ。調査は3カ月ごとに実施している「融資慣行調査」。米銀52行、邦銀をはじめ米国で活動する外国銀行20行の融資部門の幹部を対象に10月に実施し、サブプライム問題が顕在化した8月以降の3カ月間の変化を調べた。個人向け住宅ローンについては、焦げ付きが急増しているサブプライムローン取扱銀行のうち、審査を「かなり厳しくした」または「やや厳しくした」銀行が合わせて55%に達した。審査厳格化の動きはサブプライムローンにとどまらず、「プライム(最優遇金利)ローン」では取扱銀行の約40%、両ローンの中間に位置する「代替ローン(ジャンボローン)」では取扱銀行の60%に達しすべての住宅ローン取引に貸し渋りの動きが広がっていることが浮き彫りになった。一方、商業用不動産融資についても、米銀52行中、22行が審査を「やや厳しくした」、5行が「かなり厳しくした」と回答し審査を厳格化した銀行が過半数に達した。貸し渋りの実態については議会も関心を高めており、バーナンキFRB議長は8日の合同経済委員会で調査結果を説明する。(フジサンケイ11/7)

日本企業のサブプライム問題被害続報

8~9月の金融当局の迅速な対応と金融機関の体力から、今のところ「金融システム全体の危機」は避けられてるようですが、世界中でぼつぼつと損切りが進んでおります。この進捗により、やはり日本企業にも影響が現れてきています。
ABCPはJTも引っかかっていたようです。他の事業会社にも波及しそうな雲行きです。

JT子会社が償還延期のABCP197億円保有、サブプライムの影響
 JTのカナダにある連結子会社、JTIマクドナルドは、短期資金の運用のために資産担保付コマーシャルペーパー(ABCP)を購入していた。今年8月、サブプライム問題をきっかけにカナダのABCP市場でも流動性が低下し、金融機関から償還の延期の提案を受けた。JTIマクドナルドは延期に応じたため、償還されないまま同ABCPを保有した状態になっている。償還延期となったABCPの保有額は、9月末時点で1億7100万カナダドル(約197億円)。JTは、現時点では引当金を計上する状況にはないほか、損失も発生していないが、投資家に情報を開示するため決算短信に注記したと説明した。今後は「現地で市場の流動性やABCPの売買の実例がでてくるかを見極め、対応を検討する」(見浪直博・経理部長)としている。(ロイター10/31)

流動性がなく、売買事例もないということは、株で言えばストップ安で買い手がいない状態と一緒なのでしょう。価格が不明では確かに引当金も損失も計上しようがありません。このような事例は金額の多寡を問わず大量に存在しそうです。
極めつけは、本日発表されたみずほ証券のサブプライム関連損失1000億円の報道です。

みずほ証券、サブプライム損失1000億円超・新光と合併延期へ
みずほFGは9日、傘下のみずほ証券と新光証券の合併を当初予定の来年1月から延期する方向で最終調整に入った。米国のサブプライムローン問題に絡むみずほ証券の損失が1000億円超へ拡大する可能性があり、同社の2008年3月期業績を見極めて合併比率などを見直す必要があるとの判断に傾いた。サブプライム問題が邦銀の経営戦略に影を落とし始めた。みずほFGは今年1月、系列の準大手証券である非上場のみずほ証券と上場企業の新光証券を合併させると発表。合併で預かり資産が国内4位、営業収益では3位の大手総合証券が来年初めに誕生する予定だった。(日経新聞11/9)

なお、当事者のみずほ側は否定してます。

みずほ証のサブプライム損失1000億円超との報道は憶測=みずほFG
みずほフィナンシャルグループは9日、傘下のみずほ証券でサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)関連の損失が1000億円超に拡大する可能性があるとの一部報道について、「憶測によるもの」とするコメントを発表した。
みずほ証券と新光証券は「合併比率の見直しは現在協議中だが、合併期日の変更を決めた事実はない」とするコメントを発表。(ロイター11/9)

11月9日為替チャートこのような背景もあり、日本株は総じて弱いです。日経平均株価は本日で6日続落で、6日間の下げ幅は合計1286円となってます。週明けにも先の安値を割る勢いです。株式市場の大引け後、今度は為替が大幅に円高ドル安に振れており、先の111.5599円を割り込んで、111円台前半で推移しています。相場はまた波乱となりそうな状況です。

2007.11.08

GM赤字4.4兆円とトヨタ世界一、両社とも大幅株安

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GMが4兆円を超える巨額の赤字を計上しました。

<GM>4兆円超の大幅赤字 7~9月期決算
米ゼネラル・モーターズ(GM)が7日発表した7~9月期決算は、最終損失が389億ドル(約4兆4000億円)と四半期ベースでは過去最悪の赤字となった。サブプライムローン問題で金融業の関連会社の損失が膨らみ、税金が将来還付されることを見込んで計上していた繰り延べ税金資産を取り崩すために386億ドルを費用計上したことが響いた。この費用を除いた実質的な損益は16億ドルの赤字だった。GMは05年決算で100億ドル超の赤字を計上したが、リストラなどで業績は回復基調にあり、昨年10~12月期以降は3四半期連続で黒字を確保していた。しかし、過去3年間で累積赤字が膨らんでいたことに加え、サブプライム問題に直撃されて大幅赤字に転落した。7~9月期の売上高は前年同期比10.4%減の438億ドルと不振で、4~6月期と合わせた売上高は906億ドル(約10兆3000億円)だった。ただ、7~9月期の自動車事業は同9%増の431億3400万ドルで同期では過去最高を記録した。(毎日新聞11/7)

