2008.05.02
ニイウスコー破綻-巨額粉飾事件、エリート企業の転落
東京証券取引所2部上場のニイウス コーが民事再生法を申請し、事実上倒産しました。
典型的な「エリート企業の転落」です。
ニイウスコーが民事再生手続き申し立て、負債総額子会社と合算で1140億円
ニイウス コーは30日、子会社のニイウスとともに東京地裁に民事再生手続きの申し立てを行い、受理されたと発表した。負債総額はニイウスコーが408億円、ニイウスが732億円。
ニイウスコーは2007年11月、プライベート・エクイティ・ファンドのロングリーチとフェニックス・キャピタルから200億円の増資を受け、金融機関からも融資の継続支援を受けた。しかし、不適切な取引とそれに関係した過去5期分の決算の訂正をした結果、2008年7─12月期決算で、278億円の債務超過になった。メーンバンクの三菱東京UFJ銀行など28の銀行からDES(債務の株式化)による資本増強と再生を目指したが、一部の金融機関から賛同が得られなかった。(ロイター04/30)
同社は、上位金融機関へシステムを提供する名門SI(システムインテグレーター)でしたが、医療ASP事業の失敗から債務超過に転落、立て続けに乱脈経営・巨額粉飾決算が発覚し、自立再建を諦めての破綻となりました。
ニイウスの軌跡
ニイウスは日本IBMと野村総合研究所の合弁により1992年に誕生した企業です。主要業務は、金融機関向けにUnix系システムによる情報システム構築を行うソリューション・プロバイダー事業。
主要取引先には3大メガバンクを筆頭に、多数の銀行・金融機関が並び、金融分野におけるSI・SE力では定評があります。まさにITエリート企業です。
順風
同社は、2002年4月11日に東証2部へ上場しました。公開価格10万円に対して初値は30万円となり、上昇率200%の超人気銘柄となっています。そのわずか1年後(03年6月)には東証1部へ指定替えとなります。その業績・スキル・顧客満足度は高い評価を受け、IBMの最上位レベルのビジネスパートナーとして、8年連続「プレミア・パートナー」認定され、2004年にはアジア地域のトップとして「優秀ブルーダイヤモンド賞」も受賞しました。同年11月にはIBMの最新鋭小型スーパーコンピューターBlueGene/Lを日本で初めて導入しました。さらに12月には増資を行い74億円を調達しています。
膨張
同社は、04年(平成16年)までは、凄まじい勢いで業績を伸ばしていきました。
2004年のIBMディーラ総販売額2217億円のうち、ニイウスは275億1900万円(シェア率12%)です。これは全IBMディーラトップで2位とはダブルスコアの大差をつけています。特に上位機種のIBM System zのシェアは49%となります。
この頃から、事業の多角化へ注力していきます。医療情報ビジネス等へ参入し、新会社設立・買収を繰り返します。05年から純粋持ち株会社体制へ移行を開始します。
06年にニイウスコーを発足し、新体制の下で医療情報ビジネスへの本格展開を開始します。社員数も急増しました。上場時は413名で、05年時は638名とそれなりの増加率でしたが、06年には一気に1007名に膨張しました。

このタイミングで同社は、増資を行いました。06年3月に公募48,000株、売出6,700株、公募・売出価格126,750円で、調達額は58億円となります。
この増資以降、同社株式は急落し続けていきます。
急転
転機は、06年1月のライブドア事件に端を発した、監査厳格化・新興市場崩壊の流れでした。監査厳格化により同社の成長の影に隠れた問題点が明らかになっていきました。07年2月22日発表の06年12月中間決算で、初めて▲13億円の当期赤字見込みを公表しました。第1四半期時点では7.6億円の黒字(期首予測は35億円)予定でしたので、大幅下方修正となります。主因は貸倒引当金13億円、ソフトウェア評価損14億円による特別損失です。
さらに大和総研からアナリストレポートが発表されました。同社決算への疑義、特にソフトウエア資産価値の評価が過大であり、純資産は51億円(同社発表では241億円)に過ぎないとの内容です。これと前後して株価が大幅に下落し、わずか1カ月足らずで半値以下となってしまいました。この時の株価は3万円前後ですから、公募から8割の下落です。
崩壊
