2009.02.19
東証2部上場、ニチモが倒産-創業54年老舗企業、2度目の金融支援は得られず
東京証券取引所2部上場のニチモが2月13日に民事再生を申請し、倒産しました。
今年に入ってからの上場企業の倒産は、7社目です。
2月に入っても不動産業界の倒産ラッシュは、沈静化の気配さえありません。
ニチモ:倒産、負債757億円
帝国データバンクは13日、東証2部上場でマンション分譲のニチモが東京地裁に民事再生法の適用を申請したと発表した。負債総額は約757億円。東証は3月14日付で同社株を上場廃止とする。
同社は首都圏や近畿圏など都市部を中心に中高層マンションの分譲を手掛け、「ルイシャトレ」などの自社マンションブランドを展開。景気後退の影響や土地・資材価格の高騰などからマンション販売が不調になり業績が急速に悪化。資金調達も厳しくなっていた。上場企業の倒産は今年7社目。(毎日新聞02/13)
ニチモの軌跡
ニチモは、創業54年の老舗マンション業者です。主な営業地域は近畿圏と首都圏で、ファミリー向けマンション「ルイシャトレ」、都市型コンパクトマンション「ヴォアール」、ワンルームマンション「ジョイシティ」を中心にブランド展開しています。
なお同社は、1966年からマンション分譲を行っており、供給戸数は60,000戸を超えています。
創業
ニチモは、1955年9月21日に南海ブロック(株)として設立されました。その後、大阪モデル住宅(株)、日本モデル住宅(株)と商号変更。1963年にニチモプレハブ(株)と統合したのち、上場後の1977年に現商号の「ニチモ(株)」となりました。
当初は、プレハブ集合住宅を手掛けていましたが、その後マンション販売に進出。1966年4月には、ファミリーマンション「芦屋コーポラス」を分譲しています。
発展
日本のマンションは、1968年の第2次マンションブーム以降、購入層が一般大衆に広がっていきました。1970年には、マンションも旧住宅金融公庫の融資対象となり、さらに市場が拡大します。
ニチモは、日本のマンション建設ラッシュの流れに乗り、業容を急拡大していきました。
1971年3月に大証2部に、1973年3月に東証2部に上場、1978年には東証1部へ昇格します。

バブル崩壊
ニチモは、バブル期に建築したワンルームマンションが大量に売れ残り不良資産化していました。同社は、売れ残り分も含めて簿価約700億円の物件を賃貸していましたが、減損会計の適用により、多額の特別損失の計上を余儀なくされました。
同社は、2003年9月決算において、414億円の巨額債務超過となり、存亡の危機に陥ります。
このときは、メーンバンクの支援を受け、何とか倒産を免れました。
同社は、2004年3月にりそな銀行等より債務免除約295億円、債務株式化89億円の金融支援を受けています。
ニチモ、事業再構築計画について国交省より認定
ニチモ(株)は19日、2004年3月12日に産業活力再生特別措置法第3条第1項の規定にもとづいて申請していた「事業再構築計画」が国土交通省より認定を受けたと発表した。
認定の概要は次のとおり。
認定日は平成16年3月19日で、認定事業者は、ニチモ(株)。
同社によると、事業再構築の目標としては、中核事業であるマンション分譲事業に経営資源を集中するとともに、ファミリー向けマンションは中低価格帯に、都心型コンパクトマンションは低価格帯に絞り込んで供給していくことにより、事業の再構築を図るとしている。
事業構造においては、(株)整理回収機構(RCC)の協力のもと、(株)りそな銀行など関係金融機関からの債務免除および債務の株式化による総額384 億円の金融支援を受けて財務体質を強化するほか、自社保有賃貸事業から撤退する。保有固定資産は売却、賃貸管理業については、関連会社のニチモコミュニティ(株)に移管する。
事業革新については、顧客起点の原点に立ち返り、顧客ニーズを的確に反映した商品の提供に注力していくとし、ファミリーマンションにおける価格、仕様の見直しや、都市型コンパクトマンション事業への新たな参入を行なう。
事業再構築の実施機関については、2004年3月に開始、2006年9月に終了としている。(不動産最新ニュース04/03/19)
なおニチモ株は、2004年2月に東証2部に降格となっています。
事業再建
倒産の危機を脱した後、ニチモの業績は堅調に推移しました。
2006年には、首都圏マンション供給ランキングで10位になるまでに伸張し、2007年7月には総供給実績60,000戸を達成しています。
再建会社の場合、金融機関への残債務返済が優先されるため、設備投資や仕入が抑制されがちで、大きな業績の伸びは見込めません。
さらに、マンション事業には、元気の良い新興企業が多数参入し、レバレッジを利かせて急激に成長していました。
そのなかでの、同社の堅調な業績は評価できるものでしょう。
事業環境の急変、そして破綻
なお、ニチモは金融支援を受ける際に、棚卸資産を除いた殆どの資産を処分しています。そのため、資産の7割が棚卸資産となっていました。
業績の伸張とともに財務状況も回復に向かっていました。
しかし、2007年以降、事業環境が一変します。
2007年6月に改正建築基準法の施工されると、確認審査が機能不全に陥ります。
これが、建設期間の長期化を招き、棚卸資産の急増となります。
さらに建築資材の高騰により、収益性が悪化。
これに金融危機が加わり、国内不動産市況が急激に悪化していきました。
2008年9月期は、売上高が前期比でほぼ半減、棚卸資産は前年より2割以上も増加し、46億円もの評価損が発生します。
この結果、当期純損失は102億5600万円となり、純資産は前年度の119億円から12億円にまで毀損しました。
これらの状況から監査法人より「継続企業の前提に関する重要な疑義」が付記されました。
今期に入ると状況はさらに悪化。
2009年10-12月期には、営業不振と棚卸資産評価損の拡大により181億の純損失を計上し、167億円の債務超過に転落しました。
新たな資金調達の目処が立たたない中で、手形決済にも窮し、今回の措置となりました。
ニチモの株価
ニチモ株は、2002年11月に13円の倒産価格にまで下落しました。しかし、再建の流れが進むにつれて大きく回復。
3年後の2005年11月には234円を付けました。
しかし、その後は一貫して下げ続けていました。
2008年12月22日に10円を割ってからは、1桁台の株価でした。
株価の上では、既に倒産状態となっており、破たん直前は2ヤリ3カイです。
同社株の最高値は1989年12月13日の2,530円です。
参考書籍
著者/訳者:山下和之
出版社:ぱる出版( 2009-01-06 )
定価:¥ 1,470
Amazon価格:¥ 1,470
単行本(ソフトカバー) ( 208 ページ )
ISBN-10 : 4827204578
ISBN-13 : 9784827204575
著者/訳者:許斐 義信 慶応ビジネススクールターンアラウンド研究会
出版社:中央経済社( 2005-07 )
定価:¥ 2,940
Amazon価格:¥ 2,940
単行本 ( 280 ページ )
ISBN-10 : 4502929603
ISBN-13 : 9784502929601
参考記事
- 09.02.10東証2部上場ダイア建設倒産-建設・不動産恐慌(19)
- 08.08.18東証1部上場のアーバンコーポレイションが倒産-建設・不動産恐慌(4)
- 08.07.23東証1部上場のゼファーが倒産-建設・不動産恐慌(2)
- 07.11.01改正建築基準法、建設業に大恐慌をもたらした役人・政府








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