2009.05.01
ビッグ3崩壊:クライスラー破綻-米自動車業界再生への長い道のり
4月30日、ビッグ3の一角、クライスラーが、ニ連邦破産法11条の適用を申請し倒産しました。
同日、オバマ米大統領が直接、破産法申請と再生見通しを説明しております。
米政権が、「倒産」という負のイメージを和らげ、経済へのインパクトを薄めるために苦慮していることが伺えます。
米大統領、クライスラーの破産法申請とフィアットとの提携発表
オバマ米大統領は30日、自動車大手クライスラーが連邦破産法11条の適用を申請し、イタリアの自動車メーカー、フィアットと提携すると発表した。
大統領は「クライスラーとフィアットが提携したことを発表する。これは成功の大きな可能性を秘めている」と語った。
クライスラーの破産手続きは迅速かつ効果的に行われるとの見通しを示した上で、同社がより競争力の高い強い企業として再生することを確信していると述べた。
「提携の一環として、フィアットがクライスラーの過半数株式を取得する前に公的資金は全額返済される」と説明した。
また「単にクライスラーに生き残りの可能性をもたらすだけでなく、世界の自動車市場で勝ち抜くための提携だ」と述べた。
クライスラーが破産法の適用申請に至ったことについて、オバマ大統領は一部の「投機筋」が国民のお金を得ようとして合意に抵抗したとする一方で、債務削減に同意したJPモルガンをはじめとする金融機関や、譲歩を受け入れた労組を賞賛した。
また「クライスラーの経営陣、とりわけナルデリ最高経営責任者(CEO)はこれまでの過程で前向きで建設的な役割を果たした」と述べた。(ロイター09/04/30)
法的整理に至る経緯


米政府が、40億ドル+5億ドルの資金繰り支援を続ける中、同社再建への折衝がギリギリまで続いていました。
交渉のタイムリミットは4月30日。交渉がまとまらなければ、クライスラーは「破たん」し、米政府の意向では「清算」となります。
労働組合との協議は、4月26日に暫定合意に達していました。
クライスラー、労組と合意=フィアットとの提携へ前進
経営危機に直面している米自動車大手クライスラーは26日、全米自動車労組(UAW)との間で労働協約の改定と退職者向け医療保険制度の見直しで暫定合意に達したと発表した。
伊自動車大手フィアットがクライスラーとの提携に当たって求めている前提条件の1つが解決した格好で、フィアットとの提携実現に向け大きく前進する可能性が出てきた。
ただ、フィアットとの提携や抜本的な再建の障害となっている債務の圧縮問題に関しては、クライスラーに融資する財務省と主要債権団が現在も交渉を続けているが、今のところ合意には達していない。オバマ政権は月末までにフィアットとの提携で合意するよう求めており、債務減免交渉はぎりぎりまで継続される見通しだ。(時事通信09/04/27)
29日には、労組組合員による承認投票が行われ、80%兆の圧倒的多数で労働協約変更が承認されました。
大口債権団との交渉も、29日には基本合意に達しました。
米財務省と債権団が基本合意=クライスラー債務圧縮で-破産法の申請回避も
経営危機に直面している米自動車大手クライスラーの債務圧縮をめぐり、米財務省と主要債権団は28日、基本合意に達した。
米政府当局者は、債務の削減規模については明らかにしていないが、米紙ワシントン・ポストによると、銀行45行やヘッジファンドなどに対する債務約69億ドル(約6600億円)を20億ドル(約1900億円)にまで減らすという。これにより、クライスラーが破産法の適用申請を回避できる可能性が出てきた。
これに先立ち、同社は全米自動車労組(UAW)との間でも労働協約の改定と退職者向け医療保険制度の見直しで基本合意に達しており、債務圧縮に向けた債権団との交渉に注目が集まっていた。(時事通信09/04/29)
しかし、一部ヘッジファンド(オッペンハイマー・ファンズ、ペレラ・ワインバーグ・パートナーズ、ステアウェイ・キャピタル等)が米財務省の再建案を拒否。
結局期日までに合意に達せず、法的整理を余儀なくされました。
但し、再建スキームが大筋でまとまったため、清算型(チャプター7)でなく再建型(チャプター11)となりました。
クライスラー再建スキーム
同社は、法的整理で債務整理を行い、イタリア自動車大手フィアット傘下で再建を模索することになります。

フィアットは1970年代以降、慢性的な経営難が続いていましたが、2004年にモンテゼーモロ会長・セルジオ・マルキオンネCEO体制で経営建て直しに取り組み、急速に業容を回復してきました。
同社は、パンダやフィアット500等小型車に強い他、フェラーリ・ アルファロメオ・ マセラティ・ ランチア等も傘下に有しています。
資本構成
当初は、労組の退職者医療基金が55%、フィアットが20%、米財務省が8%、カナダ政府及びオンタリオ州が2%を保有します。なおフィアットは、クライスラーの再生進捗に応じて段階的に51%まで取得することが可能となっています。
政府支援
同社再建のため、米国政府が最大80億ドル、カナダ政府が24.2億ドル、合計104億ドル(約1兆円)の公的支援を行います。次なる試練
米金融界は、ベア・スターンズ破綻には耐えられましたが、リーマン・ブラザーズの破綻で決壊し、金融パニック状態に陥りました。世界中の金融機関が大きな痛手を受け、米国政府も多額の公的資金導入を余儀なくされました。
今回のクライスラー破綻では、約半年のモラトリアム期間があったため、周知・事前準備が講じられたこともあり、今のところ大きな混乱は避けられています。
しかし、本丸のGMの最終期限も目前で、さらに困難な交渉と調整が続くことになります。
参考書籍
著者/訳者:L. アイアコッカ
出版社:ゴマブックス( 2009-02-01 )
定価:¥ 880
Amazon価格:¥ 880
文庫 ( 540 ページ )
ISBN-10 : 4777151034
ISBN-13 : 9784777151035
ダイムラー・クライスラー ― 世紀の大合併をなしとげた男たち
著者/訳者:ビル ヴラシック ブラッドリー・A. スターツ
出版社:早川書房( 2001-04 )
定価:¥ 2,520
単行本 ( 536 ページ )
ISBN-10 : 415208345X
ISBN-13 : 9784152083456
参考記事
- 09.01.16北米最大規模の通信機器メーカーのノーテルが破たん-ハイテク企業へ波及する経済危機
- 08.11.11GM破綻へのカウントダウン-米国、金融恐慌から経済恐慌へ
- 08.09.16リーマン破綻、メリル身売り、AIG救済依頼-ブラッディ・サンデー
- 08.07.03ビッグ3の苦境-米国自動車販売台数が急減








更新止まっていたので心配していましたが参考にさせてもらってます。
今後も記事楽しみにしています。
更新: 2009.05.8 10:25:19 by グフユナイテッド