中身をみると繰延税金資産に関わる損失で、いわば過去の赤字の蓄積をまとめてはき出したものですので、キャッシュアウトはなく、金額ほど衝撃はありません。将来利益を出しても税金を払わなくて済ませようと「捕らぬ狸の皮算用」をしていたのに、将来も利益もあてにならなくなったということでしょう。ただサブプライム問題の影響は金融だけでなく、今後様々な業界で噴出しそうです。
GM株価
株価も6%ほど下落しましたが、まだ33.95ドルで今年のレンジ内にいます。

ダウ急反落、360ドル安=今年5番目の下げ-信用不安を嫌気・米株式
7日の米株式相場は、サブプライム住宅ローンの焦げ付き増加に起因する信用不安の高まりを嫌気した売りに急反落、優良株で構成するダウ工業株30種平均は今年5番目の下げ幅となる前日終値比360.92ドル安の1万3300.02ドル、ハイテク株中心のナスダック総合指数は2番目となる76.42ポイント安の2748.76で取引を終えた。ニューヨーク証券取引所の出来高は1億5798万株増の16億5783万株。この日も相場を押し下げたのは信用不安の拡大懸念。米銀最大手シティグループがサブプライム絡みで巨額の評価損を計上する見通しを示したのを受け、証券大手モルガン・スタンレーなども損失計上を余儀なくされるとの観測が広がり、金融株を中心に全面安の展開となった。市場では「サブプライムの話はまだまだ続く」(大手証券)と悲観的な見方が強まっている。住宅ローン大手ワシントン・ミューチュアルが、住宅市場の不調は来年いっぱいは続くとの予想を明らかにしたことも、投資家心理を冷え込ませた。同社株は17.3%安と急落。原油高も、企業業績の悪化や個人消費の減退を招くとして、相場を圧迫。原油先物はこの日未明の時間外取引で1バレル=98.62ドルまで上伸、史上初の100ドルに迫った。また、ドル安に歯止めが掛からないことも弱材料とみなされた。自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の7―9月期決算は、繰り延べ税金資産の取り崩しに伴う巨額の経費計上が響き、390億ドルの大幅赤字となった。GMは6.1%安。(時事通信11/8)

GMが大きく下がりましたのでダウの下落はある意味当然ですが、このところ好調だったナスダックの方が大きく下落しています。
ナスダック6ヶ月チャート
そろそろ大きな調整になりそうなタイミングでしょうか。

売上「世界一」になったトヨタ

7日は日本のトヨタも中間決算を発表しました。ついに中間期の売上ベースでGMを抜き、初めて「世界一」になりました。

トヨタ、GM抜き売上高も「世界一」 中決・中間期で過去最高
トヨタ自動車が7日発表した平成19年9月中間連結決算は、売上高が前年同期比13.4%増の13兆122億円、本業のもうけを示す営業利益は16.3%増の1兆2721億円、最終利益は21.3%増の9424億円となり、中間期として売上高は8年連続利益は2年連続で過去最高を更新した。アジアや中南米など新興国での販売が好調だったほか、為替の円安効果も利益を押し上げた。売上高は米ゼネラル・モーターズ(GM)の4~9月期の数字を上回り、中間期の売上高でトヨタが初めて「世界一」に立った。収益を牽引したのは海外市場。原油高を背景にトヨタが得意な小型・低燃費のクルマの人気が高まっており、新車販売台数は海外全地域で増加。全世界の販売台数は4%増の430万台と伸びた。特にアジアは18%増の45万台となるなど新興国市場が好調で「収益の柱に育ってきた」(鈴木武専務)という。一方、国内販売は若者のクルマ離れの影響などから6%減の100万台と伸び悩んだ。1787億円の増益となった営業利益でも、海外の伸長が顕著だ。アジア地域の営業利益が1167億円と前年同期から1.9倍に伸長。中南米などを中心とする「その他地域」もほぼ倍増の717億円となるなど新興国での伸びが目立っている。国内や北米も含めた全地域で増益となり、「全体で良いバランスがとれている」(木下光男副社長)としている。また、円安による為替差益(1500億円)や得意とする原価の改善(500億円)も営業利益を押し上げ、研究開発費など諸経費の増加(1513億円)を吸収した。中間期での好業績を受けて、トヨタは20年3月期の通期業績予想を上方修正。売上高は5000億円増の25兆5000億円、最終利益を500億円増の1兆7000億円とした。また、今期の世界販売計画(ダイハツ工業と日野自動車含む)も893万台(当初計画889万台)に上方修正した。国内は224万台(同232万台)に下方修正するが、アジアや中近東で伸びる見通し。(産経新聞11/7)

但し、株価は全くいいところなしです。4%以上の下落です。
トヨタ株価11月8日
トヨタ日中足
本日は、日経平均株価は再び1万6000円台を割り込み、前日比▲325.11円安の1万5771.57円まで続落、為替も1ドル112円台まで円高ドル安が進んでいます。1ヶ月半前に逆戻りですが、原油価格が高騰していることと中国株も弱いことが異なります。

5日で1000円超値下がり=日経平均、2カ月ぶりの株安水準
8日の東京株式市場では、米国株安や円高など外部環境の悪化を受けて、日経平均株価の終値は前日比325円11銭安の、1万5771円57銭と大幅に5日続落。日経平均の5営業日の下げ幅は1000円を超え、9月10日以来、約2カ月ぶりの安値水準まで値下がりした。東証一部銘柄数の9割超が値下がりする全面安となり、東証1部全銘柄の動きを示す東証株価指数(TOPIX)も前日比39.75ポイント低下の1516.94と大幅に5日続落。出来高は24億5445万株、売買代金は3兆0465億円だった。米国のサブプライム問題を背景とする、信用収縮の長期化懸念が投資家心理を圧迫した。また、円高の進行で、国内企業業績の先行き期待が後退。朝方発表された9月の機械受注が市場予想を大きく下回ったことも国内景気への警戒感を強め、自動車、不動産、銀行など内外需の主力銘柄に売りが出た。さらに、アジア主要株価指数の下落を受けて、午後の取引でも売りは止まらず、日経平均は一時前日比470円安まで下げ幅を拡大する場面もあった。(時事通信11/8)