同社は、07年8月29日に07年6月期決算を発表しました。当初の発表日を1週間延期したので、既に様々な憶測が流れていましたが、想像以上に厳しいものでした。元々、中間決算で下方修正を行い、経常利益26億円、当期赤字▲13億円の予定でした。結果は経常赤字▲4.3億円、当期赤字▲302億円となり、一気に▲40億円の債務超過に陥りました。巨額赤字の理由は、医療事業の失敗と全面撤退、ソフトウエア等資産の減耗との説明でした。
債務超過の責任を取り、末貞郁夫代表取締役会長(当時)を含む全5人の取締役が退任しました。
新体制
経営再建のため、2つの投資ファンドが第三者割当増資200億円を引き受けます。内訳は、ロングリーチグループ135億円とフェニックス・キャピタル65億円です。経営は、代表取締役会長として大野健氏がNRIから、副社長として米田光伸氏が日本IBMから招聘され、さらに2つの投資ファンドからも取締役として派遣され、完全に一新されました。
この間にも同社には逆風が続きます。週刊経済誌で、循環取引等の粉飾や旧経営陣による乱脈経営の疑義を報道され、東京証券取引所からは東証2部への異例の指定替え処分を受けました。
ニイウスコーを11月1日付けで2部市場に指定替え=東証
東京証券取引所は、ニイウスコーを11月1日付けで1部市場から2部市場に指定替えすると発表した。債務超過の状態となったため。2008年6月30日までは「債務超過」の猶予期間入り銘柄となる。(ロイター07/09/27)
この半年間で、新経営陣による経営実態の把握と再生スキームが固まったのでしょう。調査結果を公示すると同時に民事再生法を申請しました。負債総額が1000億円を超え、重大な違法行為も発覚したので、上場維持のまま債権者との利害調整で解決するのは不可能との判断したものと推察できます。
利益277億円過大計上=ニイウスコー、循環取引で-証券監視委、立件視野に調査
東証2部上場のシステム開発「ニイウスコー」=民事再生法申請=の粉飾決算疑惑で、同社の旧経営陣が循環取引を繰り返すなどして、 2007年6月期までの5年間で計約277億円の利益を過大に計上していたことが30日、分かった。同社の調査委員会が結果を公表し、明らかにした。
証券取引等監視委員会も既に調査を開始しており、証券取引法(現金融商品取引法)違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑での立件を視野に調べを進めている。調査結果によると、同社は帳簿上だけで商品を売買したように装う「循環取引」を繰り返すなどし、不正は56取引に及んだ。5年間の合計で売上高約682 億円、最終損益約277億円を過大計上した。いずれも本来は赤字だったが、06年6月期までの4年間は黒字にしていた。(時事通信04/30)
ニイウス新経営陣による調査結果「調査委員会の調査結果概要と当社としての再発防止策について(PDF)」によれば、
不正経理は平成15年6月期から平成19年6月期までの5期間で行われ、総額は売上682億円、最終利益277億円を水増ししていました。この5年間の連結売上高は3457億円、最終利益(H19.6期除く)は100億円ですので、売上の2割は虚偽であり、損益に至っては利益全てが虚偽で、元々赤字だったことになります。
手口(恣意的なもの)は、
・実体の無いとみられるスルー取引
・リース契約(会社)を利用した不適切な循環取引
・売上の先行計上とその後の失注処理、買戻しによる循環取引
・不適切なバーター取引による売上
各年度別の詳細が不明なので断定はできませんが、虚偽の有価証券報告書に基づいて増資した可能性は極めて高いでしょう。同社の旧経営陣は、刑事上・民事上で厳しい追求を受けることになります。
株価の推移
ニイウスコー株は、昨年11月の2部陥落からは、破綻を織り込んだ値動きになっています。

月末に近づくと、出来高1万株を超えて急落しており、破綻を懸念した値動きでしょう。

新規公開時は、本格的SI(システムインテグレーション)企業と喧伝され、華々しいスタートでした。長期チャートを見ると最盛期は、2度の増資の前後です。
粉飾決算で好業績に見せかけ、短期間に多額の増資を行っています。極めて悪質な事例であり、事件に発展するのは避けられないでしょう。
なお、今後の株価を推察すると、2つの投資ファンドが出資直後の民事再生法申請であり、様々な憶測・思惑を生みそうです。倒産株としては、魅惑的な値動きとなる可能性があります。
