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2008.06.11

米投資銀行リーマン・ブラザーズの苦境-続くサブプライム問題の後始末

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 米国の一部金融機関が苦境に陥っています。

 今回の主役は、米投資銀行(証券)第4位のリーマン・ブラザーズです。

 同社株は、1年前は80ドル前後で推移していましたが、現在では20ドル台まで下落しています。
リーマン・ブラザーズ1年チャート

 リーマン・ブラザーズの名前は、ライブドアによるニッポン放送買収騒動の件で知っている方も多いでしょう。

ライブドア、リーマン系から株資金588億円借り入れ
 ライブドアが8日早朝の立会外取引でニッポン放送株を一挙に取得した際に、必要な資金588億2500万円の全額をリーマン・ブラザーズ証券のグループ会社から借り入れていたことが、関東財務局に提出した大量保有報告書で明らかになった。借入先はリーマンの関連会社、サンライズファイナンス。東京都庁によると、2001年に貸金業登録している。
 ライブドアはニッポン放送株の買収資金を手当てするため、主幹事証券のリーマンに全額を割り当てる形で800億円の転換社債型新株予約権付き社債(CB)を24日に発行する。CB発行までに必要な資金はリーマンからのつなぎ融資で確保すると説明していたが、サンライズファイナンスからの借り入れがこのつなぎ融資に相当するとみられる。同報告書によると、ライブドアは8日時点でニッポン放送株の34.99%(1147万7030株)を保有。(NikkeiNet05/02/15)


リーマン・ブラザーズ危機の経緯

リーマン・ブラザーズ本社 リーマン・ブラザーズは、1850年にリーマン兄弟により創業されました。同社の経営状況は浮き沈みが激しく、世界恐慌や1980年代に経営危機に瀕し、一時アメリカン・エキスプレスへ身売りしたこともあります。1998年のロシア・アジア危機の際にも破綻観測が流れ、資産の2割を処分しています。
 3月のベアー・スターンズ破綻に際して、同社株も急落しましたが、米金融当局の機敏な対応により大きく戻しました。

 その後暫く、40~50ドルで推移していましたが、経営の苦境が伝えられるに従って、5月中旬以降、断続的に下落していきます。

リーマンなど米投資銀行、ヘッジで多額損失を計上する可能性=WSJ
 21日付のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙電子版は、米国の大手投資銀行は第1四半期の巨額損失から立ち直りつつあるが、第2四半期も一部の銀行は多額の損失を計上する可能性がある、と伝えた。
 WSIによると、第2四半期の業績の足を引っ張りかねない要因は、各行が不動産証券などの損失を相殺するために用いていたヘッジ。投資銀行は過去1年間、不動産証券やレバレッジドローンの損失を限定するため、積極的にヘッジを活用してきた。
 しかし、3月半ばに市場が底を打って以来、それらのヘッジが裏目に出た。例えば、商業用モーゲージ担保証券市場に連動するCMBXなどの指数は場合によっては50%も上昇した。
 一部のアナリストによると、ヘッジによって最も大きな損失を被ったとみられるのはリーマン・ブラザーズ・ホールディングスで、資産の評価損と不効率なヘッジによる損失は、あわせて15億ドルから20億ドルに達したもようだという。リーマンは第1四半期末時点で、商業用不動産ローンおよび証券を361億ドル、レバレッジドローンを178億ドル保有していた。
 アナリストによると、モルガン・スタンレーもゴールドマン・サックスやメリルリンチに比べて大きな損失を被ったもようだが、リーマンの損失に比べると半分以下にとどまりそうだという。(ロイター05/21)


 同社は昨年7月以降、全従業員の25%にあたる6400人を削減していますが、今年も全従業員の5%規模のリストラを行うと報道されています。

米リーマン・ブラザーズ、世界全体で約1300人削減へ=関係筋
 関係筋は20日、米投資銀行大手のリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが、世界全体で従業員の約5%に当たる1300人前後の雇用を削減すると語った。
 リーマンは2007年半ば以降、既に5000人以上の雇用を削減している。リーマンはコメントを拒否した。
 ウォール街の投資銀行は、信用収縮の広がりが引き受けや合併助言などの業務に影響を与える中、従業員数の削減に動いている。スイスの金融大手UBSも今月、コスト削減のため5500人(全従業員の7%に相当)を追加削減すると発表している。(ロイター05/21)


リーマン・ブラザーズ3ヶ月チャート

経営不安説が広まるにつれ株価の動きも不安定になります。株価防衛のため自社株買いを行いました。

米リーマン・ブラザーズ、自社株買いを開始=WSJ
米ウォールストリート・ジャーナル紙は、関係者の話として、リーマン・ブラザーズが株価の下落を受け、自社株買いを始めたと報じた。規模は不明という。また同紙は、同社が投資家グループへの株式売却を検討中で、最近海外投資家と協議を行ったと報じた。
 3日のリーマンの株価は3.22ドル(9.5%)安の30.61ドルで引けた。(ロイター06/04)