2007.11.07

景気先行指数0%、景気の腰折れ懸念

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民主党のドタバタ劇に隠れてしまった感じですが、6日に景気動向指数が発表されました。特に先行指数が0%になり景気の急激な悪化が懸念されます。

<景気動向指数>先行指数0%、16年ぶり 9月速報値
内閣府が6日発表した9月の景気動向指数(速報値)によると、数カ月先の景気動向を示す先行指数が0%となった。米国のサブプライムローン問題による市場の混乱や住宅投資の急減などを反映し、結果が判明した10指標すべてが3カ月前より悪化したため。先行指数が速報段階で0%となるのは91年10月以来、約16年ぶり。50%割れは2カ月連続となった。原油高などの影響で消費者態度指数が6カ月連続で悪化し、建築確認の審査を厳格化した改正建築基準法の施行に伴い、新設住宅着工床面積も3カ月連続で悪化した。東証株価指数など市況関連3指標も、サブプライム問題による混乱の影響で2カ月連続で悪化した。景気の現状を示す一致指数は、企業の生産、出荷の好調さを背景に66.7%と、景気判断の分かれ目となる50%を6カ月連続で上回った。内閣府は景気の基調判断を5カ月連続で「改善を示す水準にある」とした。(毎日新聞11/6)

先行指数が速報段階から0%となるのは91年10月以来で16年ぶりですが、確定値では1997年12月以来9年9カ月ぶりとなります。多少景気回復して水準が高いので97年当時より「景気はいい」のですが、今後景気悪化のスピードが速くなりそうです。
景気先行指数グラフ
先行指数は7月時点では70%でしたので、かなりの急落です。個別で見ますと

  • 住宅は改正建築基準法の影響で7月から
  •   (6月:9286→7月:6515→8月:5407→9月:5579k㎡)、
  • 株価や金利の市場関連指数はサブプライムショックのため8月から
  •   (7月:13.8→8月:0.3→9月:▲2.3)、
  • 在庫率指数と新規求人数は9月から
  •   (8月:96.6 / 812,105→9月:102.4 / 793,093人)
急激に悪化しています。
特に目を引いたのは最終需要財在庫率指数で、久しぶりに100を超えて102.4となり、この水準は2002年3月以来です。同指数は8月時点では96.6でしたので1ヶ月間に5.8ポイントの上昇です。同指数は過去にも突発的に上昇したことはありますので、9月だけでは何とも言えませんが、100を超えて高止まりすると要注意でしょう。

個人の生活感

日本銀行が3ヶ月ごとに行っている「生活意識に関するアンケート調査」(10月4発表)を見ると、個人の景況感も急に悪化しています。
日銀調査
特に大きく変化したのが物価への認識です。
物価動向
この1年間で物価が上がったと感じる人が短期間に過半数を超えております。なお、1年後に現在より物価が上がると考えてる人は71.7%、5年後では82%が物価上昇を予測しております。石油製品・生活必需品の値上がりが徐々に浸透しつつあります。

2007.11.06

東京駅ツインタワー完成、新生「大丸」オープン

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本日11月6日、東京駅の「大丸」がリニューアルオープンしました。平日にも関わらず開店時間を15分も早めており相当の人気だったようです。

<大丸>東京店がグラントウキョウノースタワーにオープン
大丸オープンJR東京駅の八重洲口北側に完成した「グラントウキョウノースタワー」内に、大丸東京店が6日、オープンした。駅に直結した同店は、東京の玄関口の新たな顔として、初日から大勢の買い物客でにぎわった。ノースタワーは、JR東日本や三井不動産などが八重洲口に2棟建設した高層ビルのうちの1棟。大丸東京店は、隣接の東京駅ビルから移転した。タワーの地下1階~地上13階の売り場面積は3万4000平方m。この日は午前10時の予定の開店前から約2000人の買い物客が行列を作ったため、15分早めて店を開けた。また、八重洲口南側の「グラントウキョウサウスタワー」地下1階には同日、飲食店が入居する商業施設の「グランアージュ」がオープンした。(毎日新聞11/6)

大丸、東京店を移転開業 初日は15万人が来店
大丸スイーツJ・フロントリテイリング(JFR)傘下の大丸は6日、JR東京駅前の東京店を移転・開業した。初日は移転前の約3倍にあたる15万人が来店し、売上高は前年同日の2倍に達した。丸の内などで働く女性を呼び込み売上高拡大を目指す。関西と中部を地盤とするJFRは、同店の開業を機に首都圏でのシェアを高める考えだ。6日は午前5時ごろから行列ができ、予定を15分繰り上げて午前9時45分に開店。午前10時までに約2000人が入店した。JFRの奥田務社長は「消費の懐が深い東京の市場で存在感を高めたい」と話した。同店は都内最大規模の化粧品売り場を設けるなど、婦人雑貨の売り場を拡大。1階には百貨店としては珍しく和洋菓子の売り場を置いた。(日経ネット11/6)

東京駅再開発について

ツインタワー「グラントウキョウノースタワー(43階)」と「グラントウキョウサウスタワー(42階)」は、八重洲口にある高さ205mの高層ビルで、JR東日本、三井不動産、鹿島等が共同で建設しました。総工費約2000億円でⅠ期工事は11月2日に完成し、丸の内駅舎の復元工事とツインタワー間の4階建ての駅ビル(グランルーフ)は、2011年の完成予定です。
ツインタワー空撮 ツインタワーイメージ

