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2009.02.10

東証1部上場、日本綜合地所が倒産-マンション大手でさえ倒産

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 東京証券取引所1部上場の日本綜合地所が2月5日に会社更生法を申請し、倒産しました。
  
 今年に入ってからの上場企業の倒産は、6社目です。
  
 不動産業界では、昨年8月に破綻したアーバンコーポレイションに次ぐ大型倒産となります。

日本綜合地所が会社更生手続き、負債総額1975億円
 日本綜合地所は5日、会社更生手続きの申し立てを東京地裁に行い、受理されたと発表した。負債総額は1975億4900万円。
 同社の連結子会社の日綜ハウジング、日綜不動産も同日、東京地裁に会社更生手続き開始の申立てを行った。
 2008年3月期に過去最高益を計上した日本綜合地所は、その後も積極的にマンション用地を買い増し、同年9月末に約1465億円のたな卸資産を保有した。しかし、世界的な金融危機と不動産市況の急速な悪化のあおりを受け、資金繰りが悪化した。
 同社は、2008年11月11日に償還を迎えた第7回無担保社債の償還資金を、金融機関への追加担保の提供により調達した。しかしその後は、さらなる担保の提供ができなくなり、建築代金の支払いなどに対応できくなることが確実となった。
 東京証券取引所は同日、日本綜合地所の株式を3月6日で上場廃止にすると発表した。(ロイター02/05)

  

日本綜合地所の軌跡

 日本綜合地所は、首都圏を営業基盤とする、大手マンション分譲業者です。
 「EURO―QUALITY」をコンセプトに、ヨーロピアンスタイルの分譲マンション「グランシティ」、「ヴェレーナ」を展開しています。
  
 首都圏におけるマンション供給戸数は、「三井不動産レジデンシャル」に次いで、第2位で、全国でも6位の規模です。
  
 同社売上に占める、マンション販売の比率は8割を超えており、マンション専業業者といえます。
  

創業

 日本綜合地所は、1993年2月、大京・明和地所出身で西丸誠(現社長)により設立されました。
  
 設立当初は、ほとんどが販売代理物件で、3~5階建てで1棟20~40戸の案件が中心でした。
  
 「グランパーク」ブランドで展開していましたが、案件の大型化・自社物件の増加に伴って、1997年から「グランシティ」ブランドを中心に据えました。

発展

 1997年に分譲した「グランシティ天王洲アイル」は、ウォーターフロントのマンションブームの先駆けとなりました。
  
グランシティ天王洲アイル 「天王洲アイル」は、ヨーロッパテイストの外観に加え、内装は海に面したバルコニーには全面ガラス張りの浴室、屋上にはジャグジーを設置し、入浴しながらお台場やレインボーブリッジが一望できる構造になっています。


 日本綜合地所は、「グランシティ天王洲アイル」で1999年に住宅産業開発協会の優秀プロジェクト賞(中高層部門)を受賞。
 その後も、2000年・2001年と3年連続で優秀プロジェクト賞を受賞しました。
  
 業容も急拡大していきます。
  
 1999年11月には店頭公開し、2001年12月に東証2部、2003年3月には東証1部への上場を果たしました。
日本綜合地所HP   
 2005年には、日立造船の不動産子会社を買収し、関西地区への展開を図ります。

全国展開へ向けM&A、大阪・日立造船不動産を子会社化 日綜地所
 日本綜合地所は9月30日、日立造船の子会社である日立造船不動産の全株式を取得すると発表した。大阪市に本社を置く同社を子会社化することで、全国展開の足がかりにしていく考え。日本綜合地所にとって株式公開後初のM&A案件
 日立造船不動産は1987年に設立。西日本を中心に全国各地でマンション・戸建て分譲を展開。また、仲介・賃貸・施設管理・ホテル運営など幅広い事業を手掛けている。05年3月期の売上高は59億5000万円、経常利益1億800万円。
 子会社化することで、日本綜合地所はこれまで特化してきた首都圏以外に営業エリアを拡大していく方針。また、ホテル・商業施設の運営ノウハウの取得で、中期経営計画で第2の収益の柱と位置付けた「不動産投資事業」にも弾みをつけたい考え。(05/09/30住宅新報社)

  
オープンエアリビング 商品開発面でも、「オープンエアリビング」を上層階へも拡張した奥行き4mのバルコニー「オープンエアリビングバルコニー」を開発します。
  
 2006年1月から導入し、付加価値をさらに高めようと試みます。

オープンエアリビングバルコニー   
 業績面では、2005年3月期に完成物件が集中したことにより、売り上げが一時頭打ちとなります。
日本綜合地所の業績推移   
 その一方で、増益が続いており、自己資本比率も20%前後を維持し、不動産業としては妥当な水準でした。
日本綜合地所の資産・資本状況推移   

急変、そして破綻

 同社は、大型案件の売却を受けて、仕入を大幅に増やしていました。
 従前の3倍以上の規模を仕入れ、さらなる業容の拡大を企図します。同社の実績を考えれば当然の経営判断でしょう。
用地仕入状況   
 そこに、マンション市況の急変が襲います。
  
