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2008.06.25

スルガコーポレーション倒産(東証2部)-反社会的勢力を利用した「不動産ソリューション事業」の破綻

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 東京証券取引所2部上場のスルガコーポレーションが民事更生法を申請し、倒産しました。

 今年に入ってからの上場企業の倒産は、6社目となります。

 違法行為により信用を失墜しての倒産です。

スルガコーポレーションが民事再生法申請、負債総額620億円
 東証2部上場の建設・不動産会社、スルガコーポレーションは24日、東京地裁に民事再生手続き開始を申請したと発表した。負債総額は約620億円。同社によると、東京地裁は同申請を受理した。 
 同社は所有商業ビルをめぐり、立ち退き業務を委託していた企業2社の関係者が弁護士法違反の容疑で逮捕された影響で、銀行からの新規の資金調達が困難になった。5月末には、監査を担当する新日本監査法人から、2008年3月期の決算書類について監査意見を表明しないとの報告を受けた。これらの結果、6月末までに必要な資金を調達するめどが立たなくなったとしている。(ロイター06/24)

 同社は3月31日現在、222億1700万円の社債を発行し、これもデフォルト(債務不履行)となります。日本における普通社債のデフォルトは2001年のマイカル以来ですから、7年ぶりです。

スルガコーポレーションの軌跡

 スルガコーポレーションは、横浜を地盤とする中堅の総合建設業者です。事業は、建築請負と不動産が主体で、建築請負事業として、官公庁、民間から受注による企画・設計・工事・施工。不動産事業として、自社物件の開発・設計・施工・管理のトータルマネジメント、および不動産ソリューション事業を手がけています。

創業

スルガコーポレーション会社HP 同社は、1972年3月24日、横浜市に設立(当時の社名「駿河建設株式会社」)
 創業者は、前会長の岩田一雄氏です。同社は、岩田氏の元で急速に拡大していきました。

公共事業で拡大

 上場は、1995年8月1日です。
 上場前後に横浜市から、大型物件(環境事業局鶴見工場リサイクルプラザ、横浜港国際流通センター、横浜国際総合競技場)の受注が相次ぎ、さらに業容は拡大していきました。
横浜港国際流通センター横浜国際総合競技場


分譲マンションへの注力

フォーシーズンズ フォレスト湯河原 2000年8月に社名を現在の「スルガコーポレーション」に変更しました。
 折しもこの時期は、マンション建設ラッシュとなっており、自社分譲マンション販売にも注力していました。


公共事業の衰退 → 不動産ソリューション事業への転換

 この時期は、公共事業が急激に先細りとなった時期でもあります。
 政治的にも大きな動きがあり、2002年4月の横浜市長選挙で前職の高秀秀信氏が、新人中田宏氏に敗れてしまいました。
 高秀前横浜市長は「箱物行政」で知られており、同社にも恩恵はあったでしょう。しかし、市長が中田氏に変わり、国政レベルでも「小泉構造改革」により公共事業が大幅に削減されました。

スルガコーポレーション業績推移 公共事業削減の影響で、同社の業績は、2002年から2004年の間、沈滞しました。
 成長を前提としていた企業ですので、資金繰り等厳しい経営状態だったと推察できます。

 同社は、現状打破のため「地上げ」事業を強化します。
 時代背景としては、1990年代後半以降は不良債権整理の最終段階であり、不動産価格が大きく下落していました。その割安となったオフィスビルやマンションを、外資や不動産ファンドが次々と購入していました。

 同社はその中でも、特に割安な権利調整の複雑な物件を購入し、専門業者を使って権利関係の整理(入居者の立ち退き)をした上で、ファンド等に転売する「ビジネスモデル」を採りました。
 同社の事業内容上は、「不動産ソリューション事業」となります。

再成長

 不動産ソリューション事業は時代のニーズと合致しました。
 同事業の売上高は、172億円(03.3期)、209億円(04.3期)、285億円(05.3期)、509億円(06.3期)、609億円(07.3期)と急成長しました。2008年3月期に至っては、半期で778億円(通期予想1171億円)の売上です。
スルガコーポレーション事業別売上高推移
 直近決算では、同社売上のうち86%が不動産ソリューション事業となっています。
 順調な業容を反映し、社債格付も8月3日に「BBB-」から「BBB」へ格上げになりました。