百貨店の経営統合

大丸は松坂屋と本年9月3日に経営統合し、共同持ち株会社J.フロントリテイリングを発足したばかりです。来年4月には伊勢丹と三越も経営統合しますので、日本の百貨店は6グループに収斂されます。
企業グループ名 ブランド 売上高
三越伊勢丹ホールディングス 伊勢丹、三越 1兆5859億円
J.フロントリテイリング 大丸、松阪屋 1兆1722億円
高島屋 高島屋 1兆494億円
ミレニアムリティング(7&iグループ) 西武、そごう 9884億円
丸井 丸井 5521億円
H2Oリティング 阪急、阪神 5066億円
6大グループの合計売上は5.85兆円で日本の百貨店総売上高は7.8兆円ですので、約75%のシェアです。
百貨店年間売上推移
百貨店売上高は2004年以降は下げ止まった感がありますが、横ばいになっただけで増加したとは言えない状態です。市場も既に寡占状態ですので、企業としての選択肢は、新分野(新市場)に進出するか、スケールメリットにより仕入コスト・運営コストを下げるかの何れかになります。後者の方が低リスクで確実な利益向上を望めますので、まずは統合を優先するのでしょう。J.フロントリテイリングも統合後の経営は順風満帆とまではいかないようです。

Jフロント、売上高見通しを天候不順で下方修正
J.フロント リテイリングは15日、2008年2月期の連結営業利益見通しを前年比9%増の424億円に据え置いた。ただ、連結売上高は、天候不順や衣料品の不振があり、9月の経営統合時に公表した見通し1兆0432億円を1兆0397億円(同3%増)に下方修正した。営業利益424億円は、ロイターエスティメーツによる主要アナリスト4人の予測平均値430億円をやや下回った。売上高が当初見通しより下振れたのは、天候不順や婦人服を中心に消費者が低価格品にシフトしていることが影響した。奥田努社長兼CEOは会見で「婦人服のカジュアル化、低価格化のなかで、どのようにするかは今後の経営課題」と述べた。経常利益は同10%増の415億円、当期利益は14%増の221億円を見込んでいる。売上高営業利益率は、0.3ポイント改善し、4.1%を計画している。統合による負ののれん代108億円は、5年間で償却する予定。08年2月期は、営業外収益に償却額11億円を織り込んでいる。Jフロントは、松坂屋ホールディングスと大丸が経営統合し、9月に発足した。中期目標として、2011年2月期の連結売上高1兆2300億円、営業利益60億円、営業利益率4.9%を目指している。(ロイター10/15)

J.フロントリテイリングの本日の株価

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今日は朝から堅調で、日経平均株価は後場引けにかけて値を崩しましたが、当社の株は引け高になり前日比+36円(+3.50%)の1,061円が終値となりました。それにしても経営統合後の社名はなぜか日本人には難解な英語名ばかりです。長年漢字の社名だったので英字にあこがれがあるのか、それとも体力をつけてから海外進出でも狙っているのでしょうか。○○リティングばかりで、ちょっと没個性的な印象を受けます。

2007.11.05

小沢民主党代表辞任、奇策「大連立」で自爆?

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ここ数日間、政治が大きく動きました。
10/30福田小沢会談 → 11/2大連立提案 → 11/2民主党拒絶 → 11/4小沢代表辞任

自民・民主党首会談 小沢代表が対テロ新法反対伝える
福田小沢会談10/30福田康夫首相と民主党の小沢一郎代表の初の党首会談が30日午前10時から、国会内で行われた。インド洋での海上自衛隊による給油活動が11月1日に期限切れを迎えることから、首相は新テロ特措法案の今国会成立に向け、小沢氏に理解と協力を呼びかけたが、小沢氏は「一般論として協力できることは協力するが、特措法は認められない」と述べ、従来通り反対する意向を伝えた。ただ、首相は小沢氏に11月2日の再度の会談を要請し小沢氏も了承した。両党首による協議が継続することは、自民、民主両党による政策協議の糸口になるとの見方が与野党に出ている。約80分の会談のうち半分以上の時間は二人だけで行われた。首相は参院で与野党が逆転した「ねじれ国会」に言及したうえで小沢氏に「特措法に賛成してほしい」と呼びかけたが、小沢氏は「原理原則がある」と反論。自衛隊派遣は国連の平和活動の枠内であることが必要と強調し、反対姿勢を崩さなかった。ただ、同時に首相は「外交も内政も1カ月やってみてなかなか進まないので、衆参のねじれ現象の下で新しい日本の政治の動かし方を一緒に考えたい」と強調。年金問題などをめぐっても意見交換した。小沢氏も再会談には同意した。会談後、首相は記者団に対し「きょう話したことを引き続きやっていこう、ということになった。どこかで一致点を見い出したい」と強調。党首会談を定期的に行うことに「そのぐらいの必要性がある」と意欲を示した。一方、小沢氏は記者団に「特措法について、私たちの主張を明確に申し上げた。その点については平行線」と説明。11月10日に会期末を迎える国会の延長や衆院解散については「そういう類のことは話していない」と否定した。(毎日新聞10/30)

