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2009.01.30

「大恐慌」を示唆する鉱工業生産指数-底が抜けた経済指標

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 経済活動そのものを示す指標が、急速に悪化してきました。
  
 消費者態度指数や景気ウォッチャー調査では、既に過去最悪水準になっていましたが、これは景気「マインド」を示すものです。
 もちろん、消費マインドが減退して個人消費が落ち込めば経済への影響は顕在化しますが、指標自体が直接GDP等に影響を与えるものではありません。
  
 しかし、貿易統計の輸出入額や鉱工業生産指数の増減は、直接GDPに影響を与えます
  
 今回の長期経済成長を支えた輸出と製造業の急激な悪化によって、日本経済は深刻なダメージを受けています。
  
 経済は、既に底抜けし、「恐慌」の水準に入っています。
  

鉱工業生産の崩落

 鉱工業生産指数は、かつてない大幅な下落となっております。
 「100年に1度の危機」は、誇張ではなく、現実の数値として確認できます。

鉱工業生産、過去最大下げ幅
 経済産業省が30日発表した昨年12月の鉱工業生産指数(速報値、平成17年=100)は、84.6で前月比9.6%低下した。3カ月連続の低下で、下げ幅は統計上比較可能な昭和28年2月以降で最大となった。経産省は、基調判断を前月から引き続き「急速に低下している」とした。
 84.6は昭和62年9月に記録した83.8以来の低さ。国内外の需要の落ち込みにより、すべての業種で生産が低下した。全業種低下は平成10年3月以来となる。落ち込みが大きかったのは、電子部品・デバイス(前月比18.8%低下)、情報通信機械(同15.0%低下)、自動車など輸送機械(同12.1%低下)。<-後略->(MSN産経ニュース01/30)

  
 製造業セクターはGDPの約2割を占めます。
 実際、鉱工業生産指数とGDPは相関性が強く、鉱工業生産が年平均22%減少すれば、GDPを約7%押し下げることになります。
  

生産崩壊

 生産指標は、バブル後最悪の水準を一気に突き抜けてしまいました。
 この下落の早さは尋常ではありません。
鉱工業生産指数の推移   
 在庫循環図は、通常のサイクルを大きく逸脱しています。
 未だ在庫減少局面に入っていないので、生産落ち込みの「底」がどの辺りになるのか、全く予想がつきません。
在庫循環図   

在庫の動向

 なお一部には「在庫も急増している」という報道もありますが、これは「在庫」の急上昇を捉えたものです。
  
 「 在庫率 = 在庫 ÷ 出荷 」ですので、出荷が急減していますので、在庫率も連動して急増することになります。
  
 在庫も増加していますが、過去の水準と比較すれば、急増とまでは言えません。
在庫指数の推移   
 これは、在庫低減技術の向上によるものでしょう。
 現在の製造業では、需要低減がダイレクトに生産縮小に反映するようにカイゼンしています。

 但し、在庫の絶対量はそれほど増加していなくても、販売減少を考慮すれば相対的には増えていることになります。
 さらに、暴騰時の原材料で製造した製品は、早く処分しないと不良在庫化する危険もあります。
  
 従って、急減した需要に見合う在庫水準になるまで、生産が縮小するのは避けられません。
  

政府の景気認識

 1月29日、内閣府の「景気動向指数研究会」によって、「景気の山」は2007年10月と判定されました。
 これにより、2002年2月から2007年10月までの69ヶ月間が景気拡大期と確定しました。
  
 与謝野経済財政担当相は、今回の景気拡大期を「ダラダラ陽炎景気」と命名しています。なかなか的を射た表現と言えます。

景気:07年11月から後退局面 内閣府が正式認定
 内閣府は29日、経済学者らで構成する「景気動向指数研究会」(座長、吉川洋・東京大大学院教授)を開き、02年2月から続いた戦後最長の景気拡大期が07年10月に頂点(山)に達し、同11月から景気は後退期に入ったと正式に認定した。この結果、今回の景気拡大期間は69カ月となり、これまで最長だった「いざなぎ景気」の57カ月(1965年11月~70年7月)を12カ月上回った。
 今回の景気拡大は期間こそ戦後最長を記録したが、実質国内総生産(GDP)の伸び率は平均で2.1%と、いざなぎ景気(11.5%)やバブル景気(5.4%)に比べて低空飛行となった。また、外需主導の拡大だったため、一部の輸出企業は空前の利益となった半面、実質賃金の伸び悩みから個人消費は盛り上がらず、家計には「実感のない景気拡大」だった。(毎日新聞01/30)

  
 1年以上経過してからの認定に「遅すぎる」と批判する方もいますが、これはあくまで学術的な認定です。
  
 政治的な景気後退の判断は、かなり前からなされていました。

 景気悪化のサインが経済指標にあらわれたのは、2007年11月6日に発表された07年9月の景気動向指数においてでしょう。
 その中で、景気先行指数(DI値)が、16年振りに0%となりました。

07.11.07景気先行指数0%、景気の腰折れ懸念

  
 その半年後、内閣府が2008年6月9日に発表した4月の景気動向指数において、基調判断を「局面変化」としました。
 日銀の白川総裁は、2008年5月20日の会見のなかで「日本経済は景気減速の動きが明確になっている」と述べています。

08.06.10日本の主要景気指標が全て悪化-約7年振りの景気後退局面

  
 さらに2ヶ月後、政府は8月7日の月例経済報告関係閣僚会議において、景気の基調判断を「このところ弱含んでいる」とし、事実上の景気後退宣言をしています。

08.08.08政府による「景気後退」宣言-戦後最長・最弱の景気回復期の終焉

  
 政府の「景気認識」は、おおむね正確だったと言えます。
  
 残念なのは、正しい景気認識が、迅速な行動に結びつかなかったことでしょう。
  

参考書籍

恐慌第2波―世界同時不況を日本が生き残る道 (角川SSC新書)

著者/訳者:門倉 貴史

出版社:角川SSコミュニケーションズ( 2009-01 )

定価:¥ 798

Amazon価格:¥ 798

新書 ( 174 ページ )

ISBN-10 : 482755059X

ISBN-13 : 9784827550597



製造業崩壊―苦悩する工場とワーキングプア

著者/訳者:北見 昌朗

出版社:東洋経済新報社( 2006-12 )

定価:¥ 1,680

Amazon価格:¥ 1,680

単行本 ( ページ )

ISBN-10 : 4492761624

ISBN-13 : 9784492761625



経済指標を読む技術―統計データから日本経済の実態がわかる

著者/訳者:妹尾 芳彦 桑原 進

出版社:ダイヤモンド社( 2003-09 )

定価:¥ 2,100

単行本 ( 186 ページ )

ISBN-10 : 4478280029

ISBN-13 : 9784478280027



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