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2008.11.14

氷河期の住宅産業-官製不況の最中に到来した世界不況

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 「改正建築基準法」が施行(07年6月20日)されて、1年以上が経過しました。

 新設住宅着工戸数は、施行直後に前年同月比で▲40%以上落ち込みました。

 住宅バブルが崩壊した米国以上の惨状です。

 当初の大混乱こそ沈静化しつつありますが、改正前の水準への回復までにはほど遠い状況です。

9月新設住宅着工戸数は前年比+54.2%、年率112.6万戸=国土交通省
 国土交通省が31日発表した9月の新設住宅着工戸数は、前年比54.2%増の9万7184戸となった。改正建築基準法の施行で大幅に落ち込んだ前年の反動で、3カ月連続増となった。季節調整済み年率換算は112.6万戸だった。<-中略->
 内訳は、持ち家が前年比19.9%増、貸家が同66.9%増、分譲住宅が同82.8%増、分譲のうちマンション着工戸数は同217.6%増だった。
 住宅着工に1カ月程度先行すると言われる建築確認交付件数は同18.3%増で、前月(同7.6%増)より改善した。同時に発表された大手50社の建設工事受注額は、同10.3%増で2カ月ぶりに増加した。(ロイター抜粋10/31)


 前年同月比で50%以上も伸びており、前年同月比の推移グラフでも、既に大きく回復したかのように見えます。

 しかし、これは錯覚のようなもので、例えば1000円の株が▲44%暴落して、54%回復した場合、
  1000円 → 560円(▲44%) → 862円(+54%)
 で、暴落前と比べれば、約14%安値となります。

 年計グラフでは、未だ回復途上です。


建設業界の深い傷跡

 2007年度の住宅着工件数は、41年前の1966年度の水準にまで落ち込みました。

住宅着工、41年ぶり低水準 07年度は103万戸
 国土交通省が30日発表した2007年度の新設住宅着工戸数は、前年度比19.4%減の103万5598戸で、1966年度(約88万戸)以来41年ぶりの低水準となった。着工戸数が減少に転じたのは5年ぶり。
 耐震強度偽装問題を受けた改正建築基準法が07年6月に施行され、建築確認が厳格化されたことが主な原因。誤字脱字といった軽微なミスでも建築確認申請をやり直しさせるといった過剰な運用が当初相次いだことが混乱に拍車を掛けた。
 地域別では首都圏が21.5%、中部圏が11.4%、近畿圏が22.8%、その他が18.8%それぞれ減少。住宅の種類別では、ピアチェックと呼ばれる再検査が義務付けられたマンションが34.0%減と落ち込みが激しかった。住宅着工には入らない工場や店舗といった民間非居住建築物の着工床面積も、法改正の影響で5年ぶりに減少した。(共同通信04/30)


 第一生命経済研究所によれば、改正建築基準法によって2007年度の実質GDPは、3兆7790億円(0.7%)減少し、影響は2010年度まで残るそうです。

改正建基法で07年度GDPは3.8兆円減少、第一生命経済研が推計
 第一生命経済研究所はこのほど、改正建築基準法の影響で2007年度の実質GDP(国内総生産)が3兆7790億円(0.7%)減ったと推計するレポートを発表した。
 レポートによると、07年6月に施行された改正建基法で建築確認が停滞し、07年度の民間非住宅建物への投資は1兆9110億円(6.0%)、住宅投資は1兆7470億円(9.0%)、それぞれ減少した。主にこれらがGDPを押し下げたという見解だ。(日経BP06/30)