この時点では、会談は完全に物別れのようでした。しかし11月2日の会談で急展開します。いわゆる大連立です。

大連立協議:福田首相、小沢氏に打診 民主は応じず
福田首相11/2会談後福田康夫首相と民主党の小沢一郎代表は2日午後3時から休憩をはさみ、約2時間、国会内で党首会談を行った。首相は参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」の打開が必要として、小沢氏に連立政権樹立のための協議を打診した。小沢氏は即答を避け党役員会に持ち帰ったが役員のすべてが「(連立は)国民の理解を得られない」などと反対意見を表明し、協議に応じない方針を決めた。小沢氏は首相に「連立はのめない、受諾できない」と電話で伝えた。自民、民主両党首が模索した「大連立」による混迷政局の打開構想は失敗に終わった。与野党の歩み寄りムードは消え、国会はさらに混迷の度合いを深めそうだ。政府・与党は新テロ対策特別措置法案処理のため、10日までの国会会期の延長に着手する。党首会談は先月30日に続いて2回目。首相は、1日に期限切れとなった海上自衛隊の給油活動を早期に再開するため、新テロ対策特別措置法の今国会成立に民主党の協力を求めた。小沢氏は「自衛隊の海外派遣は国連決議に基づく平和活動に限る」と従来の主張を展開。首相は連立政権協議を通じた事態の打開を提案したとみられる。小沢氏は、連立政権協議を行う場合は、自衛隊の海外派遣の原則を定める恒久法の制定を議題とすることを求めたようだ。政権協議申し入れを受け、民主党は2日夜、役員会を開いた。出席者によると、小沢氏は協議入りのメリットとデメリットを挙げ、意見を募ったが、意見を述べた6人全員が「2大政党の仕組みをつくろうとしている時に、国民の期待を裏切ってはならない」「(連立は)大政翼賛会的だ」などと反対を表明。小沢氏は「皆さんそう言うなら断る」と述べたという。小沢氏は役員会後、記者団に「首相に『連立は私どもとしてはのめない。せっかくの誠意ある対応をいただいたが、結果としてはできません』と伝えた」と述べ、連立の打診を正式に断ったことを明らかにした。首相は党首会談後、記者団に「今の国会情勢、政治の情勢、全体的にみて打開しないといけない。国民生活のこともあるし、日本の政治が止まってはいけない。そのような観点から、状況を打開するために話し合いをした」と説明。民主党への連立打診について「政策を実現するための体制をつくる必要がある。そういう新体制をつくることを話した」と語った。(毎日新聞11/2)

「福田首相が大連立を提案し、民主党が拒否した」ということ自体は特に違和感あるものでなく、自民党が生き残りのため拙速な行動をし、民主党は断るのが当然という感じでした。自民党は旧社会党と連立を組んだこともあり、政権維持のためには当然の提案でしょう。小沢氏が即時拒否しないでわざわざ役員会に持ち込んで断ったことには疑問を投げかける論調もありましたが、一応ポーズをとったのだろうという程度でした。マスコミで「小沢陰謀論」「渡辺恒夫氏や森元総理、中曽根元総理仕掛人だった」が盛んに報道されましたが、登場人物も内容も「いつもの話」であり、大連立は不発に終わったため、背景を探る程度のものでした。それが、小沢氏が辞意を表明したことで大騒ぎになります。

小沢代表が辞任表明「首相との会談で混乱、引責」
小沢氏辞任会見11/4民主党の小沢一郎代表は4日午後4時半すぎから、都内の党本部で記者会見し、福田康夫首相(自民党総裁)との党首会談を行った結果、党内が混乱した責任をとって代表を辞任する考えを表明した。小沢氏は同日、鳩山由紀夫幹事長に辞職願を提出した。小沢氏は先月30日と2日の首相との2回にわたる会談で、自民、民主両党の連立政権協議などについて話し合っていた。小沢氏は会見で、辞任の理由について、「2日夜、党の役員会で(連立政権協議などに関して)提案したが残念ながら認められなかった。代表として不信任を受けたのに等しい。福田首相に対するけじめをつける必要がある」と述べた。また、民主党についても、「民主党は政権担当能力が本当にあるか。ある意味で今一歩という感じだ」と指摘し、党の力量不足も認めた。さらに、小沢氏は党首会談をめぐる報道について、「朝日新聞と日経新聞等を除きを中傷報道を行った。強い憤りを感じるものだ」などと述べ、マスメディアの報道姿勢を批判した。(産経新聞11/4)

大連立についての考え方

「大連立」は民主党の大半の国会議員が了承するはずもなく、民主党支持者及び民主党に投票した有権者から激烈な拒否を受けることは間違いないなく、連立拒否は至極当然な帰結と言えます。

自民、打診評価6割 民主、拒否支持大勢 大連立で調査
県連調査福田首相が民主党の小沢代表に対し、連立政権樹立に向けた政策協議を提案したことについて、「評価する」と考える自民党の地方組織の幹部は47都道府県の6割だったことが、朝日新聞が3日実施した一斉調査で明らかになった。一方、民主党は、ほぼすべての地方組織が連立拒否を支持。「大連立」への抵抗感が強い現状が浮き彫りになった。インド洋での海上自衛隊の給油活動を再開するための補給支援特別措置法案については、自民党の6割が、「衆院で3分の2以上の賛成で再議決してでも今国会で成立」を望んでいた。調査は、朝日新聞社が全国の取材網を通じ、自民、民主両党の47都道府県連の幹事長ら幹部を対象に実施した。(朝日新聞抜粋11/4)

民主党の地方組織では連立拒否で一致してます。有権者レベルでもほぼ同じ結果でしょう。ちなみに大連立成立時には次のような勢力図になります。
大連立衆議院勢力図 大連立参議院勢力図

衆議院の93.5%、参議院の89.3%が政権与党となり、政府に全権付与した状態です。憲法改正も税制改正も徴兵制でさえも思いのままで独裁体制ともいえるでしょう。今の政府に、ここまで絶大な信任を与えて「よし」とする人はほとんどいないと思います。有権者が選挙で政権に不信任を与えることが不可能になるのですから民主主義の終焉と言っても過言でないでしょう。

本日の株価の動向

日経平均株価チャート
米シティのサブプライム関連損失拡大とCEO辞任のニュースもありましたが、株価は終日弱含みで推移しました。日経平均株価は前日比▲248.56円安の16,268.92円で引けました。