転落

 同社の破綻は突然訪れます。同社と反社会勢力との関係が明らかになりました。

地上げめぐり不動産会社社長逮捕
 東証2部上場の不動産・建設会社「スルガコーポレーション」(本社・横浜市)が所有していた東京都内のオフィスビルをめぐり、弁護士資格がないのに、報酬を得て立ち退き交渉などをしていたとして、警視庁組織犯罪対策4課は4日午前、弁護士法違反(非弁行為)の疑いで、大阪市東住吉区の不動産会社「光誉実業」の社長、朝治博容疑者(59)ら10人を逮捕した。
 朝治容疑者らはスルガ社から約40億円を受け取り、10億円前後が報酬だったとみられる。同容疑者は指定暴力団山口組との関係が指摘されており、組対4課は一部が山口組側に流れた可能性が高いとみて解明を進める。
 スルガ社はこのビル以外にも都心で複数のビルを買収。朝治容疑者らに立ち退き交渉を依頼しており、上場企業としてのモラルが厳しく問われそうだ。(産経新聞抜粋03/04)

スルガが渡した地上げ資金は150億円 警視庁、全容解明に全力
 東証2部上場の不動産・建設会社「スルガコーポレーション」が所有したビルをめぐる弁護士法違反事件で、スルガ社が地上げを依頼した不動産会社「光誉実業」や「共同都心住宅販売」に対し、総額150億円前後に上る地上げ資金を渡していたことが5日、警視庁組織犯罪対策4課の調べで分かった。うち数十億円が報酬になっていたとみられる。警視庁は同日、スルガ社の本社(横浜市)などを家宅捜索。資料を分析し資金の流れの全容解明を進める。
 調べなどによると、スルガ社は平成17年、弁護士法違反(非弁行為)で逮捕された光誉実業社長の朝治博容疑者(59)に、「秀和紀尾井町TBRビル」の立ち退き交渉を依頼。その際、資金として42億円が光誉側に渡り、うち10億円以上が報酬となっていたことがすでに明らかになっている。
 組対4課の調べでは、TBRビル以外にも4つの物件で、光誉や「共同都心住宅販売」経営の風間勇二容疑者(57)が地上げに関与。スルガ社はそれぞれの物件について地上げ資金を渡し、5物件で総額150億円前後、そのうち報酬は数十億円に上ることが判明した。(産経新聞抜粋03/05)

 同社と反社会的勢力との関係がマスコミで連日取りざたされました。
 報道前は1200円前後で推移していた株価は暴落、連日ストップ安が続き、最終的には200円台まで下落しました。
 コンプライアンス上、重篤な問題が発覚した同社は、取引先・金融機関の信用を完全に失い、事業維持が不可能になる状況に陥りました。建設・不動産事業は事業の性格上、多額の借入金が必要ですので、金融機関との関係悪化は致命的となります。

 さらに、新日本監査法人が08年3月期の決算書類に監査意見を表明しないとする報告書を通知し、5月30日には日本格付研究所が、長期優先債務の格付けを「BB」→「CCC」に5段階引き下げました。

 事ここに至り、1ヶ月を経ずに今回の倒産となりました。

株価の推移

 今年3月の問題発覚後、同社の株価は暴落しています。初動で既に倒産は織り込んでいた動きです。
 4~5月に一度大きく戻っております。この時期は、経営体制の一新で同社が経営を継続出来るか否かを探っていた時期です。業績そのものは好調でしたので、上場を維持したまま外部の支援を得られるか模索していたのでしょう。
 結局、現状での支援は得られず、監査法人もサジを投げ、社債もジャンク扱いになりました。5月末以降は倒産不可避となっています。
スルガコーポレーション080624株価
スルガコーポレーション6ヶ月チャート

 6月19日に197円の最安値をつけ、5営業日後には277円の高値をつけています。ここ5日間では大きく下落していますが、既に倒産折込株としての挙動です。
スルガコーポレーション5日チャート

長期チャート

スルガコーポレーション長期チャート
 「地上げ」と聞けばネガティブなイメージを持つ方が多いでしょうが、不動産の有効活用のためには必要不可欠です。権利関係が複雑なまま放置すれば、建物の老朽化が進み、スラム化が促進されますので、社会秩序の点でも必要でしょう。
 問題は、その手段であり、反社会的勢力の介在や違法行為は論外です。
 法や社会秩序を遵守すれば、時間もコストもかかります。しかし、違法行為で利得を得ても、結局全て失うことになり、さらに法的・社会的制裁を受ける事になってしまいます。

 今回の倒産劇は、財務諸表から予測するのは不可能なケースです。

参考書籍


  • 山本 勇作
  • 定価 : ¥ 1,470
  • 発売日 : 2007/11/23
  • 出版社/メーカー : 扶桑社
  • おすすめ度 : (6 reviews)
    わかりやすい。
    不動産価格暴落
    2006年「熱狂の実態」描写は面白い。
    初めて不動産ファンド業界に触れるなら
    わかりやすくて、面白い

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