今回の件は、日本IBMと野村総合研究所という優良会社を母体とする企業で行われており、両社の信用の毀損も多大なものになります。さらに他のIT企業でも循環取引等による粉飾決算の疑惑は根強く残っております。
日本人はITリテラシーも高く、優秀なシステム技術者も多数おります。しかし、その方々の職業環境は前近代的であり、待遇も低く抑えられています。その一方でIT企業経営者による不正は後を絶ちません。これではシステム関連業務に従事している者のモラルも能力も高めようがありません。日本のシステム開発力が落ちるのも当然の帰結でしょう。
関連書籍
ニイウスによる出版物です。![]() |
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ライブドア・カネボウ等、粉飾の背景と構図を描きます。
![]() |
決算書の見方の事例です。
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(2 reviews)
とてもじゃないが
壮大なテーマに内容がついていけていない
(4 reviews)
望外のおもしろさ
(25 reviews)




11・3付け東京地裁へ提訴、を受け関係記事を探していたら当該記事に遭遇し、内容拝見、あまりの事実誤認に驚きコメント。NIWSが超エリートIT会社??あきれました。システムインテグレーターもいろいろあって、NIWSは構築系(ITS)だけのPサーバー専門商社です。IBMから他のBPも驚く仕切値で仕入れ、IBMの獲得した優良顧客へ卸すマージン商売。そこにはNIWSの付加価値など微塵も無い。営業も必要なければ、SEもいない。末貞をIBMで操るO元副社長は、粉飾決算状況をいち早く察して、突然の辞任。末貞の乱脈経営はIBM内でもひどすぎると前々から言われており、W社長、M管理取締役、H広報取締役の3女史は何の経験も無い、もとIBM秘書、末貞のハーレム状態。毎年粉飾で得た利益還元と称して、全員をオーストラリア社内旅行へ招待。役員へは西麻布界隈の高級マンションを買い与え、オフィスも新ビルを一棟まる借のバブルざんまい。循環取引の最後は、ハイエンドのPサーバー(ブルージーン)を切り売りするほど不良在庫を抱え、IBM BPへ押し売り行脚。ある意味では、日本IBMの苦しい台所を支える優良BPとして、末貞は祭り上げられた犠牲者かもしれない。必然的にディーラービジネスの限界を悟り、未知の医療などへ手を出したが、ここでの損失はたかが知れている。こんな会社、経営者にだまされる人々、IT素人は怖い!
更新: 2008.11.4 15:05:38 by IT素人
3年程前にワンマン社長の不正経理が問題になり、それまで優良企業のイメージが経営陣の交代で持ち直していたと思っていた。それが何と同じことを会社全体で繰り返していたとは驚きだ。それにしてもSOX法適用の中での出来事であり、組織全体での悪行にSOX法は力なしの感である。それにしても監査会社の存在意義が問われる。
コンプライアンスの遵守を唱えていても、組織ぐるみの悪行は誰も見抜けず、結局ステークホルダの被害だけが残る。コンプライアンス以前に経営者倫理を説けないものか。
更新: 2009.05.7 12:48:18 by 水上圭吾
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更新: 2009.07.15 17:28:45 by 匿名
いやぁこんなめちゃくちゃだとは思いませんでしたねぇ。
まっ俺にはカンケーないけどね。
更新: 2009.10.17 23:09:57 by 流離人
市井、どこに逃げた?
更新: 2009.12.19 15:37:00 by 匿名
吉村、姫井、おまえらもどこに逃げた?
更新: 2009.12.19 15:37:30 by 匿名
ニイウスが超エリートかどうかは置いといて、NRIと設立したころAIX普及の実働部隊会社として働いていたのは事実。
後半はIT素人さんがいうとおり。だが、箱崎のI社でも大量に営業がクビになり、他の外資系で君臨しているわけで、この闇を明るみに本当に出せるかは疑問。
興味深い話は終わっておらず、裁判所の入札でババを掴んじまった三流会社の下でIT Crewとして再スタート。IBMはまだ助けるのかねぇ?
更新: 2010.01.20 11:31:49 by 匿名