今後の政局

もし小沢氏が、本当に党が思う通り動かなかったから自爆辞任したとすれば、単なる先の読めない間抜けであり、たとえ民主党から分離して自民党と連立しても、65歳という年齢と持病の狭心症を抱える健康不安から急速に影響力を喪失するだけでしょう。豪腕であっても老練な政治家である小沢氏がそのような結末を読めないはずはなく不自然さが拭えません。小沢氏が本当は何を目論んでいたのかは、後の行動で明らかになるのでしょうが、それまで政局不安がくすぶり続けそうです。

2007.11.02

中国株ETF、中国バブルをさらに買い上がる日本人

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先月23日、大阪証券取引所に上証50連動型ETFが上場しましたが、基準価額に常時プレミアムがついている状態で取引される過熱状態が続いております。上場2日目には、一時ストップ高まで買われました。

上証50連動型ETFがストップ高、中国株の先高観で
23日に上場した中国株ETFの上海株式指数上証50連動型上場投資信託がストップ高まで買われている。同ETFは、これまで外国人の売買が制限されてきた上海A株のうち、代表的な50銘柄で構成される「上証50指数」に連動させる仕組みになっている。「中国株の先高観に加え、人民元の上昇期待もあって個人の買いが集まっているようだ」(東洋証券経営企画部)という。ただ、原指数の上証50指数は24日午後2時現在で1.42%の上昇にとどまっている。それに連動するETFが12%以上も上昇し、ストップ高となることは理論的には考えにくい。「値動きの良さから短期資金が飛びついている面もある。人気先行で過熱していることは否めない」(準大手証券売買担当者)との声も出ていた。

割高で取引されるETF

日付 基準価額 ETF終値 乖離額 乖離率
10.23 68,944 77,700 8,756 12.7%
10.24 70,490 87,700 17,210 24.4%
10.25 71,131 77,800 6,669 9.4%
10.26 68,266 74,500 6,234 9.1%
10.29 68,848 73,700 4,852 7.0%
10.30 70,253 74,800 4,547 6.5%
10.31 71,435 76,100 4,665 6.5%
11.01 72,154 76,600 4,446 6.2%
初日は12.7%のプレミアム、2日目は終値ベースでも24.4%と異常な高値で取引されています。大証が急遽、受益権口数を80,000口から150,000口に増やしたため3日目移行は冷静さを取り戻しつつありますが、それでも6%以上も割高です。これではETFととても呼べる代物ではないでしょう。買ってる投資家はETFとは何かを理解していないのでしょう。売ってる野村の方も準備した口数が少なすぎるのか、あるいはわざと売り惜しみしてるのかわかりませんが、供給口数が少なすぎるのも問題です。
新興国市場ですと、個人投資家に裁定の手段がなく、機関投資家や大証券会社には裁定取引が可能だったりしますので、これに味をしめてインド株ETFとかロシア株ETFなどが設定されるように思います。

上証50指数とETF基準価格

基準価格は、前日の上証50指数と円元レートから容易に求められます。
基準価額 = 上証50指数 × 円元レート × 102% です。
日付 上証50指数 円元レート 前日の

円換算額
基準価額

(野村)
換算比
10.22 4390.267 15.25320      
10.23 4475.440 15.20913 66,966 68,944 103.0%
10.24 4550.561 15.28117 68,068 70,490 103.6%
10.25 4364.123 15.22533 69,538 71,131 102.3%
10.26 4429.979 15.23461 66,445 68,266 102.7%
10.29 4527.122 15.24623 67,489 68,848 102.0%
10.30 4592.329 15.35155 69,022 70,253 101.8%
10.31 4627.776 15.34919 70,499 71,435 101.3%
11.01 4607.219 15.42258 71,033 72,154 101.6%

プロ達の警告

グリーンスパン氏:「中国株式市場はバブルの定義」
米連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン前議長は1日、ロンドン市内での講演で、「中国の株式市場はあらゆる方面からみてバブルの特徴を備えている。バブルの定義を求めたいなら、これがそうだ」と述べた。3日付で新浪網が伝えた。新興市場の株式市場が次の資産バブル崩壊に成り得るかとの質問に対しては、「投資家の市場離れが進んでいる」と答えた。中国大陸株式市場の代表的指数である上海総合指数は、国慶節連休前の最終取引日となった28日に一時5560.42ポイントをつけ、史上最高値を更新した。同指数は直近3カ月で45%上昇した。(サーチナ中国情報局10/3)

バフェット氏、中国の事業を買収する可能性は低いと表明
バフェット米著名投資家のウォーレン・バフェット氏は24日、世界中の地域を対象として大規模な事業を買収する機会を模索しているが、中国で良い案件を見つけることができるとは思えない、と述べた。同氏は、中国の市場は現在、過熱しすぎていると指摘している。バークシャーが支配権を握るイスラエルの金属加工機メーカー、イスカー・メタルワーキングの完全子会社のオープニングの席で述べた。バフェット氏は先週、自身が率いるバークシャー・ハザウェイが、保有していた中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)株をすべて売却したことを明らかにした。(ロイター10/24)



ジム・ロジャーズをはじめ「中国株は買いだ」とみる投資家も多いですが、中国株がバブルゾーンに入っていることは間違いないでしょう。但し、中国株が既にピークをつけたか否かは判断が難しいところで、ITバブル時の最終局面のように、これからさらに上げが加速する可能性もあります。