 同社の業績上の不安が顕在化したのは、11月でした。
  
 まず、入社予定の学生の内定を取り消したことが発覚します。

53人の内定を全員取り消し=業績悪化で日本綜合地所=
 マンション分譲大手の日本綜合地所が、来春入社予定だった大学4年生53人の採用内定を、業績悪化を理由にすべて取り消していたことが28日、分かった。
 内定を取り消された大学生の一部が加入した「全国一般東京東部労組」によると、同社は10月1日に内定式を開き、社長が「マンション業界は不況だが、うちの会社は大丈夫」などと説明していたが、11月17日に電話で内定取り消しを通告した。中には金銭補償の支払いを持ち掛けられた学生もいるという。
 28日、労組とともに記者会見した都内の大学生(23)は「一方的に取り消され、裏切られた思いだ」と語った。今後団交を通じて、会社に補償を求める構えだ。(時事通信08/11/28)

  
 同社は10月1日に内定式を行っており、わずか1ヶ月半後の内定取り消しに、世論の批判が集中しました。
  
 世論の批判を受け、日本綜合地所は、内定を取り消した学生に対し、1人あたり100万円の補償料を支払いました。

内定取り消し者に100万円 「誠意示す」と日本綜合地所
 マンション分譲の日本綜合地所が、来春入社予定の内定を取り消した53人に対し、補償として100万円を支払うことが9日、分かった。
 多くの企業が来春の採用募集を終えており、新たな就職先を見つけることが困難なため。日本綜合地所は当初、内定取り消し者に42円を支払う予定だったが、「最大限できることを考え、企業として誠意を示しておわびしたい」(広報担当者)として増額する。
 10月の内定式の際、採用は計画通りと内定者に告げていた。その後、11月に電話で内定取り消しを通告。役員が対象者の自宅を訪問し、謝罪と事情を説明している。同社はマンション市況の低迷を受け、業績が急激に悪化したことで、内定取り消しを実施した。(MSN産経ニュース08/12/09)

  
 同社の対応は、当初は激しく非難されましたが、破綻した今考えてみれば、誠実な対応でした。
  
 建築基準法改正に端を発するマンション不況に加え、金融情勢が急激に悪化したのが10月からです。
 この1ヶ月半で、銀行の融資姿勢が「一変」したのは間違いないでしょう。

 同社も11月11日に84億円の社債償還があり、そこで資金状況が一気に悪化しました。
 この時は、みずほ銀行・三井住友銀行・三菱東京UFJ銀行・横浜銀行から約168億円の資金調達を行って凌ぎましたが、その際に追加担保の提供を余儀なくされ、結果として同社の資金繰りを逼迫させることになりました。
  
 破綻直前には大幅な下方修正を余儀なくされました。棚卸資産の評価損等により300億円の赤字となります。

綜合地所、連結純損失305億円に下方修正=棚卸し資産評価損-09年3月期
 日本綜合地所は3日、2009年3月期の連結業績予想を下方修正した。売上高を従来の1100億円から1050億円に、営業損益を40億円の黒字から225億円の赤字に、純損益を6000万円の黒字から305億円の赤字にそれぞれ変更した。棚卸し資産の評価損221億円、有価証券評価損12億円、子会社株式評価損34億円を計上するほか、マンション販売価格の見直しなども影響し、大幅な赤字に転落する見込み。(時事通信02/03)

日本綜合地所の業績予想の変化   
 その2日後に、同社は会社更生法を申請して倒産となりました。
  

日本綜合地所の株価

 日本綜合地所株は、2007年2月に上場来最高値を付けてから、一貫して下げ続けてきました。
 ゼファー、アーバンと、大型不動産業者の破綻が続いたことから、一時100円台を付けましたが、直後に大きく反転。
 しかし、所詮は一時的な戻りに過ぎず、その後じりじりと下落していました。
日本綜合地所の6ヶ月チャート   
 破綻当日も大きく下落していましたが、直近の安値を意識している値動きです。
 大幅下方修正を発表したばかりでしたので、変な意味での安心感があったのかもしれません。
日本綜合地所の2月5日の株価 日本綜合地所の2月5日の日中足   
 同社株の初値は1999年11月25日の3,300円(現換算値825円)で、最高値は2007年2月2日の3,600円です。
日本綜合地所の長期チャート  なお、同社株は2000年1月26日に2分割、2002年1月28日にも2分割を行っています。
  

参考書籍

レイディアントシティ横浜物語―ヨーロッパの街並みが横浜に誕生!!日本綜合地所の新しい街づくり

著者/訳者:鶴蒔 靖夫

出版社:IN通信社( 2005-01 )

定価:¥ 1,890

単行本 ( 254 ページ )

ISBN-10 : 4872182456

ISBN-13 : 9784872182453



都市空間の経済学―新総合デベロッパー宣言

著者/訳者:鶴蒔 靖夫

出版社:IN通信社( 1999-11-25 )

定価:¥ 1,890

- ( 238 ページ )

ISBN-10 : 4872181778

ISBN-13 : 9784872181777



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