 追い打ちをかけるように、デリバティブ損により赤字転落となる予想が報道。

米リーマン、ヘッジ取引などで30億ドルの損失の可能性=ワコビア
 ワコビア・キャピタルは4日、米証券大手リーマン・ブラザーズの第2四半期決算について、資産売却とヘッジ取引に絡む30億ドルの損失により赤字に転落する可能性があるとの見方を明らかにした。
 ワコビアのアナリスト、ダグラス・シプキン氏はリポートで1株当たりの損益予想をこれまでの1.27ドルの利益から1.28ドルの損失に下方修正した。デリバティブ取引でショートポジションを取っていたことによる損失や資産売却による損失などで赤字に陥る可能性があるとしている。(ロイター06/05)


 市場の疑心暗鬼を沈めるため、同社は決算発表と増資を予定より1週間早めて公表する事態に追い込まれました。

米リーマン6300億円調達へ 2900億円赤字見通し
米証券大手リーマン・ブラザーズは9日、08年3~5月期決算で、27億7400万ドル(約2900億円)の当期赤字になる見通しだと発表した。赤字が確定すれば94年の上場以来初めて。資本不足を補うため、普通株と優先株の発行で60億ドル(約6300億円)を調達する。
 当期損益は、前年同期の黒字12億7300万ドル(約1335億円)から大幅に悪化した。サブプライムローン関連の損失などが響いた。売上高にあたる営業収益も、同55億1200万ドル(約5790億円)の黒字から、6億6800万ドル(約700億円)の赤字に落ち込む見通し。
 リーマンは、サブプライム危機が深刻化した昨夏以降も当期黒字を確保してきたが、損失の見積もりの甘さなどを指摘する声が近ごろ株主やアナリストらの間に広がり、株価が一時、急落。このため、資本増強策と決算概要の発表を早め、経営基盤を強化する姿勢を強調した。正式な決算は16日に発表する。(朝日新聞06/09)

 さらに同社は、リスク軽減ため約1300億ドルの資産を第2四半期中に売却したことも明らかにしています。なお、今回の増資によって、同社株は約30%希薄化することになります。

 赤字決算と増資策を発表しましたが、市場の疑心暗鬼は完全には解けないようです。破綻観測まではありませんが、格付け機関からの評価を引き下げが相次ぎ、他社との合併観測も取りざたされています。

米リーマンの見通しをネガティブに引き下げ=ムーディーズ
 ムーディーズ・インベスターズ・サービスは9日、米証券リーマン・ブラザーズの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。リーマンが第2四半期は約28億ドルの赤字の見通しと発表したのを受けた。シニア債務格付けは「A1」を確認した。 
 リーマンの60億ドルの増資計画について、バランスシートを建て直し投資家の信頼を回復する上で、前向きな措置だと評価した。ただ、ヘッジ関連の損失につながったリスク管理上の決定を懸念要因とした。(ロイター06/10)


 今回のリーマンの損失は、サブプライム関連商品そのものによりものではなく、ヘッジの失敗によるデリバティブ損です。
 株式投資で例えれば、現物株が暴落した際に、「今後も下がる」と予測して、日経先物などに空売りをかけましたが、先物が急騰してしまい、売り買いの両方で損してしまった状態です。

 世界最高水準のプレイヤーでさえ難しい投資環境ですので、一般投資家には参加し難い状況でしょう。

 米最大の保険会社AIGが、赤字計上と増資を発表しましたが、今回のリーマン・ブラザーズも同様のケースと言えます。
 米国金融機関の実現損が確定するまでには、まだまだ時間がかかりそうです。

参考書籍

1980年代におけるリーマン・ブラザーズの混乱と崩壊への過程を描いています。

最新投資銀行の基本と仕組みがよ~くわかる本―グローバルに展開する金融ビジネスの全貌!
by 野澤 澄人
秀和システム

単行本
定価:¥ 1,680
売り上げランキング: 41276位

参考記事

08.05.27リセッション中の米国経済-蝕ばまれる実体経済

08.03.17世界金融恐慌の瀬戸際-米国経済、危機管理モードへ

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”リーマン”ですか?結局、欧米の金融機関がやってきたことは、やれ、何とかヘッジだとか、デリバティブとか、カタカナ使った偉そうなこと言ってたが、やっていたことは要するに”金融ばくち”。ばくちは確立の問題で、簡単に言えば、”上がるか””下がるか”でしょう。1/2の確立ですから、儲かるときもあれば損することもあるのです。

サブプライム以前は、ばくちの参加者はほとんど儲かる上げ相場であったが、バブル崩壊後は、ほとんどがハズレになったということでしょう。

驚きです。これからどうなるのでしょう。住まいは大事です。ちゃんと無理せずローンを支払える金融環境こそ今のアメリカに必要なことと思います。差し押さえられるとつらい思いをします。土建経済は成り立ちません。作って経済効果があり利回りがあってこそ経済が成り立ちます。
経済とは生活であると思います。良い生活ができる相場の経済にしましょう。

追伸 土建経済と書きましたが土建国家と訂正します。土建だけでは経済はなりたちません。

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