米国は景気後退、円・元や中国株に投資=米著名投資家
著名投資家のジム・ロジャーズ氏は、英デーリー・テレグラフ紙に対し、米国はすでにリセッション入りしていると発言、ドルを売り、円、人民元、スイスフランに投資すると述べた。バブルの懸念が浮上している中国株については、依然として強気の姿勢を示した。同氏は「米経済は間違いなくリセッション入りしている」と発言。「実際には多くの業界がリセッション以上に悪い状態にある。バーナンキ連邦準備理事会議長が、市場に大量の資金を供給していなければ、株価はおそらく、今よりも大幅に下落していただろう」と述べた。中国株については「まだバブルではない。(上海総合株価指数が)来年1月に9000を超えれば、売りを出す必要が出てくる。バブルは最後には悪い結果をもたらす」としながらも、「中国株は売りたくない。この先ずっと保有し、(4歳になる)私の娘に譲渡したい」と述べた。(ロイター10/25)

ジム・ロジャーズは上海総合株価指数が1月に9000を超えると強気ですが、そうなれば売りと言ったりポジショントーク気味な感じもします。それと、米国が既にリセッションに陥っていると断言しているのも気になるところです。

中国政府の出口戦略

中国政府もバブルの認識は持っているようで、徐々に出口戦略を進めています。

中国証券当局、株価上昇によるリスク拡大を警告
中国証券監督管理委員会(CSRC)は16日、株価が上昇しておりリスクが拡大していると投資家に警告した。16日午前の中国株式市場では、上海総合株価指数が前日に初めて6000を上回った勢いを継続し、1.19%上伸。昨年初めからは425%上昇している。同委員会の尚福林委員長は第17回共産党党大会の会議で演説し、「株価が上昇している時にはリスクも拡大していることを投資家に思い出させたい。リスクは株価指数の上昇に伴って増大していく」と述べた。これとは別に同委員会の屠光紹副委員長は16日、上場企業の質と市場の構造がまだ不完全であるため、中国の株式市場ではリスクが拡大していると述べた。屠光紹副委員長は「市場が活発になればなるほどリスクも大きくなる」と語り、監督当局は潜在的リスクに対処し、投資家のリスク認識を高めるための措置をとると付け加えた。(ロイター10/16)

中国、近く株価指数先物取引を導入へ=上海証取幹部
上海証券取引所のエグゼクティブ・バイスプレジデント、Zhou Qinye氏は1日、中国は近いうちに株価指数先物取引を導入すると明らかにした。また、外国人投資家に対して新たな投資枠を認可する用意があると表明した。同氏は金融フォーラムで、先物取引を開始すれば、当初は現物市場で売り圧力が高まる可能性があると述べた。同氏は、株価先物取引を導入する具体的な時期については明らかにしなかったが、導入の環境は熟しており、その用意も整っていると述べた。中国では、先物市場は株式市場を不安定化させかねないとの懸念から導入が1年程度遅れていたが、証券監督管理委員会の尚福林委員長は先週、新たな市場の開設に向けた準備はほとんど完了していると述べていた。中国は投資家の選択肢を増やし、リスクをヘッジする手段を提供するため、株価先物市場の開発を目指している。(ロイター11/1)

中国、海外投資家の株式投資枠認可を再開
上海証券取引所の幹部が1日明らかにしたところによると、中国証券当局は、海外投資家に対する株式投資枠の認可作業を再開した。金融フォーラムで明らかにした。同幹部は、新たな投資枠の認可が、海外投資家に認められる株式取引の多様化につながるとの見通しも示した。海外投資家は、適格海外機関投資家(QFII)制度を通じて、中国株式市場に投資することを認められている。QFII投資限度枠は、今年2月に総額100億ドルに達した。中国政府は、今年の米中協議で限度枠を300億ドルに引き上げることで合意したが、2月以降、新規のQFII投資枠の認可は行われてない。(ロイター11/1)

プロにはヘッジ手段と新しい儲けの手段を与え、外国人にババを分散させようということのようですね。日本向けのETFが絶好調だったのも理由の1つのような感じもします。

2007.11.01

改正建築基準法、建設業に大恐慌をもたらした役人・政府

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昨日(10月31日)国土交通省から9月の新設住宅着工戸数が発表されましたが、とんでもない事態が続いております。日本の建設産業が、大恐慌に陥ってしまったようです。

<住宅着工戸数>9月は過去最大の下落 景気への悪影響懸念
国土交通省が31日発表した9月の新設住宅着工戸数は前年同月比44.0%減の6万3018戸で、3カ月連続の減少となり、下落率は過去最大を更新した。耐震データ偽造問題を受け、建築確認の厳格化などを盛り込んだ改正建築基準法が6月20日に施行されたが、厳格化に伴う混乱が広がっている。住宅着工の大幅減少は景気へもかなりの悪影響を与えるとみられ、これを主因に、07年度の経済成長は政府見通しを大きく下回るとの見方が広がっている。分野別の着工戸数は、マンションが同74.8%減の5328戸で3カ月連続の減少となった。最もマンション建設数の多い東京都は同80.3%減の1127戸と落ち込みが大きく、着工戸数ゼロが19県あった。法改正でマンションの審査項目が増え、審査機関が厳しく対応していることが響いた。一方、持ち家は同21.6%減の2万5431戸と、8カ月連続減。大半は木造2階建てで法改正に伴う審査厳格化の対象外だが、「隅々まで情報が届いていない」(国交省建築指導課)ため、影響を受けたとみられる。また、耐震偽装を防ぐため、法改正で新たに設けられた構造計算適合判定件数も初めて公表。6~9月で計1287件の申請があり、264件が合格した。国交省は毎月5000件の合格を正常な水準とみている。国交省は建築基準法施行規則を11月中に改正するなど混乱の収拾を図っており、説明会などで周知を急ぐ。(毎日新聞10/31)

ブラックマンデーでも来たかのようなチャートです。
新設住宅着工戸数の推移
改正建築基準法が6月20日に施行されましたが、建設業界を中心に破局的な影響がでております。設計現場は大混乱になり、建設関係者は仕事が無くて干上がっています。鉄鋼業界では、前々から改正建築基準法によって需要が大きく減る事を予想して減産していました。民間が大変な事態になることを懸念していたにもかかわらず、政・官は強行してしまいました