 多くのマンションデベロッパーや建設業者が回復不能な打撃を受けてしまいました。

 建設業界の不運は、「改正建築基準法問題」に、「サブプライム問題」に端を発する金融厳格化と、資材価格の急騰が重なったことでした。

 建築確認の厳格化により、工期は長期化します。

 工期長期化は、ただでさえ必要な資金を増加させます。

 そこに、金融情勢が悪化(貸し渋り・貸し剥がし)したのですから、資金繰りが危機的状況となる企業が続出するのは当然の結果です。

 そのうえ、建材や燃料が急騰し、当初の積算では赤字になるケースが多く発生しました。

 国土交通省は、最悪のタイミングで法改正を行ってしまいました。

需要の減少

 今までは、供給サイドの混乱でした。
 今後は、需要の減少が建設不動産業界を苦しめることになります。

 建設基準法改正の混乱が続くなか、住宅市況は厳冬期に入ってしまいました。
 戸建分譲の在庫水準は過去10年間で最悪です。

首都圏建売住宅の在庫数、過去10年で最高に/細田工務店調査
 (株)細田工務店はこのほど、2008年上期(08年4月~9月)の首都圏の戸建分譲団地の供給動向を発表した。同社が2ヵ月おきに調査している販売データをもとに、供給動向をまとめ分析したもの。
 08年上期の建売住宅の新規物件数は319物件(前年同期比▲3.0%)、2,931戸(同▲14.7%)と減少した。平均土地面積も43.17坪(同 ▲2.4%)、平均建物面積は32.11坪(同▲1.4%)と06年以降、ゆるやかに縮小している。1回あたりの供給戸数をみても、5戸未満のシェアが 34%(同14ポイント増)と大幅に増えており、総区画数の大きな販売現場でも、1回あたりの供給数を減らし、販売の期数を増やすことで集客を図る傾向がみられる。
 一方、初月の売上率は48.7%(同増減なし)だったものの、2年前と比較すると10.4ポイントのダウン。期末在庫数も2,327戸(同22.5%増)と、過去10年間で最多となっている。今期販売を開始した物件のうち、期末まで在庫を抱えている物件は84%にのぼっている。(不動産流通研究所11/12)


 マンションは、さらにひどい状況です。成約率は63%にまで落ち込み、在庫も急増しています。
 大京は、大幅なリストラを計画しています。

マンション発売戸数、14か月連続の前年割れ…首都圏
 10月に首都圏で新たに売り出されたマンション戸数は、前年同月比26.0%減の4240戸に落ち込んだ。不動産経済研究所が13日発表した。
 前年割れが14月続いており、バブル崩壊時(1990年11月~91年12月)に並ぶ長さだ。マンション分譲会社は在庫を抱え、業績が悪化している。販売不振のきっかけは、資材の高騰などでマンション価格が高くなり過ぎたことだ。景気悪化が追い打ちをかけ、購入を見合わせる動きが広がった。
 同研究所によると、発売戸数のうち実際に売買契約できた割合は63.0%にとどまり、好不調の目安となる7割を2か月連続で大幅に下回った。このため、在庫は1万842戸と1年前から26%も積み上がった。
 11月の発売戸数も前年同月に比べて2割ほど減る見通しだ。同研究所は年初、年間発売戸数を5万4000戸とみていたが、4万戸台前半にとどまると見通しを引き下げた。
 こうした状況を受け、マンション分譲大手の大京は、09年3月期の業績予想について、税引き後利益を510億円の赤字(前期は162億円の黒字)に下方修正した。08年4~9月の販売戸数が2019戸と前年同期比でほぼ半減したためだ。グループ社員4000人のうち約15%を削減する方針だ。(読売新聞抜粋11/14)


 さらに、住宅業界のトップ2社が、住宅の供給量を大きく絞る方針です。これは住宅販売が長期間低迷する事に備えた措置でしょう。

住宅分譲用地、購入を凍結 積水は戸建てで、大和はマンション
 住宅大手が分譲住宅向けの用地購入を大幅に削減する。首位の積水ハウスは戸建て向けで新規取得の凍結を決めた。2008年度の購入額を前年度比25%減らし、在庫を圧縮する。2位の大和ハウス工業も今年度、マンション向けを含めた分譲用地の調達を同4割程度削減する。住宅市場の長期低迷を受けた措置で、供給戸数の絞り込みで販売価格の下落を食い止める狙いもある。
 大手2社が分譲用地の購入を大幅に減らすのはバブル崩壊直後以来という。同様の動きが住宅各社に広がる可能性がある。建設資材に加え、住宅販売と連動性の高い家電など幅広い業種に影響を与えそうだ。(日経新聞11/09)


 麻生政権は、追加景気対策の一環として住宅ローン減税の拡大を打ち出しましたが、中・低所得層では減税枠を使い切ることが出来ず、使い勝手が今一つです。

 なお、住宅取得に関しては、長年優遇税制を行っており、新規で住宅を取得しようとする方は限られています。

 新たに需要を掘り起こすとすれば買換の促進ですが、こちらは資産デフレによって残債が市場価格を上回っているオーバーローン状態に陥っている方が大半でしょう。
 国は、特定のケースを除いて売却損の税控除さえ認めておらず、住宅を取得したが最後、20年は釘付け状態に陥ります。この辺りも消費が低迷する一因でしょう。

 よほど思い切った需要促進策を打ち出さない限り、住宅需要の低迷が長期化する事は避けられないでしょう。

参考書籍

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  • 門倉貴史
  • 定価 : ¥ 777
  • 発売日 : 2008/04/17
  • 出版社/メーカー : 光文社
  • おすすめ度 : star (5 reviews)
    star役人や政治家の無責任さ
    starお勧めの一冊
    star官製不況と日本の未来について
    star官製不況とは何か
    star世界経済の未来

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08.11.04ジャスダック上場の山崎建設が倒産-建設・不動産恐慌(12)

08.07.07東証1部上場の真柄建設が倒産-凍てつく建設業界

08.03.05建設業界の悪夢-たった一つの法改正がGDPを押し下げる

08.01.10不動産に翻弄される世界経済-米中日3者3様の危機

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