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2008.04.22

郵政民営化-進む実体としての民営化

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郵政は、組織体としては2007年10月1日に民営化されましたが、官業としての事業の枠は元のままでした。

民営化から半年が経過し、官業としての制限撤廃の動きが始まりました。

<新規事業>ゆうちょとかんぽの申請認可 総務省と金融庁
 総務省と金融庁は18日、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険が昨年11月に申請していた新規業務の申請を認可した。ゆうちょ銀行は(1)クレジットカード業務(2)変額個人年金保険など生命保険の募集業務(3)住宅ローンの契約締結業務--の3点。かんぽ生命は(1)他の保険会社の法人向け商品の受託販売(2)既存保険商品の入院特約の見直し--の2点。いずれも申請通りに認可された。クレジットカード、住宅ローンはカード会社や地銀と提携し、5月から業務を開始する。(毎日新聞04/18)


貯金の上限撤廃の動きが、はやくも出てきました。

通常貯金の1000万円制限 ゆうちょ銀が撤廃要望
 ゆうちょ銀行は1日、民間金融機関の普通預金にあたる通常貯金について、1人最大1000万円の預け入れ限度額を撤廃するよう政府に政令改正を要望した。
 通常貯金は給与・年金の振り込みなどで変動が激しく、複雑な残高管理を余儀なくされているため。限度額を撤廃すれば、多額の資金の出し入れをしたい顧客の利便性向上にもつながり、貯金残高の減少傾向にも歯止めがかけられると判断した。ただ、他の民間銀行などが限度額の撤廃に反対しており、定額貯金などの定期性預金については合算して1000万円の上限を維持する。かんぽ生命保険も同日、保険加入後、一定期間経過した場合の限度額規制の政令改正を要望した。現在の加入限度額は1000万円だが、加入5年目から300万円を上乗せして1300万円にすることができる。この上乗せ部分を1000万円に増やすよう求めた。(産経新聞04/02)

メガバンクとゆうちょ銀行の預金残高比較
ゆうちょ銀行の貯金残高はメガバンク2行分に匹敵します。上限を設けてもこの状態ですので、既存銀行が上限撤廃に戦々恐々とするのも当然でしょう。特に地方銀行にとっては死活問題となります。

<全銀協>ゆうちょ銀の預入限度額撤廃反対…退任会見で会長
 全国銀行協会の奥正之会長(三井住友銀行頭取)は17日の退任会見で、ゆうちょ銀行が貯金の預入限度額1000万円の撤廃を要望したことについて、「(政府が株式を保有する)暗黙の政府保証があるうちは民営とは呼べない。限度額は維持すべきだ」と反対の意向を表明した。(毎日新聞04/17)

 全銀協の会長は3大メガバンクの頭取が持ち回りで会長となっています。2007年度は三井住友銀行頭取の奥正之氏で、2008年度はみずほ銀行頭取の杉山清次となります。日本郵政社長の西川善文氏も三井住友銀行頭取時の2004年度に全銀協会長に就任していました。
 来年度の株式上場が、上限撤廃と全銀協加盟のタイミングでしょう。遅くても2017年の政府出資の完全処分までには、民間銀行と同条件にすると思われます。

かんぽについても、副業的事業の切り離しを急ぎます。「かんぽの宿」は、「かんぽ生命」ではなく「日本郵政」に引き継がれました。当初は民営化後5年で処分する予定でしたが、今年、一括して処分されます。

「かんぽの宿」、一括譲渡へ=71カ所、来月に入札公募-日本郵政
 日本郵政は26日、民営化後に旧日本郵政公社から引き継いだ保養・宿泊施設「かんぽの宿」(旧簡易保険加入者施設)の大半、71カ所を一括で事業譲渡する方針を固めた。4月初めに一般競争入札の公募を始め、10月にも譲渡契約を結ぶ予定。資産価値の低い遠隔地の物件も含めまとめて売却することで、財務面への影響を防ぐ狙いがある。
 合計約700人の社員については、原則として買収企業に継続雇用を要請するが、希望者があれば郵政側が配置転換を受け入れる。かんぽの宿は民営化に伴い、2012年9月末までの廃止・譲渡が法律で規定されている。事業の先行きに対する社員の不安を早期に解消するためにも、民営化後半年という早いタイミングで売却に踏み切る。(時事通信03/26) 

 「かんぽの宿」は、日本最大級のリゾートホテル・旅館チェーンといえます。
 事業運営は、当初は特殊法人「簡易保険福祉事業団」(03年4月廃止)が行い、簡易保険事業から運営費交付金として年間180億円(他事業分もあり)も赤字補填している状態でした。年間の利用者数は1100万人を超えます。
 民間企業の場合、土地と建物への投資とその返済、さらに法人税や固定資産税がかかります。「かんぽの宿」事業は設備投資とその回収及び税負担が不要であり、民間とは比較にならない競争力を有します。
 多くの民間旅館・ホテルが倒産するなかで、赤字補填まで行って維持していたのですから、典型的な官による民業圧迫でしょう。

実体としての民営化を急ぐ背景

 ここにきて「実体としての民営化」を急ぎだした背景には「ねじれ国会」の影響がありそうです。与党内には、依然として「民営化見直し論」がくすぶっており、野党からは「郵政民営化見直し法案(株式処分凍結法案)」が提出されております。
 次期衆院選の結果次第では、民営化スキームが頓挫する恐れもあります。政府としては、上場までのスケジュールを急ぎ進めて、民営化を不可逆なものとしたいところでしょう。

参考

08.03.14中小金融機関の苦悩-外国証券頼みの地域金融

07.10.01世界最大のゆうちょ銀行誕生と未だ横並びの既存銀行

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オリックス かんぽの宿の譲受に関する総務相発言に反応

「かんぽの宿」に関する本日の報道について

イロイロと、思うところがある話ではあります。
事の起こりはこれ。

08/12/26 13:00 オリックス不動産「かんぽの宿など全国70施設+社宅9…

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