新日鉄 国内向け年20万トン減産 建築需要低迷続く
新日本製鉄は26日、建築基準法改正の影響で国内の建築着工が急減していることを受け、国内向けの建築鋼材などを今年度下期に10万トン以上減産する方針を明らかにした。すでに5月末にも改正後の需要減を見越して10万トンの生産・在庫調整を決め、実施している。減産するのは鉄骨用のH形鋼や壁用薄板、鉄筋用の棒鋼などの建築鋼材と、グループの建材メーカーなどに供給する半製品。新日鉄は建築鋼材の需要が回復しなければ、さらに減産する方針だが、減産分の生産能力は堅調な輸出用に振り向けるため、「業績に大きな影響はなさそうだ」(同社)としている。鉄鋼業界では、建築基準法改正の影響で、今年度だけで建築鋼材全体の1割にあたる200万トンの減産を強いられるとの見方も出ている。(フジサンケイ10/27)

鉄鋼業界は国内で売れなくても海外に回せますから、今のところ業績に大きな影響はないでしょう。ただし、国内だけでビジネスを行っている企業、特に中小零細の建設業者は致命的な影響を受けます。
建設業者からは既に生々しい声が届いております(福岡県中小企業家同友会より)。

  • 「着工遅れによる資金繰り難。また遅れ分の工事が同時期に着工することになり、人的確保難、業者確保難が著しい。石油の原油価格高騰により、10月から建築資材が一斉値上げをすることに伴い、夏場着工予定の工事見積(実行予算)と実績価格に開きが出て、経費の確保難となる。確認申請日数の延長も影響しているが、確認申請に伴う図面、計算書の費用が改正前に比べ、大幅に増加した。そのために費用が50%~80%値上がりしており、現在もだが今後新築を検討している顧客の負担増となる。」(建設業)

  • 「この建築基準法改正で、審査機関は異常なほど書類・詳細図・構造図などを要求しています。しかも、審査する本人も必要なのか不要なのか分らず、何でもかんでも「法○○条による」「施行令○条による」「告示○号による」などと全てにおいて書類を要求し、提出しても回答がありません。それでいて図面をよく理解出来ず、今まで設計において常識的であった事まで聞いてきます。実に今までの2~3倍の手間がかかっており、これでは設計業務が円滑に進むわけがありません。参考に、福岡市では6月20日以降確認申請はおりていないと聞いています。」(設計事務所)

国交省:建築業の資金繰り支援 法厳格化で着工減り
耐震データ偽造問題を受けた建築基準法の厳格化に伴う混乱で、新設住宅着工戸数が急減したことから、国土交通省は9日、対策を発表した。政府系金融機関が建築関連の中小企業に対する貸し出しの返済条件を緩和するなど資金繰りを支援する。また、法改正に関する情報を周知徹底させるよう総務省と連名で都道府県知事に要請した。着工戸数の急減に伴い、工務店や建築資材店、建築士などが受注減に見舞われ経営難に陥る恐れがあることから予防措置として実施する。資金繰り支援では、中小企業金融公庫と国民生活金融公庫、商工組合中央金庫などが制度融資の「セーフティーネット貸し付け」を実施。中小企業金融公庫の場合、融資限度枠を通常の2倍の4億8000万円に広げ、元金の返済据え置き期間を通常の1年以内から2年以内に延長する。担保不足でも金利を上乗せして融資を行う。都道府県を通じた関連情報の周知では、市町村などの自治体が、法改正に過剰に反応して必要以上に厳格な対応をすることのないよう、呼びかけた。(毎日新聞10/9)

すでに政府系金融機関でセーフティーネット貸付が準備されております。建設業は不況であるとの認識でしょう。

日本経済全体への影響

建設業総生産額は約40兆円でGDPの8%を占めます。現在のまま推移すれば、通年で▲10兆円は落ちるでしょうから、単純計算でもGDP2%の押し下げ効果です。07年の日本のGDP予想は1.9~2.3%ほどですから、最悪マイナス成長の危険性もあります。
日本経済全体と構造計算を厳格に守る事を天秤にかければ、どちらがプライオリティが高いかなどは議論の余地がないでしょう。国土交通省もようやく対策に動き出したようです

国交省が建築確認審査緩和、住宅着工減で設計変更一部容認
建築確認の審査を厳しくした改正建築基準法の施行後、住宅着工戸数が大幅に減少している問題を受けて、国土交通省は30日、安全性に影響しない設計変更は建築確認後でも認めるなど、審査を緩和することを決めた。冬柴国交相が同日の閣議後の記者会見で明らかにした。11月中旬にも同法の施行規則を改正し、実施する方針。改正法(6月20日施行)では、耐震偽装対策として申請時の添付書類を大幅に増やしたうえ、建物の構造、防火などにかかわる計画変更は原則として認めず、着工後の再申請は工事をストップした場合に限って認めていた。このため建築士らが申請に慎重になったり、審査側が窓などのわずかな移動でも再申請を求めたりするケースが目立ってきたという。(読売新聞10/30)

改正建築基準法が問題なのは、現実を見ずに原理原則を押しつけた点です。完全な失政でしょう。大臣認定の構造計算ソフトさえ未だ完成していない状態で強引に法の施行を強行すればこういう事態になるということは、ほんのわずかな想像力があれば容易に予想できたでしょう。一種の原理主義者です。4ヶ月も経ってようやく見直しをするようですが、元々ダメな法律を修正しても、混乱はなかなか収まらないでしょう。立法府の責任として即時全面施行停止政治判断をしないと本当に不況突入になりかねません。