2008.07.22
ジャスダック上場のキョーエイ産業が倒産-建設・不動産恐慌
ジャスダック上場のキョーエイ産業が7月18日に民事更生法を申請し、倒産しました。
今年に入ってからの上場企業の倒産は、8社目です。
破綻原因は、改正建築基準法施行、資材高騰、不動産市況の冷え込み、建設業・不動産業に対する金融機関の融資姿勢の厳格化など、外部要因の急変です。
なお同日に、同業で東証一部上場のゼファーも倒産しております。
キョーエイ産業が再生法申請
ジャスダック証券取引所上場の賃貸マンション建設・管理、キョーエイ産業(広島市安佐南区、資本金5億8900万円、石田淑行社長、従業員145人)は18日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は約87億3700万円。営業は継続する。帝国データバンク広島支店によると、上場企業の経営破たんは広島県内で初めて。中国地方では佐藤造機(現三菱農機)以来、37年ぶり2社目という。
同社は1975年、建設業として設立。完成後の賃貸マンションの家賃を家主に保証する一括借り上げ方式を88年に業界で先行して導入し、マンション建設の受注を伸ばして成長した。99年6月に株式を店頭公開し、2004年12月にジャスダック上場となった。
同社によると、昨年末から資金繰りが悪化。2005年に子会社化した東京の開発業者が手掛ける首都圏でのマンション販売が、米国のサブプライムローン問題などをきっかけに落ち込んだ。さらにキョーエイ産業が手掛けるマンション建設も、昨年6月の改正建築基準法施行や資材の高騰で低迷した。金融機関の融資姿勢も厳しくなり、経営破たんした。同社の08年3月期連結決算は売上高240億8800万円、当期損失2億2500万円。(中国新聞07/19)
キョーエイ産業の軌跡
創業
創業は1975年3月。広島県広島市に協栄産業株式会社として設立しました。創業者は、現社長の石田淑行氏です。
同社は、「一括借上家賃保証システム」を1988年に業界に先んじて導入しました。賃貸マンション・アパートの一括借り上げ方式は、今でこそポピュラーな契約形態になっていますが、当時は新規性があり、同社の業容が大きく拡大する一因となりました。
拡大
1999年6月に株式店頭公開。翌年には東京支店と大阪支店を開設します。地元企業としては屈指の規模となりましたが、当時から財務基盤は脆弱でした。
しかし同社は、財務改善より業容拡大を志向しました。東京地区への進出を急ぎ、その手段としてM&Aまで手がけます。
まずは、2005年11月に東京のマンション・ディベロッパー、レジェンドハウスを5800万円で取得しました。さらに翌年には、破綻会社である加藤組再建に乗り出します。加藤組は、横浜の中堅ゼネコンで、明治30年創業という老舗企業です。
【神奈川】加藤組の再生支援者が決定
民事再生手続きを進めている加藤組のスポンサーが、ジャスダック上場企業のキョーエイ産業に入札によって決まった。28日、両社が発表した。
キョーエイ産業は、企画から管理まで一貫した独自の賃貸マンション事業などを展開。近年、関東地区に進出し、不動産開発や建築受注などにも注力している。今回、施工体制の拡充に向けて、施工能力が高く評価される老舗ゼネコンの加藤組を、スポンサーとして再生支援することを判断したという。減増資型の再生計画案の立案を前提に、運転資金の融資や増資の引き受けなどを行う。(建設業界ニュース06/10/02)
破綻へ
拡大政策により、売上規模は急拡大していきましたが、収益力は伴いませんでした。
売上だけ見れば、破竹の勢いで成長しているような錯覚に陥ります。
しかし、同社は、急拡大に伴う資金需要の拡大に対応することができませんでした。
脆弱な同社の自己資本では、業界の急変に対応することができず、今回の破綻となりました。
同社の石田社長は、記者会見の中で、破たんの要因として、①昨年6月の改正建築基準法施行、②サブプライムローン問題、資材高騰を受けた急速な不動産市場の冷え込み、③不動産に対する金融機関の融資が厳しくなったことを挙げています。
確かに昨年夏からの建設・不動産業界の変化は、あまりに急激でした。景気低迷は始まったばかりであり、今後も事業環境の悪化は続く模様です。体力の乏しい業者から順に、破綻が続くのは避けられないでしょう。
キョーエイ産業の株価
キョーエイ産業株は、出来高そのものが乏しく、枯れた状態でした。今年は100円台で推移していましたが、5月は1ヶ月間で3営業日しか売買が成立しないなど、ほとんど動きがありませんでした。6月末以降、スルガコーポレーション・真柄建設などの建設・不動産業の上場企業の倒産が相次ぐにつれて、同社株も大きく下落していきました。売り物は相変わらず数千株ほどです。

破綻直前には、売買も多少活況になります。数千株の売りもので一時80円まで下落していましたが、翌7月10日には、(同社株としては)大きく買われ、100円まで急騰します。
民事再生法申請発表日の週には、出来高が増えており、「破綻近し」の情報が流れていた可能性があります。
但し、出来高は7月14日100,000株、15日70,000株、16日99,000株、17日155,000株、18日124,000株に過ぎず、「売り逃げ」とは到底言えない水準です。

長期チャート
同社株は、上場直後の1999年7月6日につけた1,810円が最高値でした。その後、この水準に近づくことはなく、マンションブームで活況だった時期にも連れ高とならず、長期低落を続けていました。創業オーナー社長の一人相撲のための株でした。
元々、金融機関の不動産業への融資姿勢は厳しくなっていますが、最近の倒産ラッシュにより、さらに厳格化を強めていくのは確実でしょう。
そのことが、さらに破綻を増やしますので、「合成の誤謬」の典型です。
不動産セクターは、株価も大きく下落しており、ミニ恐慌状態となっています。
参考書籍
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